#EV船
ヤンマーの水素燃料電池システムを搭載したハイブリッド旅客船「ハナリア」(photo=モテナシー)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
静かで快適なFC船が来年に運航……ヤンマー、船舶向けの水素燃料電池(FC)を初出荷[2023.10.31]

商船三井グループの電動旅客船「ハナリア」に搭載し来年4月から運航予定 バイオディーゼル発電機とFCを組み合わせた日本初のハイブリッド船 【THE 視点】ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーパワーテクノロジー(以下、ヤンマーPT)は、船舶用水素燃料電池(FC)システムを初出荷したと発表した。このFCは2023年8月に商品化したもの[詳細はこちら<click>]。商船三井グループなどが出資するMOTENA-Sea(モテナシー)の旅客船「HANARIA(ハナリア)」が搭載する。 「ハナリア」は、FCとバイオディーゼルを使用する日本初のハイブリッド型旅客船で、両機関で発電した電気でスクリューを回す電動推進システムを採用している船となる。2基のFC/蓄電池/発電機関/電力制御/推進機器/遠隔監視など、ヤンマーPTが統合設計したパワートレインが搭載されている。 特にFCシステムを主とした運航では、ゼロエミッション化を実現するとともに、動力源からの振動や騒音を大幅に低減し、排気ガスの臭いも無い快適な船内環境の実現に貢献する。 推進はモーターの動力となるので、自動車でいうFCEVとシリーズハイブリッド両方の側面を持ったシステムと言える。どのような状態でFCとディーゼルが切り替わるのかは気になるところだが、ディーゼルは発電専用なので、それが動いていたとしても通常の船舶に比べて圧倒的に静粛性が高いのではないだろうか。 FCシステムは、定格出力240kWのものを2基搭載している。重量は2,400kg。自動車用のおよそ10倍はある大型のシステムだ。バイオディーゼルと推進用モーターの諸元は公表されていないが、船舶に使用する電気を発電し船を進めることを考えれば、相当な大きさのものだろう。 自動車と異なり、船の場合の水素の充填などには許認可の問題など課題は多いと認識しているが、実際に船が出来上がり稼働に漕ぎつけたことは大きな進歩である。今後も、自動車のみならず船や建機など様々なモビリティでFCの活用が進むことを期待する。 なお「ハナリア」は2024年3月に竣工し、同年4月より福岡県を中心に営業開始予定だ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、コンパクトSUV「コナ」を日本発売 ……11月1日(水)から販売開始する。ヒョンデとしては「アイオニック5」に続いて日本導入2機種目。4グレードが導入され、航続距離は541〜625km。価格は399万3,000円〜となる[詳細はこちら<click>]。 ★東京都住宅供給公社がEVイベント ……JKK東京(東京都住宅供給公社)は、「コーシャハイム向原ガーデンコート」<板橋区>でEV普及啓発イベントを開催する<11月18日(土)〜19日(日)>。イベントでは、EV展示・試乗会/ソーラーカー工作ワークショップ/EVを電源としたキッチンカーの出展などが行なわれる。 ★ヤマハ、ゴルフカーベースの自動運転EVを開発 ……屋内外対応自動搬送用EV「FG-01」を開発した。ゴルフカーをベースにしたことで、高い走破性と耐久性を有するとのこと。「2023国際ロボット展(iREX2023)」<東京ビッグサイト/11月29日(水)〜12月2日(土)>に出展する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.31]

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「船用燃料電池システム」のテスト風景(photo=ヤンマーホールディングス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
船舶でも水素燃料電池がトレンド……ヤンマー、船舶向けの燃料電池システムを商品化[2023.08.03]

パワートレインも含めた統合的なFCシステムを提案 FCシステムを搭載した「水素運搬船」の実現も期待 【THE 視点】ヤンマーホールディングスのグループ会社、ヤンマーパワーテクノロジー(ヤンマーPT)は8月1日、「舶用水素燃料電池システム」(FCシステム)を商品化したと発表した。まずは水素の補給が比較的容易な沿岸を航行する旅客船や作業船・貨物船などへの採用を提案していくという。 ヤンマーPTは、国土交通省の水素燃料電池船(FCEV船)の安全ガイドラインや、船舶分野における水素利用のロードマップの策定に参画してきた。FCを搭載した試験艇での実証運航試験や、高圧水素充填試験(70MPa)を実施するなど、FCEV船の社会実装に向けたさまざまな取り組みを進めている。 これらの取り組みで得た技術や知見を、舶用エンジン事業で培った技術と融合し、蓄電システム・電力制御システム・推進システム・水素貯蔵システムを統合システムとして提供していくという。 ヤンマーのFCシステムの主な仕様は、定格出力300kW(カスタマイズ可能)、長さ3,400×幅1,100×高さ1,700mmで、質量は3,000kgとなっている。様々な有害物質を含んだ排気ガスが発生しない点に加えて、低振動・低騒音・排ガス臭がない点が特徴。内燃エンジンによるこれらの問題は、乗員や乗客のストレスになる。それが緩和されるのは大きな効果だ。 ヤンマーPTは、これまでも小型船にFCシステムを搭載し実証試験をしてきた。今回発表されたFCシステムは、定格出力300kWと自動車用と比較しても大きい(ちなみに「トヨタ・ミライ」のFCスタックは最高出力128kW)。 FCシステムのサイズは、中型船以上を想定しているようだ。しかし、水素容器の圧力は70MpaでFCEV(自動車)と同じである。港湾での水素インフラを考えると、自動車と同じ圧力で使用した方が融通が利いて良いのだろう。小型燃料電池船での実証試験も、自動車用の移動用水素ステーションが使われていたように思う。 自動車と大きく違う点は、水素の搭載量だろう。比較にならないほど大量の水素が搭載できる。開発が進めば、水素を運搬するFCEV船も可能ではないだろうか。「パワーX」が開発を進めている「電気運搬船」の水素版のようなものだ。 EV船の充電待機時間を考えると、船舶もFCEV船とした方が運用効率が良いように思われる。船舶業界でも、FCがトレンドとなってきた。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、「メルセデスAMG EQS SUV」をアメリカで発売……10万9,300ドル(約1,560万円)から[詳細はこちら<click>] ★★ブレンボ、インテリジェントブレーキ「SENSIFI」を日本向けに発表……AIなどにより四輪独立のブレーキ制御が可能 ★★NTT西日本など、地方自治体の自動運転バスなどの導入を支援……NTTビジネスソリューションズ・マクニカと提携、次世代の地域交通システムの実装を推進 ★米エアモビリティ企業のASKA、空飛ぶクルマ「A5」が飛行テストを開始……ホバリングに成功、EVとして公道走行も可能 ★積水ハウスの豊橋支店が「EVオートチャージ」を導入……双日・日商エレクトロニクス・オムロンが展開するEV充電システム、電力ピークを避け最適なタイミングで自動充電 ★テラモーターズ、飯田グループのマンション「センチュリー東武動物公園」<埼玉県宮代町>にEV用充電器を導入 ★パワーエックス、再生可能エネルギー発電所開発のウエストホールディングスと提携……蓄電所と太陽光発電所を共同開発・運用 デイリーEVヘッドライン[2023.08.02]

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EV船「あすか」(photo=旭タンカー)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
カーボンニュートラル燃料の輸送にエコなEV船……三菱重工、新型EV輸送船「あすか」を竣工[2023.07.12]

カーボンフリー燃料の輸送をエコに実施してこそCO2削減に効果 見た目からはわからぬ最新鋭のハイ・テクノロジーを搭載 【THE 視点】三菱重工は7月7日、新型のEV輸送船「あすか」が竣工したと発表した。三菱重工グループの三菱造船およびe5ラボが普及を目指す「内航標準ハイブリッドEV船」のデザインを採用した総トン数499トンのバイオマス燃料輸送船で、建造造船所の本田重工業から旭タンカーに引き渡された。 「あすか」のパワーユニットは、スクリューを回すための機構は完全電動で、電力供給用のバッテリーと発電機・制御ソフトをモジュール化して搭載している。 また、三菱造船が開発し、Marindowsを通じて内航海運への普及を目指すポータブル運航支援システム「ナビコ」も搭載。今後パイロット試験を経て2024年春からの販売を計画しているという。 見た目からは分かりづらいが、三菱造船製の高性能ツインスケグ船型を採用し、推進馬力を従来船より20%以上削減した。これによりCO2の削減に貢献でき、荷役・離着桟・入出港など港湾でのゼロエミッション・オペレーションを実現する。 また、騒音・振動の低減による船内快適性向上、高度な知識と経験を要するディーゼルエンジンの整備作業の削減、操船性向上による離着桟オペレーションの負荷低減などのメリットもあり、総じて船員の作業負荷を低減できる。 駆動するモーターは最高出力360kW(490ps)のものが2基搭載され、最高出力500kW(680ps)の発電機が2基、バッテリーは最大容量221kWhの仕様が2基で合計の容量は442kWhとなる。40kWhのバッテリーを積むEVに換算すると11台分の容量になり、ハイブリッド車の場合は40〜50台分に相当する。EVとは比べ物にならないほどの大容量である。 「あすか」のパワートレインは、自動車で言うシリーズ・ハイブリッド方式に相当する。外観からは気付かないが、CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)に近い技術が用いられており、公開された資料によれば、「ナビコ」とは映画で見るような巨大なパネルを備えたようなものではなく、小型のタブレット端末にて操作するようだ。電動化に関連する産業構造改革は船舶業界でも起きている。 船舶においてもCO2削減は待ったなしの状態で、EVではないが推進力に風を用いる「帆船」を現代版としてアレンジした推進技術も開発されている。 「あすか」の用途はバイオマス燃料の輸送というが、その輸送に化石燃料を使用しているようでは無意味。運ぶ船も含めてカーボンフリー化して初めてエコと言えるだろう。この問題は自動車用の水素燃料の輸送にも当てはめることができる。 このような取り組みは、乗り物業界全体に増えていくだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★カワサキ、新型EVバイクを「JAIA輸入車普及イベント in 神戸」<神戸市旧居留地/7月14日(金)・15日(土)>にて公開……「ニンジャ」と「Z」ベースのプロトタイプEVバイクに加えて、自転車型の「ノスリス」3台を出展 ★★ヤマダデンキ、EV向けの充電器「ACスマートチャージャー」を全国の店舗にて発売……最高出力6kWでの充電が可能な壁掛けタイプ ★★ZF、商用EV向けのモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)「AxTrax」を欧州で発表……ラストワンマイルの小型EVから大型のトラクター・ヘッドまで幅広く対応 ★ボッシュ、欧州のトラックメーカーのイヴェコに燃料電池を供給……イヴェコ製のFCEVトラックが2023年内にデビュー、水素供給インフラの開発も推進 ★ボッシュ、ドイツ・シュトゥットガルトのフォイエルバッハ工場にて水素燃料電池を大規模生産……既存のトラックのエンジンスペースに収まるサイズ ★京急電鉄、三崎口駅前<神奈川県三浦市>に小型EVと電動キックボードのレンタルステーションを開設……小型EVは15分220円、電動キックボードは初乗り15分250円から利用可能、「ハローモビリティ」のアプリより予約 ★野村不動産、今後開発の分譲マンション「プラウドシリーズ」全物件にて全駐車区画の原則3割にEV用充電設備を導入……「プラウド青葉台」<神奈川県横浜市>では機械式駐車場の7割超えに導入予定 ★ヤマダホールディングス、プラゴと協業のEV充電インフラ事業を自社のエコ施策「ヤマダ・グリーン」に認定……7月4日より予約制のEV充電サービスを開始、買い物中にEVを継ぎ足し充電 デイリーEVヘッドライン[2023.07.12]

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日本初、EVの旅客船が大阪で就航……デイリーEVヘッドライン[2023.04.28]

EV旅客船として小型船舶の検査に初合格 350Vのシステムの採用で自動車機器との共通化にも期待 【THE 視点】EV船販売株式会社は、350Vの高電圧リチウムイオン・バッテリーを搭載したEV船が、日本小型船舶検査機構の船舶検査に合格し、大阪市内に就航したと発表した。 同社はこれまでも、EV船を検査に合格させてきた実績があるが(今回を含めて5例)、小型船舶最大級(20トン未満)の旅客船として合格をさせたのは、今回が初めての例となる。 本船は観光旅客船扱いで、大まかな仕様は全長21.38m/幅5.00m/総トン数19トン/旅客定員70名となっており、このクラスでは最大級。建造も同社が行い、すでに船主に引き渡しを終えて旅客運航が始まっている。 搭載している電動システムは、ドイツのトルキード社製の「ディープブルー」というもの。容量44kWhのリチウムイオン・バッテリーおよび最高出力50kW(68ps)のモーターを1組とし、それを2組搭載しているのが特徴だ。 EV船販売株式会社といえば、先日筆者が取材した「ジャパンインターナショナルボートショー2023」に出展しており、今回のEV船についてもレポート内で触れている[詳細はこちら]。今回は、それからの進展ということになる。 港湾をはじめ、船舶の低炭素化が急務とされているが、なかなか進んでいないのが現状である。このように小型船であっても、電池電圧により縛りがあり許認可に時間が掛かるのだと改めて実感した。 筆者もEVの開発で、新しいものを製作した際の許認可のやり取りで苦労した経験が多々ある。なかには、それだけで1年もかかったものも。とにかく基準が定まっていないものに対しては、安全性の担保が厳しく求められるのだ。 今回のように、EVでは一般的な電圧の350Vで認可されたということは、今後船においてEV(自動車)用のパワーユニットが使えることになる。これで日本でのEV船の開発も進むものと思われる。今回のEV船販売のブレークスルーは、船舶業界はもちろん自動車業界にとってもインパクトのある明るいニュースと捉えている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マセラティ、ブランド初のSUV型EV「フォルゴーレ」を発表……SUV型の高級EV、「上海モーターショー2023」で世界初公開 ★★トヨタ、「bZ4X」のソフトウエア・アップデートを実施……1日あたりの急速充電回数が、現状から2倍の4回程度に改善 ★三菱、「eKクロスEV」の販売台数(2023年3月)が1,544台……全体の国内販売は1万1,896台で11ヵ月連続で前年比増[詳細はこちら<click>] ★小田急電鉄、東京電力・出光興産とともに脱炭素に向けて連携……バスのEV化や充電マネジメントの導入も計画 ★TDK、高回転モーター対応の高精度角度センサー「HAL 302xセンサ」を開発……EV用モーターにも対応、強力かつ高価な磁石が不要になり柔軟なモーター設計が可能に ★ノベルクリスタルテクノロジー、次世代パワー半導体の高出力動作に成功……「酸化ガリウムショットキーバリアダイオード」を組み込んだ回路が、出力電圧390V・出力電力350Wで正常に動作 ★半導体開発のオンセミ、中国のEV企業ジーカーと長期供給契約……充電時間の短縮や航続距離の延伸が可能なシリコンカーバイド(SiC)・パワーデバイスを供給 ★テスラ、商業施設「柏の葉 T-SITE」<千葉県柏市>にて特別展示試乗会……「モデル Y」と「モデル 3」を出展、4月22日(土)〜5月18日(木)まで ★ブレイズ、茨城県のカー用品店「ケンズガレージ」の3店舗にて「ブレイズ EVトライク」などの販売を開始……カー用品店での取り扱いは全国初 ★オペル、EVのワンメイク・ラリー選手権を推進……「ADAC オペル・エレクトリック・ラリー・カップ “powered by GSe”」に改名、5月5日よりシーズン3が開始

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