アウディブランドとは異なる佇まい 2024年11月7日、アウディは広州モーターショーにて新ブランドである「AUDI」およびコンセプトカーの「AUDI E」を発表しました。中国市場向けとして上海汽車集団との合弁により開発された同車は、たしかにアウディブランドとは異なる佇まいを見せます。では、そのデザインの特徴はどこにあるのか? さっそく公開された写真からチェックしてみたいと思います。 ドイツ本国とは異なるデザインアプローチ なにしろ市場を限定した新規ブランドですから、当然のことドイツ本国とは異なるスタイルを目指すワケですが、しかし少なくとも今回のコンセプトカーの基本はアウディお得意のスポーツバック風に見えます。ここは難しい理由ではなく、SUV的な要素をもつこのスタイルがいまの「売れ線」であり、中国の若い富裕層向けとしても最適ということでしょう。 その上でどのような個性を与えるかですが、アウディブランドのエッジの効いたシャープな造形に対し、全身を曲面基調の柔らかな面で構成する手法を選んだようです。 各部を見てみると、まずフロントでは前面を覆う巨大なパネルが大きな特徴。グリル部にこうした広いパネルを置くのは近年のEVでよく見られる手法ですが、パネル面積をより大きくして「押し出し」感を上げている点は、市場の特性を反映させた点だと思えます。 また、単にグリル面を覆うだけでなく、このパネルがボディのコア部として外に露出したようにも見えます。さらに、このコアを後方へ抜いてみせたのはトヨタのクラウン クロスオーバーに似た表現ですが、EVとしての先進感だけでなく、高出力による力強さも狙いということでしょう。 側面を見ると、A7スポーツバックより100mm短い全長に対し、25mm長いホイールベースとショートノーズがEVらしいプロポーション。この伸びやかさを強調するのが長くフラットなルーフラインで、フローティングデザインも新ブランドを特徴付けています。 さらに、ショルダーラインとホイールアーチの大きな張り出しも特徴で、とりわけリヤフェンダーの豊かさと、絞られたキャビンとの対比は迫力を感じさせるほどです。 新ブランドとしての独自性を育てる 一方、リヤビューでは短いながらもフラットなリヤデッキとエクストラウインドウ? が注目点です。特段バッテリーの排熱口などは見えないので、たとえばシトロエンC6のように、ある種新ブランドのアクセントポイントなのかもしれません。 もうひとつ、雪の結晶のように輝くアルミホイールも見所のようです。こうしたデザイン自体は最近の流行ですが、写真を見る限り、映り込みの美しい磨き込みに新しさがあるようです。 さて、こうしてAUDI Eのスタイリングをチェックすると、たしかにドイツ本国とは明らかに異なる方向性が感じられます。しかも曲面で構成されたボディは非常にシンプルであり、中国向けといってもゴテゴテと盛るようなカタチではありません。 その点で非常に好感の持てるスタイリングですが、ではこれが「AUDI」ブランドならではの独自性といえるのかは未だ不明です。同ブランドは2025年にBおよびCセグメントで3モデルを発表する予定ですが、たとえばよりコンパクトなBセグにこのデザインがどのように織り込まれるのか。それを見ればデザインの狙いがよりハッキリするかもしれませんね。