電気自動車用バッテリーの二次利用を評価 日産自動車とJVCケンウッド、フォーアールエナジーの3社が共同で開発した、電気自動車「日産リーフ」の再生バッテリーを利用したリユースバッテリー内蔵ポータブル電源が、「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定されたことが発表された。 日産の製品版は「ポータブルバッテリー from LEAF」、JVCケンウッドの製品版では「ポータブル電源 IPB01G」と呼ばれるこの製品は、「日産リーフ」の使用済みバッテリーを再利用して開発された車載も可能なポータブル電源だ。持続可能な社会の実現に向けた取り組みなどが評価され、今回の選定に至ったという。なお、選定された製品は1月16日(木)~20日(月)に東京都港区のAXISギャラリーで開催される「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に展示される。 リユースバッテリー内蔵ポータブル電源は、車載バッテリーとしての役目を終えた日産リーフのバッテリーを再生利用している。車両用としての役目は終わったものの、高い残存性能と安全性を持っているため、暑さや寒さに強い。また、車載や長期保管が可能なため、従来のポータブル電源の使い方に加え、災害時などの非常用電源としても活用されることが期待されている。 また、リーフの中古バッテリーを再利用するため、新品バッテリーの製造時に比べ二酸化炭素の発生を抑えることができている。 デザインは3社の強みを生かしながら、脱炭素社会の実現に向けた「サステナブルなポータブル電源」を具現化している。クルマに積載したときにも安全・安心して使用できる設計が施され、高い堅牢性とロングライフデザインをテーマとしている。 誤動作を防止することに配慮したデザインでもあると同時に、高い場所や入り組んだ場所への移動に配慮し、本体底面にも指を掛けられるデザインを採用し、実用性を向上させている。 JIDAデザインミュージアムセレクションの審査員からは、「持続可能な社会の実現に向け、各企業個社だけで解決できない課題にどう取り組むか。電気自動車用バッテリーの二次利用への期待が高まっているなか、主要プレーヤー3社の連携により生み出されたポータブル電源。その取り組みの社会的な意義は大きいといえる。耐久性のある造形と表面処理、可搬性と収納性に配慮した造形など、重量物でありながらアウトドア、車載、防災用品として安全かつ手軽に取り扱う工夫がされている」と評されている。 バッテリーの製造から廃棄、再利用を循環させるサーキュラーエコノミーの考えに基づく製品だが、今後もポータブル電源だけでなく、さまざまなシーンに再利用バッテリーが活用されることに期待したい。