#新興EV
TEXT:福田 雅敏
イベントの目玉は「THE EV解体ショー」……日本未導入「BYD・シール」がバラバラで展示

夏真っ只中の7月26日〜28日、東京ビッグサイト<東京都江東区>において、ものづくり関連の展示会「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023」「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」が開催された。前回は、「シトロエン・アミ」についてレポートした[詳細はこちら<click>]。会場にはそれ以外にも、主催者企画コーナー「パーソナルEV」でユニークなEVの展示がされていたので、第2編としてまとめて紹介する。 早急に市販化希望の和製超小型EV「KGモーターズ・ミニマムモビリティ」 「デイリーEVヘッドライン」でも何度かお伝えしているKGモーターズの「ミニマムモビリティ」が展示されていた。筆者は、今年初めの東京オートサロン以来の再会であるが、その時のボディカラーとは違うので別な個体かと思ったら、黄色にオールペンを施した同じ車体とのことだった。今後、100万円以下で売れるようコストダウンと信頼性を確保し、モニター販売を経て量産していくという。 この「ミニマムモビリティ」には、運転席の後ろにスペースがあり、タンデム式で2人乗りが可能ではと思われる。「アミ」と同じように「L6e」カテゴリーが有ればどれだけ社会に有用なモビリティになろうか。 「アミ」と同様に左右対称のドアやフェンダーなどのパネルを持ちコストダウンも徹底しているので、100万円と言う販売価格は、実現不可能ではないだろうと感じた。「ミニマムモビリティ」については今後も引き続き動向をお伝えしたいと思う。 福島県大熊町出身の格安リースEV「OHKUMA」 その隣には、「月額1万円程度のリース料で乗れる小型EV」として話題を呼んだ、アパテックモーターズが3台の小型EVを展示していた。 その月額1万円EVの「大熊(OHKUMA)」は、現在中国から輸入されており、全幅の関係から小型車登録されているが、その名前の由来である「大熊」は、福島県大熊町から取った名前で、将来的には軽自動車の幅に合わせ大熊町で生産を予定しているという。 他に小型EVの「エアEV」と「キーウィEV」が展示されていたが、いずれも参考出品とのこと。反響次第で販売を考えているようだ。他にも1トン程度の積載量を持つ「エレクトロニック・バン」の資料があった。こちらも導入を計画中という。 こちらは小型EVではないが、日本未導入の中国製プレミアムSUV「ニオ・ES8」が展示されていた。日本のSUVよりも一回り大きく豪華な仕様であった。筆者も初めて見たのだが、中国、ヨーロッパを含め売れているようである。

TAG: #THE視点 #イベントレポート #新興EV
アルファ・ウルフ(photo=アルファのYouTubeより)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
“無骨・剥き出し”の80’sスタイル……米新興アルファ、EVピックアップ「ウルフ」を発表[2023.08.10]

“アメリカの軽トラック”らしい実用性重視のヘヴィデューティ志向 EVをヒットさせるには魅力的な商品性が必要 【THE 視点】アメリカの新興EVメーカーのアルファは7月31日、EVのピックアップ・トラック「ウルフ」を初公開した。同社によれば、初公開までのスケジュールは予定通りに進んでいるという。プロトタイプが高温状態・険しい地形・高速道路においてテストを実施し、それぞれの状況で高いパフォーマンスを示したとのこと。 「ウルフ」は、シングルキャブの「ウルフ」(ベーシックモデル)/ダブルキャブ(センターピラーレス・観音開きドア)の「ウルフ+」/ダブルキャブ(センターピラー有り)の「スーパー・ウルフ」の3種類を用意。 ボディサイズは、最も大きい「スーパー・ウルフ」の値で、全長5,450×全幅1,995×全高1,768mm。荷台のサイズは、長さ1,652×幅1,490×深さ458mm(スーパー・ウルフ)となっている。 シングルモーターのRWD(ベーシックのみ)とデュアルモーターのAWDの用意があり、0〜96km/h(0〜60mph)の最速タイムは5.9秒(ウルフ+)と、重く大きなピックアップ・トラックとしてはかなりの高性能ぶり。航続距離は最大で440km(275マイル)以上。アルファは現在、プロトタイプを追加生産して開発を進め、量産の準備を進めているという。 今回の発表に合わせて、アルファの公式YouTubeに「ウルフ」の走行動画がアップされた。現代のEVらしい洗練された映像ではなく、荒野をホコリにまみれて豪快に走る映像を捉えている。 北米、特にアメリカ・テキサスといった地域でのピックアップは、日本でいう「農家の軽トラック」のように、一家に一台あるような存在だと聞いたことがある。 それゆえ北米を中心にEVピックアップが続々と発表されている。筆者もカナダ旅行にて見かけた新興メーカー「リヴィアン」の「R1T」は、EV時代のピックアップを象徴するような存在だし、老舗のフォードやラムも「F150ライトニング」や「ラム1500REV」といったEVピックアップを発表している。 「ウルフ」がユニークな点は、レトロなデザインを採用していることであろう。リヴィアンもフォードもラムも、どちらかといえばモダンなデザインだが、「ウルフ」は、エンジンオイルの匂いを画面越しにも感じるような剥き出し・無骨さ溢れる1980年代風である。ベーシックモデルは特に、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場した「トヨタ・ハイラックス」そのものの雰囲気ではないか。 日本でもレトロなデザインの「トヨタ・ランドクルーザー70」新型が発表され注目を集めているが、レトロでヘビー・デューティーなデザインを好むユーザーは世界共通で存在する。「ウルフ」はそのような層の心を虜にすると思う。 ピックアップといえば、「トヨタ・ハイラックス」が、日本で若者を中心に“メーカーの想定を超えて”ヒットした。それを受けてか、三菱も新型ピックアップ「トライトン」を日本に導入する。日本でもピックアップの支持層は確実に増えている。 もしEVのピックアップが日本でも登場すれば面白い展開になる。日本でEVが売れない理由は、インフラの問題以前に“商品性が乏しい”からだと思っている。“EVはエコ”という考えと売り文句はすでに手垢まみれである。ピックアップのような、ユニークで目を引きライフスタイルに刺激を与えるEVが必要ではないだろうか。どうせ持つならかっこいい方が良い。 ともあれ、「ウルフ」は発表から2年が経過しての公開。認証プロセスや量産体制の構築といった課題があり、発売までにはまだ時間が掛かりそうではある。ただ、期待値は大きいだろう。早く市販にたどり着いて欲しいものだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、防弾仕様の「i7プロテクション」を発表……ドイツ政府公式のセキュリティレベル「VR9」をクリア、自衛隊の64式小銃も採用する7.62mmをはじく高い防御性能[詳細はこちら<click>] ★★HWエレクトロのEVバン「エレモ-L」がキャンピングカーに……カーステイが「エレモ-L」ベースの「ムーン T-01」の先行予約を開始、HWエレクトロと共同開発 ★★出光興産、さいたま市内の再生可能エネルギーを使用したEV充電サービスを開始……「idemitsuでんき」契約者自宅の太陽光発電の電力を買取り ★武蔵精密工業、インドのEVスタートアップ「BNC」に出資……EVバイク用の駆動ユニット「eアクスル」以外にソフト開発なども協力へ ★武蔵精密工業、ケニアのスタートアップ「ARC Ride」に追加出資……二輪・三輪EVのハード・ソフトの開発を強化、東アフリカでのEV事業の展開も視野 ★TSMC/ボッシュ/インフィニオン/NXPが欧州に半導体製造の合弁会社「ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(ESMC)」を設立……2027年末までに製品の生産を開始 ★GM、V2H(EVの電力を家庭用電力として使用可能にするシステム)技術を推進……キャデラックの新型EV「エスカレードIQ」をはじめ2024年型のEVモデルをV2H技術「アルティウム」に適応 ★東京住宅供給公社JKK、社用車にEVを導入……「日産サクラ」を17台 ★フォルクスワーゲン、「ID.4」の展示・試乗イベントを開催……8月19日(土)の「東京ミッドタウン」<港区六本木>を皮切りに11月末まで全国19都市を巡業 ★「日産サクラ」と音楽ユニット「ゆず」がコラボレーション……「Kアリーナ横浜」<みなとみらい地区>でのこけら落とし公演を記念し「#ゆずサクラ」をキーワードとした取り組みを実施 ★“人力シリーズハイブリッド”のEVバイク「ENNE T250」、EVバイク専用タイヤを標準装備へ……予約済み車両も無償でアップグレード デイリーEVヘッドライン[2023.08.10]

TAG: #THE視点 #ニューモデル #新興EV
カナダの風景(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
ルーシッドのショールームにて実車を確認……カナダ・バンクーバーで体感したEV市場の“気温”

大型連休を利用しカナダ・バンクーバーへ 少し前のことになるが、2023年の5月初旬、大型連休を利用し、カナダ・バンクーバーへと旅行してきた。今回の旅行はプライベートなモノだったが、バンクーバー市内では多くのEVが走っており、EVエンジニアとしての視点がどうしても離れなかった。現場を歩いて見えたのは、EVの浸透具合の日本との大きな違いである。非常に興味深い風景だったので、レポートをしたい。 日本よりもEVが多いバンクーバー市内、目立つテスラ バンクーバー市内を走る自動車を見てまず感じたのは、「テスラ車が多い」ということである。大雑把な勘定では乗用車10台に1台が「テスラ」という体感だ。その中でも「モデル3」が最も多く、次いで「モデルY」という印象だ。正直なところ、カナダでもテスラが多く走っているとは思いもよらなかった。 さらにテスラ以外にもEVが多く走っていた。ざっと記憶にあるだけでも「ヒョンデ・アイオニック5」「同コナ」「フォード・マスタング・マッハ-E」「ポルシェ・タイカン」「キア・ソウル」「GMボルト」「日産アリア」「BMW i3」「BMW iX」「ジャガー i-ペイス」「フォルクスワーゲン ID.4」「ポールスター2」「トヨタbZ4X」「スバル・ソルテラ」などが見られた。 特にヒョンデは、「アイオニック5」や「コナ」の実車を見かけたし、TVでは日本未導入の「アイオニック6」のCMを頻繁に見かけた。

TAG: #THE視点 #新興EV #海外ビジネス

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