#再生可能エネルギー
TEXT:桃田健史
日本はクリーンな「再生可能エネルギー」による発電を倍増の予定! できればスゴイことだが世間は受け入れるか?

温室効果ガスの大幅削減は実現するのか? 再生可能エネルギーは、社会にとって重要だ。世間でそういわれるようになって久しい。EVなど次世代電動車についても、再生可能エネルギーを活用することで、地球温暖化の抑制など地球環境にプラス効果があるとされている。 ところが、日本ではこれまで、再生可能エネルギーの拡大スピードがけっして早くなかった。たとえば、再生可能エネルギーの代表格とされる太陽光発電については、日本で2009年11月に「余剰電力買取制度」が始まった。その後、一般的にFIT制度と呼ばれることが多い「固定価格買取制度」に事実上、移行したという経緯がある。 これに伴い、一般家屋で屋根に太陽光パネルを設置したり、空いた土地に太陽光パネルがずらりと並ぶ風景が当たり前という感覚をもつ人が着実に増えた。 だが、買取価格が段階的に下がり、買取期間の満了によって、いわゆる「卒FIT」が増えたことで、再生可能エネルギーに対する世間の見方も沈静化した印象がある。 また、一部地域の大手電力会社では、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電力に対する系統連系の度合いを大幅に制限する、といった経営方針を打ち出す場合もある。 一方で、岸田政権下での国会の議論では、日本では今後、生成AIなどの技術進化によってデータセンターの増大における電力需要拡大などを理由として、原子力発電を含めて電力量全体の拡大が必要という議論があった。 そうした考え方が、2021年10月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画に盛り込まれた。 ところが、それ以降から現在(2024年末)にかけて、グローバルでは地域紛争や大国での政権交代などさまざまな要因から、エネルギー安全保障や地球環境対策に関する議論に変化が生じている。 これを受けて、2024年12月に公表された、第七次エネルギー基本計画(素案)では、総論として、今後の電力需要増加に伴い、日本経済の成長機会を失うことはあってはならないとし、そのためには、再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論は避けるべきと記載されている。その上で、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底することを目指すとした。 同素案の参考資料として、2040年度におけるエネルギー受給の見通しを示している。それによれば、日本のエネルギー自給率は、2023年度(速報値)で15.2%で、これを2040年度には3〜4割まで引き上げる。電源構成としては、再生可能エネルギーを22.9%から4〜5割への倍増。原子力についても増加し、8.5%から2割程度へ。 一方で、火力は68.6%から3〜4割への縮小させる計画だ。 これにより、CO2を中心とする温室効果ガス削減割合が大きく変化する。具体的には、2013年比で2022年度実績は22.9%だったが、2040年度には73%と高まることを目指す。 こうした国の政策が予定通り実現すれば、再生可能エネルギーの活用は拡大することにはなるが……。果たして、実社会における受け止めはこれからどうなるのだろうか?

TAG: #C02 #再生可能エネルギー
出光の再生可能エネルギー施策のイメージ図(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
出光が一般家庭から太陽光電力を買取り……さいたま市と共同実施、余剰電力をEVの充電に活用[2023.08.24]

電力地産地消のうえに提供側にお金を還元する好循環 太陽光発電設備の設置義務化なら導入費用相殺につながる施策を検討せよ 【THE 視点】出光興産とさいたま市は8月9日、市内の一般家庭が設置している太陽光発電の余剰電力を買い取ると発表した。 出光とさいたま市は、「ゼロカーボンシティ実現に向けた共創推進に関する連携協定」を締結している。その協定のもと、市内一般家庭の太陽光の余剰電力を「idemitsuでんき」を介して買い取り、10月から市内の公共施設と出光のステーション「セルフ浦和中尾SS」に使用する。 「セルフ浦和中尾SS」では、今年7月にEV用急速充電器を設置し再生可能エネルギーの電力を使用している。太陽光発電設備、蓄電池およびエネルギーマネジメントシステムも導入済みだ。 この協定により実現する再生可能エネルギー施策のフローは以下となる。 1……「idemitsuでんき」が市内の一般家庭の太陽光発電の余剰電力を買い取るとともに、出光グループの「ソーラーフロンティア」が太陽光発電システムのメンテナンスや機器交換などに対応。 2……買い取った太陽光の余剰電力を、「idemitsuでんき」の再生可能エネルギー電力「グリーンプラス(CO2フリー)」として、さいたま市の公共施設と「セルフ浦和中尾SS」に供給。 3……「セルフ浦和中尾SS」にて、EV用急速充電サービスに使用。 4……「セルフ浦和中尾SS」の太陽光発電システムの電力をSS内で使用。同時に余剰電力を蓄電池に充電し、電力逼迫時に放電するエネルギーマネジメントを行なう。 この出光の取り組みは、「VPP」(バーチャルパワープラント:仮想発電所)の一例ともいえる。電気の地産地消とEVを組み合わせた新しい取り組みの良い例ではないだろうか。 東京都などでは、太陽光発電設備の新築への導入が義務付けられるが、余剰電力をどうするかまでは議論が進んでいないように思われる。余剰電力の取り扱いは、すでに全国で問題になり始めている。 余剰電力をEVに活用することは良い施策だと思う。定置型の蓄電池と組み合わせれば、夏場の電力ピーク時などでも安定してグリーン電力をEVに供給できる。なにより、電力の買い取り先があることは、太陽光発電を導入した一般家庭にとって大きなメリットになると言えよう。 「卒FIT(固定価格での買取期間<住宅用太陽光発電の場合10年間>)だけでは、導入コストを回収することは無理」だと、知人が新築の際に住宅メーカーの担当者から実際に言われたと聞いている。導入を義務化するなら、補助金だけではなくそのコストやメンテナンス費などが帳消しになるような長期的な施策も考案すべきである。 出光とさいたま市のこの施策は、それらの問題の解消につながる新しい取り組みと言えよう。今後他の地域でも増えることを期待する。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新世代のEVモデル「ノイエ・クラッセ」「MINIクーパー」「CE 02」をワールドプレミアへ……「IAAモビリティ 2023」<ドイツ・ミュンヘン/9月5日>にて ★★ベルエナジー、EV用のポータブル急速充電器「Roadie V2」のレンタル事業を開始……9月1日より開始(料金は要相談)、オプションとしてテスラ車用のアダプターも用意 ★★エネチェンジ、EV向けのワイヤレス充電の実証実験開始の意向……出資しているワイトリシティと協業し普及を推進 ★東北大学、車体自体をバッテリー化できる素材を開発……3Dプリンタを活用した3次元構造のカーボン材料、車体フレームにエネルギーの貯蔵が可能に ★フォルクスワーゲン、「フォルクスワーゲン浜松西」および「浜松」の各店舗にてCO2排出量実質ゼロ運用を開始……EVの充電にもCO2排出ゼロの電力を使用 ★J.D.パワー、新車購入予定者(1年以内)を対象にEVの購入意向や意向者像を初調査……12月に結果を発表 ★ヨネ、EVを被せて消化する消防用品「超耐熱ファイヤーブランケット」を「ラリージャパン2023」の機材として納入……消化困難なバッテリー由来の火災に対応[詳細はこちら<click>] ★新電元、二輪EV向けのパワーコントロールユニット「DU012」をインドにて量産開始……バッテリー電圧/車速/モーターの回転数などをリアルタイムで検出・制御 ★バッテリーセルメーカーのノースボルト、12億ドル(約1,750億円)を新たに資金調達……ヨーロッパと北米でのプロジェクトを拡大 ★大平洋金属とマイクロ波科学、マイクロ波を利用したニッケル精錬技術を共同開発へ……EVに使用するリチウムイオン・バッテリーの材料、製造時のCO2排出を抑制 ★クレハ、「フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)」の生産設備を増強……リチウムイオン・バッテリーのバインダー素材 ★エナリス、容量市場(発電指令電源)参加企業を募集……V2H機器を持つ事業者も対象、電力供出時に報酬が発生 ★日産、「エコ1チャレンジカップ2023〜中・高校生による手作り電気自動車コンテスト〜」を開催……「東急自動車学校」<東京都多摩市/8月26日(土)>にて ★日産、鳥取県境港市とEV活用の包括連携協定を締結……日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」施策、公用EVの段階的な導入などを支援 デイリーEVヘッドライン[2023.08.24]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #再生可能エネルギー

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