#ヨーロッパ
TEXT:高橋 優
EVシフトは踊り場どころか再加速! いま欧州ではかなりの勢いでBEV化が進んでいる

前年同月比+27%でEV普及が再加速 欧州市場における2025年8月最新のEV販売動向が判明しました。EVシフト減速という言説とは裏腹に、BEVもPHEVも販売台数が加速しています。 まず、欧州市場におけるEV販売動向について、直近の2025年8月度単体におけるBEV登録台数は16万台弱に到達し、前年同月比+27%という大幅な増加を記録しました。一時期いわれていたEVシフト減速が底を打ち、再度EVシフトが加速している様子が見て取れます。 また、新車登録台数全体に占めるBEVシェア率は、2023年8月が21.74%、2024年8月が16.65%、そして2025年8月が20.22%と、前年を大きく超えています。PHEVの販売台数も8月単体で8.3万台以上が登録され、前年同期比で+59%の急成長となっています。PHEVのマーケットシェア率は10.6%に到達。よって、BEVとPHEVを合計したEVシェア率は8月単体で30.8%に到達しています。欧州で売れた新車の3台に1台近くがBEVかPHEVという普及率です。 8月単体における欧州の中の主要マーケット別のBEV販売動向とマーケットシェア率について、ドイツ市場におけるBEV販売台数は前年比+45.7%と急速にシェア率が上昇しています。次に、ドイツとフランスを上まわり、すでに4台に1台以上がBEVであるイギリスは、各自動車メーカーに対して、一定のBEV販売シェア率を達成させるための規制が導入されており、その規制値を達成できない場合は、自動車メーカー側に1台あたりに多額の罰金が課されます。自動車メーカーとしては、ガソリン車を売るためにもBEVを一定数売る必要があり、それも相まってEV販売が伸びています。 さらに、ベルギー以外の主要マーケットすべてでBEV販売シェア率が前年比プラス成長でした。ベルギーとオランダなどのEV先進国では3台に1台以上がBEVにシフト。EV普及が遅れているイタリア、スペイン、ポーランドなどの国々もEVシフトが加速し、とくにスペインは8月単体で11.47%と急成長中です。 それでは、欧州市場でどのようなEVが人気であったのかを分析しましょう。このグラフは2024年と2025年それぞれの8月単体におけるBEVの人気車種の上位を示したものです。トップからテスラ・モデルY、シュコダ・エルロック、テスラ・モデル3、フォルクスワーゲンID.4/ID.5、BMW iX1がトップ5としてランクインしました。 まず注目するべきは、小型セグメントのEVの台頭です。9位のルノー5、14位のヒョンデ・インスターはどちらも全長4000mm級という小型EVであり、2万5000ユーロ以内(約400万円以下)というコスパの高さによって急速に販売台数を拡大中です。 次に注目するべきはテスラの販売減速です。確かにモデル3は前年比+15%と販売台数が増加しているものの、モデルYは前年同月比ー37%の大幅マイナス成長に留まりました。モデルYは2025年前半にモデルチェンジしているという点を踏まえると、モデルチェンジを経ても需要が低迷してしまっている様子が見て取れます。 最後に、注目するべきは中国勢の台頭です。確かに人気車種ランキングにはランクインできていないものの、8月単体で4.35万台もの中国製BEVが登録され、マーケットシェア率も5.5%と史上最高水準に到達しています。

TAG: #EVシフト #ヨーロッパ
TEXT:山崎元裕
外出先でもスマホからEVの充電開始・終了時間をコントロール! メルセデス・ベンツが持ち運べるウォールボックス「フレキシブルチャージングシステムPro」を欧州で発売

家でも外出先でもEVの充電プロセスを制御する メルセデス・ベンツから、BEVやPHEVのカスタマーの利便性をさらに高める、「フレキシブルチャージングシステムPro」がリリースされた。 いわばポータブルなウォールボックスと表現してもよいこのシステムは、最大充電容量が22kW。家庭用のコンセントや三相コンセント、公共の充電スタンドなどさまざまな電源に対応する、自己検知式のアダプターで、スマートフォンなどの独自のアプリで充電プロセスを制御。すべての充電機能に関するリアルタイムな情報にアクセスすることも可能としている。 これまでとくにBEVを使用したライフスタイルといえば、基本的に毎日の決まったルーティーンに従って、夜は自宅で、あるいは走行距離によっては昼間に会社などでそれを充電、休日には充電スポットを探しながら旅行を楽しむといったものが一般的だったが、このフレキシブルチャージングシステムProは、いずれのシーンにおいても最適なオールインワンの充電ソリューションだ。 充電スポットの空き状況や車両の装備、またアダプターの種類にもよるものの、前で触れたとおり22kWの最大充電容量に対応し、さらに最適な充電電力の自動検出と調整、温度、センサー、安全機能により、最大限の安全性を提供するという。 付属の各種アダプターを使用すれば、1本の充電ケーブルでヨーロッパのほぼすべてのソケットタイプや、公共の充電ポイントに接続することが可能。さらに、ヨーロッパ圏を離れても、フレキシブルチャージングシステムProによる充電は、じつに簡単にそれを行うことができる。 充電システムは、使用するべきアダプターを自ら検出し、さらには最適な充電電力を設定。セキュリティ面では、盗難防止のために付属の壁掛け用固定具を使って、充電システムを壁に取り付けることもできる。 メルセデス・ベンツのほかのアクセサリーと同様に、このフレキシブルチャージングシステムProもまた、最大限の安全性を追求して設計されている。IP67準拠の短時間の水没でも漏電しない防水構造などはその代表的な例だ。 フレキシブルチャージングシステムProは、メルセデス・ベンツ車のみならず、タイプ2のプラグを持つBEVやPHEVとの互換性を持っている。 最大容量の22kWでの充電のためには車載充電器を車両に取りつける必要があるが、このインターフェイスはWLANを自由に使用できるため、カスタマー自身のネットワークで無線更新を行うこともできる。充電の開始と終了をリモートで制御することなどは、そのもっとも典型的で便利な機能といえるのだろう。 ほかにもカスタマーはさまざまなメリットを、この持ち運び可能なウォールボックスから得ることができる。すべての充電プロセスは、アプリを介して充電目標を設定したり、充電コストを調整したり、また最新情報の確認を行うこともできる。すべての充電プロセスはアプリに保管され、実際のステータスはもちろんグラフィカルなダッシュボードにも表示することができる。それをスマートフォンにエクスポートすることも可能だ。 高品質なメルセデス・ベンツ・デザインのバッグに収納され、常に整理整頓されるフレキシブルチャージングシステムPro。その販売はEU諸国を始め、イギリス、スイスですでに開始されており、今後さらにほかの国へと市場を広めていくことになるという。

TAG: #インフラ #ヨーロッパ #充電

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