#メルセデス・ベンツ
TEXT:西川 淳
常識を覆す「EQE SUV」のパッケージングとデザインは要注目![メルセデス・ベンツEQE SUV試乗記]

日本におけるメルセデス・ベンツの7番目の電気自動車として、8月25日に発売になった「EQE SUV」。いち早くこのモデルに試乗した西川淳氏にレポートしてもらった。上位モデルのEQS SUVも知る西川氏にEQE SUVはどう映ったのだろうか。 定石のモデル展開 「EQE SUV」はプレミアムブランドの上級モデルとして画期的である。商品のコンセプトそのものは、EVというよりもメルセデス・ベンツの乗用車シリーズにあって “予想通り”の展開、つまりは上(Sクラス相当の「EQS SUV」)と下(コンパクトな「EQC」や「EQB」)から攻めて、ブランド的に最もバランスのいいアッパーミドルクラス(Eクラス相当のEQE SUV)で締めくくるという定石に則ったものだ。だから、EQE SUVの登場そのものに驚きはない。パフォーマンスの想像も乗る前からだいたいついた。けれども画期的だと思う。なぜか。 “小さくて広い”からだ。ボディサイズに注目してほしい。なんと全長4.9mを切った。それでいてホイールベースは3m超え。このクラスのSUV(GLE)といえば5m級が当たり前で、それもモデルチェンジごとに大きくなってきた過去がある。たかが10cmの話とはいえ、フル電動化を機にこれまでの成長呪縛から一旦逃れ、BEV(バッテリー電気自動車)のレイアウト自由度を活用して小さく始めたことが画期的だと思ったわけだ。もちろん先にデビューしたEQS SUVも「GLS」に比べて短くなっている。けれどもセダン系はそうでもなかった。 メルセデスベンツは既存のICEラインナップから独立した専用プラットフォームをもつBEVで今後の主力となるはずのSUVシリーズにおいて、新たなボディサイズ戦略を取りはじめたということ。EQE SUV やEQS SUVが次回のモデルチェンジ時に大きくならないことを祈るばかりだけれど。

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ
TEXT:TET 編集部
大型トラックのEV化進む。メルセデスが航続距離500kmの「eアクトロス600」を発表

独メルセデス・ベンツの商用車部門メルセデス・ベンツ・トラック・バスは9月11日、電動大型トラック「eアクトロス」のロングレンジ版として、航続距離500kmを実現した「eアクトロス600」を、10月10日にワールドプレミアすると発表した。 1000kWh充電に対応 メルセデス・ベンツ・トラック・バスは世界で商用車の電動化を進めているが、その中でも大容量の荷物輸送に特化した大型電動トラックシリーズとして展開しているのが「eアクトロス」だ。そのネーミングどおり、かつて日本でも販売されていた内燃機関版の「アクトロス」をベースに、完全電動パワートレーンを与えられた同シリーズは、これまで「eアクトロス300」(112kWhバッテリー3個搭載)および「eアクトロス400」(同4個搭載)が発売済み。これらのモデルは、最大で400kmに達する航続距離を武器に、既に欧州などでは実際のビジネスシーンで活用が始まっている。 今回、そのeアクトロスに新設定されることが判明したeアクトロス600は、数字から分かるように、航続距離をさらに延長。メルセデス・ベンツ・トラック・バスによれば、充電なしで最大500kmの航続距離を達成しているという。さらに、将来的な1000kWh(メガワット)充電にも対応できるよう設計されているとのことだ。 その詳細なスペック等はまだ公表されていないが、昨秋ドイツで開催された「IAAトランスポーテーション2022」にメルセデス・ベンツ・トラック・バスが出展したプロトタイプ「eアクトロス・ロングホール」は、大容量のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを3つ搭載し、600kWh以上の電池容量で約500kmの航続距離を実現していた。明言はされていないものの、航続距離の公表値からして、eアクトロス600がeアクトロス・ロングホールの量産版と考えれば、そのバッテリーは上述のリン酸鉄タイプ3個ということになるのだろう。 また、今回同時に公表されたティザーイメージからは、eアクトロス600がトラクターヘッドであることも判明。もしかすると、これは数あるボディ形状の一つかもしれないが、少なくともメーカーが最も数を売りたいと考えているのは、トラクターヘッドなのだろう。実は、メルセデス・ベンツ・トラック・バスでは牽引されるトレーラーを使って航続距離をさらに伸ばすことも検討中。具体的には、トレーラーにもバッテリーと駆動モーターを搭載することで、航続距離を最大800km程度まで延長できる見通しということだ。 もちろん、これはすぐに市販可能というわけではないだろうが、トラクターヘッドをeアクトロス600のアイコンにすることで今のうちに数を売り、将来的なトレーラーの販拡にもつなげようという狙いかもしれない。 もうひとつ、注目なのはeアクトロス600が既存の300や400とは異なるデザインを採用しているらしいこと。ティザーイメージからは、コクピットが既存モデルより強くスラントしているようにも見え、メルセデス・ベンツ・トラック・バスもエアロダイナミクスを高めた旨発表しているから、トラックとしては異例のスタイリッシュなルックスも期待できそうだ。 世界では大型トラックも着実に電動化が進んでいる。こうした動きが日本にどのような影響を与えるのか、注目していきたい。  

TAG: #メルセデス・ベンツ #商用EV #発売前モデル
TEXT:小川フミオ
「IAAモビリティ」に映えたコンセプト、エレガントなメルセデス「CLA」とアグレッシブなクプラ「ダークレブル」

クプラは「限界を考えずに、ほんとうに乗りたいクルマ」、メルセデス・ベンツは「まもなく生産」とそれぞれの未来像を見せた。 “バットモービル”を思わせる ―クプラ 2023年の「IAAモビリティ」。ほかの記事で紹介してきたように、今回の特徴は、会場を、メッセとミュンヘン市内との2つに分けたことだ。 理由は、メッセ会場が手狭だとか、有料だと入場者をじゅうぶんに集められない(クルマばなれ?)とか、いろいろ取り沙汰されていたが、少なくともオデオンスプラッツなる中心部の広場での、オープンスペースなる各社の特設会場はにぎわっていた。 おおがかりなオープンスペースは、フォルクスワーゲン・グループのクプラだ。日本ではあまりなじみのないこのブランドは、スペインで2018年に立ち上げられた。 当初はスペインのセアトの高性能車のサブブランドだったが、いまは独立性が強くなっている。電動とスポーティさを両輪としたモデル作りを担当。今回は「ダークレブル・コンセプト」を展示した。 「未来のEVはセクシーでエモーショナルになれるということの証明」と、ウェイン・グリフィスCEOの言葉が紹介されているモデル。まるでゲームの世界から飛び出してきたようだ。 「限界を考えずに、ほんとうに乗りたいクルマってなんだ?と考えてデザインしました。デザインを通して、私たちは自分のフィーリングを表現できるし、大胆にもなるんです」 バルセロナでクプラのデザインチームを率いるヘッド・オブ・デザインのホルヘ・ディエス氏は、「フォルクスワーゲングループ・メディアナイト」でダークレブルを紹介しながらそう語っていた。

TAG: #IAA #クプラ #メルセデス・ベンツ
TEXT:小川フミオ
カーボンニュートラルを10年早く実現するにはどうすべきか、メルセデス・ベンツ本社会長の意欲とは

「パリ協定よりも早いカーボンニュートラル化を見据えて、数々の技術を整える」とオラ・ケレニアス取締役会会長は話す。それは先駆者としての矜持からの言葉だった。 2050年より早く メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月にBEV「EQE SUV」シリーズを発表・発売。このときドイツの本社から、オラ・ケレニアス取締役会会長が来日した。 2022年2月1日に、これまでのダイムラーから、メルセデス・ベンツ・グループに社名を変更。 そのとき、ケレニアス会長は「電動モビリティと車載ソフトウェアを重視することで、創業者の遺産を継続したいと考えている」と発言したと報じられた。 これからBEV(バッテリー電気自動車)を中心に、カーボンニュートラル化を進めたいとするケレニアス会長による、EQE SUVシリーズ発表会時の発言は下記のとおり。 「私たちは、2050年のカーボンニュートラル化に向けた目標設定をしています。これは(地球温暖化対策の国際的な枠組みである)パリ協定から導き出した目標です」 「もし、化石燃料に依存するプロダクトを手がける企業だとしたら、このような目標設定をする必要があります。私たちのばあいは“Ambition 2039”(バリューチェイン全体でカーボンニュートラル)を設定しました」 「2050年より10年早く脱炭素化をはかりたいというのが、私たちの考えです。そのためには、2020年代にやるべきことが多々あります」 「そこで私たちは、製品ラインナップや、それを支える技術の数かずを整えて、市場に提供しようと考えています。もし市場が受け入れてくれる用意ができたなら、そうします」 「私たちは、2020年代の終わりまでに、すべてのラインナップを電動化します。2023年第2四半期におけるグローバルマーケットでのメルセデス・ベンツのBEVの売り上げは、前年比123パーセント増です」 「23年上半期のBEVのセールスは、つまり、倍になりました。私たちはいまいきおいに乗っているといってもいいでしょう。EQE SUVは、BEV化促進のカギになります」 世界的に追従されるほどに日本法人は革新的 「日本法人がやることは、革新的です。日本で最初に実施された施策が、追って、世界的に実施されることもよくあります。そのひとつが、EQシリーズの専売拠点設置です。ひとつはすでにオープンしていて(横浜)、もうひとつはまもなくオープンの予定です(青山)」 「充電システムの構築についても、私たちは考えています。2030年までに世界の主要市場において、1万基以上の高出力充電器を設置する計画です」 ケレニアス会長がスピーチをした、EQE SUVシリーズ発表会場では、モニターに「日本でもMercedes me Chargeを活用した日本への導入も検討中」と表示された。 「むかしの図式だと、自動車会社が製品を作り、エネルギーはエネルギー会社の担当でした。しかしそれとはちがうプローチをとるのです。私たちは世界規模でインフラ構築に多額の投資を行うと、すでに発表しています」 2023年1月5日に、メルセデス・ベンツは、上記のケレニアス会長の発言にあるように、世界の主要市場にBEV用高圧充電器を整備すると発表。 たとえば北米では、「MN8エナジー」と協力。総投資額10億ユーロ以上を使って、400以上の充電施設を新設し、2500基以上の高圧充電器を設ける計画という。 「日本でのメルセデス・ベンツのオーナーは、私たちがサポートします。日本法人の経営陣と話しをしています。今年(23年)後半により具体的な内容を発表します。充電への投資を開始する予定です」 「何百万台のBEVは、巨大な蓄電池になるととらえることもできます。これを発電や給電のグリッドシステムとして機能させることもできるのではないでしょうか。EQE SUVには、(日本法人からの要求をいれて)給電システムを搭載しました。クルマのなかに小さな発電所があるという考えはおもしろいと思います」 「メルセデス・ベンツ・グループは、太陽光発電の大規模なプログラムにも投資をしています。欧州のいくつかの地域では、風力発電にも投資しています。つまり、私たちはある意味、エネルギーを自給自足できているのです。これまでエネルギーは独占的なものでした(それが変わるのです)」 「古いバッテリーをどうするのか。これも訊ねられる質問です。大きくて、重くて、多くの素材の集合体のバッテリー。使われているニッケルとかマンガンなどは、貴重であり高価です」 メルセデス・ベンツ・グループでは、ドイツにバッテリーリサイクルのためのクッペンハイム工場を作り(2023年内に落成予定)、そこでのリサイクル率は96パーセント以上を目標にすると発表。 「クルマを含めて、ほぼ完全なリサイクル化を確立すべく技術を確立してきました。車両に使う素材を循環経済に組み込むことにも取りこんでいます」 <了>

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ #戦略
TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツの最高責任者が語る「メルセデスの『最善』」と「脱炭素」の深い関係

「自動車業界の流れに乗り、ゼロエミッション化を目指す」―明確なビジョンを提言するケレニアス会長の視線は将来を見据えていた。 メルセデスが描く未来像 メルセデス・ベンツEQE SUVシリーズの日本発売にあたって、2023年8月25日に来日した、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニアス取締役会会長。 同社の発表会において、日本におけるメルセデス・ベンツ車拡販のための戦略の数かずを述べた。下記はそのときの発言を紹介するものだ。 「私は将来にむかっての戦略を大きく二つに分けて考えています。ひとつは、自動車業界ぜんたいを変革している流れにしっかり乗ること。もうひとつは、将来のゼロエミッション化をめざすこと」 「完全なBEV化は2020年代に実現するかもしれないし、する必要があると私たちは思っています。そこで会社の体制を、BEV時代に即したものへ仕立てているのです」 「私たちは、そこで、10億ユーロの投資を行います。ただし、電気化は、たんにハードウェアの変更だけで成功するのではなく、企業じしんやビジネスの流れと歩を一にしています」 「車両のデジタライゼーションは、5年か10年そこら前の車両と較べてみても、ほんとうに驚くほど進んでいます。センシング技術や、AI(人工知能ソフトウェアスタックと日本法人のビデオでは翻訳)は、自動運転のために開発されてきましたが、それだけでありません。あらゆる点でデジタライゼーションが進みました」 「センシング技術と人工知能ソフトウェアスタックは自動運転と、そのほかのデジタライゼーションの技術は、自動車業界を、いってみればひっくり返しました。私たちはそこで思い出すのです。創設者である、ゴットリーブ・ダイムラーと、カール・ベンツのことを」 「創意ある発明をさらに再発明する。創始者の業績をここでなぞるような技術革新を行っていきたいと考えています。メルセデス・ベンツでは、2023年だけでも150億ユーロの投資をさまざまな分野で行っていきます」 「私たちが投資するのは、R&D、新技術、工場への設備投資、世界中のネットワークマーケティング、それに販売ネットワークです。私たちは、未来に向けて、リソースと資本配分を行っていきます。その点で業界をリードしていると思います」 脱炭素化へ、メルセデスの『最善』 「繰り返しになりますが、メルセデス・ベンツというブランドは、ユーザーの方々に価値を理解していただいています。ひとつは、さきのダイムラーとベンツという創始者から始まるイノベーションとテクノロジーにおける先進性です」 「もうひとつの価値は、私たちのプロダクトを欲しいと思う気持ちを持っていただいていること。最初のメルセデス・ベンツ車に乗ったときの特別な気持は他に替えがたいものです」 「メルセデス車のオーナーになったということで誇らしく思う方は少なくないでしょうし、実際にオーナーになっていただいたら、そのときから、メルセデスの家族なのです」 「メルセデス・ベンツは、たんにA地点からB地点への移動手段ではないと私たちは思っています。メルセデス・ベンツに乗って移動するという特別な体験を提供するプロダクトなのです」 「電動化の歩みを振り返ると、数年前に戦略的な決定を行いました」 ここで、ケレニアス会長は、発表会場にいるジャーナリストに、電動化のプランを書いたスライドを見せた。 そこにあったのは「2022年:生産工程におけるカーボンニュートラル」「2030年:市場が許すかぎり100パーセント電気自動車化」「2039年:バリューチェーン全体でカーボンニュートラル」という計画だ。 「戦略的な決定とは、数十年かけてビジネスを脱炭素化することです。それが長期的にみて、最善だと思えるからです」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ #戦略
TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツ・グループの新たな戦略とは。オラ・ケレニアス取締役会会長が語る

「EQE SUV」の発表を機に来日したオラ・ケレニアス取締役会会長は、メルセデスの新たな戦略を提示した。 日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込み メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月25日に、SUVタイプのBEV「EQE SUV」を日本で発表・発売。500キロを超える走行距離、スポーティなAMGモデルの設定、給電システムの搭載……と話題が多いモデルだ。 日本では、「メルセデス・ベンツEQE350 4MATIC SUV」が8月25日からデリバリー開始。認証の時期の問題で、もう1台の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」は10月のデリバリーになるという。 全輪駆動方式を採用していながら、低負荷の走行時は、フロントモーターをクラッチを使って切り離して燃費向上に役立てるシステムを搭載。 走行性能、広い荷室による利便性、そしてモニターを3つそなえてのデジタライゼーションなど、いろいろと特徴の多いクルマである。 発表に合わせて、本国からオラ・ケレニアス取締役会会長が来日。EQE SUVへの期待にはじまり、日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込みなどを熱く語った。 「日本市場がいかに私たちにとって重要か。ここで強調しても、しすぎることはありません。メルセデス・ベンツは、業界をリードする立場にあるプレミアムブランドという自負がありますが、いま変革の時期が来ています」 「私たちの顧客の方々を、ブランドのファンと呼ばせていただくなら、日本でも過去数十年にわたって、強固な関係を築かせていただいてきました。その方々は、テクノロジーの重要性も理解なさっているし、私たちがいま行っていることも評価してくださっている。いってみれば、共益関係にあると思っています」 「私たちは、日本法人のがんばりのおかげで、変革の時代にあっても強固な関係をユーザーの方とのあいだに作りあげてこられました。でも、いままさに変革が始まったところなのです」 新しい戦略6本柱 「自動車業界ではとても多くの出来事が同時進行的に起こっています。それを見据えて、数年前に、新しい戦略を立てるとき、私たちは6本の柱を作りました」 ここで、その「6本の柱」を解説しておこう。2020年に利潤をあげて経営基盤を強固にするためと、ケレニアス会長が発表したものだ。 ひとつは「Think and act like a luxury brand」。私なりに訳すると、「ラグジュアリーブランドとして考え行動する」。 2つめは「Focus on profitable growth」。利潤を出す企業として成長することにフォーカスする。 3つめは「Expand customer base by growing sub-brands」。サブブランドを使って顧客層を拡張する。 4つめは「Embrace customers and grow recurrent revenues」。顧客をうまく抱え込み、代替需要を喚起する。 5つめは「Lead in electric drive and car software」。電気自動車と、それにまつわるソフトウェアの分野で業界をリードする立場に立つ。 6つめは「 Lower cost base […]

TAG: #EQE SUV #メルセデス・ベンツ #戦略
TEXT:小川フミオ
「EQE SUV」が日本発表! 取り回し良し、使い勝手良し、スタイリング良しのBEV SUV

スタイリングはいい意味で“フツウ” メルセデス・ベンツが手がける「EQE SUV」は、余裕あるサイズのSUVタイプのBEV。2023年8月25日に日本で発表・発売された。 特徴について「リアアクスルステアリングによって、最小回転半径は4.8メートルと、よりコンパクトなクルマなみの扱いやすさ。日本の道路事情によく合ったサイズです」 発表会場で登壇した、メルセデス・ベンツ日本営業企画部の上野麻海部長は、上記のように述べて、このモデルへの期待をにじませた。 印象的だったのは、スタイリングだ。いい意味で“フツウ”。奇をてらわないデザインだ。 「メルセデスの革新的な美しさと、伝統的なSUVデザインをみごとに融合したエクステリアには、新世代のダイナミズムとメルセデスならではのエレガンスが息づいています」 上野部長は、同時にお披露目された「EQE350 4MATIC SUV」と、高性能の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」の前に立ち、デザイン的な特徴について簡潔にまとめた。 メルセデス・ベンツが「ブラックパネルユニット」と名付けた、ICEならフロントグリルに相当する、独自の黒色のパネルがユニークだ。マスクのようにも見えるパネルの裏にはカメラをはじめセンシングユニットが収められている。 上記2モデルは、フロントマスクも差異化されている。 「AMGライン」エクステリアが標準となるEQE350 SUV のフロントバンパーは、「Aウイング・デザイン」とメーカーから呼ばれるテーマが採用されている。左右エアインテークとフリックを拡大。さらに下部にクロームトリムをアクセントに配したのが特徴だ。 EQE53 4MATIC+ SUVは、よりスポーティ。左右一文字のLEDによる「ライトバンド」がまず目をひく。ブラックパネルは、AMGバッジをもつ専用縦型。Aウイングは、ハイグロスブラックタイプとなる。 電気自動車専用プラットフォームならではのインテリア 室内は、デジタライゼーションがあらゆるところにほどこされている。代表的な装備は「MBUXハイパースクリーン」。コックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、助手席用有機ELフロントディスプレイあをわせて3枚の高精細パネルを1枚のガラスで覆った「ワイドスクリーン」採用だ。 おもしろいのは、センターコンソールのデザイン。前部はダッシュボードにつながって、いっぽう下側は宙に浮いたような形状としている。 「これは、電気自動車専用プラットフォームの採用により、従来のようなセンタートンネルが必要なくなったことを視覚的に示しています」と、プレス向け資料ではBEVの要素がデザインに取り込まれたと説明している。 もうひとつのデジタライゼーションは、メーターディスプレイ。走行モードなどで変更可能だ。 EQE 350 SUV では、「スポーティ」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の7 つ。 EQE53 4MATIC+ SUVのばあい「TRACK PAC」「Supersport」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の8つとなる。 上記といちぶが重なるドライブトレインの設定(EQE 350 SUVでは、「Comfort 」「Sports」「ECO」「Individual 」「Offroad」)で、パワートレイン、ESP、サスペンション、ステアリングの特性変更が選べる。 日本ではまず「ローンチエディション」が発売される。 「EQE 350 SUVローンチエディション」は、1369万7000円で、デリバリーは発表日と同日から。「EQE53 4MATIC+ SUVローンチエディション」は1707万円で、デリバリーは10月からと、メルセデス・ベンツ日本ではしている。 <了>

TAG: #EQE SUV #SUV #メルセデス・ベンツ

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