#ポルシェ
TEXT:TET 編集部
ポルシェ4ドアモデル「パナメーラ 」のE-ハイブリッドモデルが新型へと進化! システム最高出力は500馬力超え

パナメーラ「E-ハイブリッド」がマイナーチェンジ ドイツのポルシェAGは、多くの市場において効率的で運動性能に優れたe-ハイブリッドパワートレインへの関心がとくに高まっていることを受けて、パナメーラに新しいパワートレイン技術を採用した新型「パナメーラ4 E-ハイブリッド」と新型「パナメーラ4S E-ハイブリッド」を導入すると発表した。 あらゆる性能が強化されたモーター 新型パナメーラ4 E-ハイブリッドとパナメーラ4S E-ハイブリッドの最大のトピックは、電気モーターが刷新されたこと。先代モデルに対し、電気モーターでの航続距離延長、充電速度の向上、スロットルレスポンスの改善など、ほぼすべての分野での走行性能の向上が図られている。 最高出力140kW(190馬力)、最大トルク450N・mを発生し、大幅なパワーアップを実現しただけでなく、効率的かつ重量を最適化した方法でハウジングに組み込まれ、ポルシェ独自のトランスミッションであるPDKのオイル冷却循環に統合されている。内部ローター設計(ローターがステーター内で回転)により、質量慣性は50%減少し、スロットルレスポンスも向上。最大88kWまで回生可能な電気モーターは、パナメーラE-ハイブリッドモデルの航続距離の大幅な向上にも貢献している。 この新たな電気モーターと組み合わせ「e-ハイブリッドシステム」を形成するエンジンは、大幅に改良された2.9リッターV6ツインターボガソリンエンジンだ。 パナメーラ4 E-ハイブリッドは、最高出力224kW(304馬力)のエンジンを搭載。システム出力は345kW(470馬力)、トルク650N・mだ。これにより、0-100km/hの加速タイムは4.1秒、最高速度は280km/h、モーターでの航続距離は96km(WLTOサイクル、EAER city)という性能を手にしている。 一方のパナメーラ4S E-ハイブリッドは、ドライビングダイナミクスと高回転域での持続的なパワー供給に重点を置いたセッティングが施されている。2.9リッターの6気筒ツインターボエンジンの最高出力は260kW(353馬力)へと高められ、システム出力は400kW(544馬力)、最大トルクは750N・mを発揮するまでに至っている。むろん加速性能も向上し、パナメーラ4S E-ハイブリッドの0-100km/h加速タイムは3.7秒、最高速度は290km/hにも達する。 車両とナビのデータが連携して一歩先を読む 続いて走行モードに目を移そう。新型パナメーラ4 E-ハイブリッドと4S E-ハイブリッドは、4つのE-ハイブリッド専用ドライビングモードと、改良されたスポーツおよびスポーツプラスモードを備え、E-ハイブリッドモデルの効率をさらに最適化する。 各モードの役割を走行シーンに合わせて説明すると、まずクルマは常にフル電動状態の「E-パワーモード」で発進する。バッテリーの充電状態が一定の最小値を下まわると、自動的に「ハイブリッドオートモード」へと切り替わり、そのときの走行条件に応じたドライビングモードが自動的に選択される。 このモードでは車両とナビゲーションシステムの両データを連携した「アクティブルートガイダンス」によって、前方のルートを把握しながら運転戦略の最適化がなされる。これにより市街地走行における電気走行距離の割合を最大化し、効率を高めている。 3つ目のモード「E-ホールドモード」では、バッテリーの現在の充電状態が保持される。一方、「E-チャージモード」では、郊外や時速55km/h以上で走行しているときにはエンジンによってバッテリーを最大80%まで充電。市街地などを時速55km/h以下でを走行するときには、モーターがエンジンをアシストしてハイブリッドドライブならではの効率的な走行メリットを発揮する。 スポーツモードとスポーツプラスモードは、性能を犠牲にすることなく効率を高めるための改良が施されたモードだ。バッテリーの目標充電状態をスポーツモードで20%(先代は30%)、スポーツプラスモードで30%(同80%)に引き下げたことで、ポルシェらしいダイナミックな走りが楽しめる。

TAG: #ハイブリッド #パナメーラ #ポルシェ #新型車情報
TEXT:TET 編集部
0-100㎞/h驚愕の2.4秒! 80%までの充電は18分! 驚異的進化を遂げた新型ポルシェ・タイカンの受注予約開始

より速く! より遠くまで! 圧倒的パフォーマンスの進化ポイント ポルシェジャパンは、数多くの改良を施した新型タイカンおよび新型タイカンクロスツーリスモの受注予約を、全国のポルシェ正規販売店で、2024年2月7日から開始した。 ポルシェ初のフル電動スポーツカーであるタイカンは、これまで約15万台が生産された人気モデルであり、今回の改良では、「より高い出力」、「長い航続距離」、「速い加速」、「迅速な充電」、「優れた安定性」をキーワードに、広範囲におよぶアップグレードが施された。 市販化に向けたテストでは、開発エンジニアとテストドライバーがカモフラージュされたテストカーに乗り込み、世界中を360万km以上走行したという。 アップグレードされたすべての改良モデルは、先代モデルよりも出力を増し、より素早い加速を実現している。スポーツセダンのベーシックモデルにあたるタイカンは、先代モデルから出力を60kW向上させ、静止状態から時速100km/hに到達するまでのタイムは4.8秒とし、0.6秒の短縮に成功している。トップグレードのタイカンターボSに至っては140kWのローンチコントロールが追加され、システム出力は700kWにもなる。その結果、先代を0.4秒上まわる、わずか2.4秒で時速100km/hに達してしまうほどの驚異的な加速力を手に入れた。 また、スポーツクロノパッケージの新しい「プッシュトゥパス」機能を使用すると、ボタンに触れるだけでモデルに応じて最大70kWのブーストを10秒間利用することができる。 ボディタイプとエンジンに応じて、航続距離は先代比で35%増加し、最大678km(WLTPモード)まで足が伸びた。高出力、高加速を実現しつつ航続距離を延ばすために、ポルシェはすべての仕様で先代モデルの出力を最大80kW上まわる新しいリヤアクスルモーターを備えたパワートレインの採用や、改良型パルスインバーター、より強力で容量を増やしながら軽量化されたバッテリーの搭載、次世代ヒートポンプの投入、サーマルマネージメントの改良、ホイールの空力見直しとタイヤ転がり抵抗の低減化などといった多岐にわたる改良を施した。 とくに高速からの減速時の最大回生性能は、290kWから400kWへと30%以上の向上を果たしたことで、長距離走行時の充電回数を減らし、航続距離を延ばすことに大きく貢献している。充電性能は50kW増の320kW。電池残量10%から80%までの充電は18分で可能だ。なお、タイカン4Sにはパフォーマンスバッテリープラスが標準搭載される。 改良型タイカンシリーズにはアダプティブエアサスペンションが標準装備されている。サスペンションはダイナミックなブレーキングやステアリング操作、加速操作中であっても、ボディを常に水平に保つようにコントロールする一方で、なめらかな乗り心地で段差をほぼ完全に吸収するという。 4WD仕様車ではホイールの荷重をバランスよく配分することで、路面とのほぼ完璧な接続性を実現する新たなポルシェアクティブライドサスペンションを選択することができる。適切なモードが稼働状態になっている場合には、サスペンションがピッチとロールを補正して乗員に作用するGを低減してくれる。

TAG: #スポーツ #タイカン #ポルシェ #新型
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェの近未来を「IAAモビリティ」でチェック

フランクフルトからミュンヘンへ場所を移し、開催された「IAAモビリティショー(ドイツ国際モーターショー)」。ヨーロッパの将来がみられる会場で、近い未来のモデルをチェックしていく。 フォルクスワーゲンはID.GTIコンセプトに加えて、パサート・バリアントを発表 2023年9月にミュンヘンで開催された「IAAモビリティ」ショーの特徴を簡単にいうと、会場が2つあったこと。 ミュンヘンのメッセ会場と、市内(オデオンスプラッツなど)に、展示が設けられた。 フォルクスワーゲンは、メッセ会場に、「ID.GTIコンセプト」を置いた。 前日のフォルクスワーゲングループ・メディアナイトの報道の影響もあるのか、そこで初お披露目されたID.GTIコンセプトは、まわりから、一般の来場者が離れることがないほどの人気ぶり。 同様に、ミュンヘン中心部のオデオンスプラッツ(オデオン広場)には、オープンスペースと呼ばれる一般客が無料で入場できる会場を特設(そちらのほうがうんと広い)。そこでも展示を行った。 オープンスペースでは、新型「パサート・バリアント」も展示された。全長が5m近くまで拡大した新型は、ワゴンボディのみ。 セダン廃止の理由について「そちらはBEVのID.7がカバーする」とVWブランド技術開発担当取締役のカイ・グリューニッツ氏は説明してくれた。しかもセダン人気は低迷中だ、とつけ加えた。 新型パサートは、LEDライトストリップをフロントマスクに持ち、ID.シリーズとの共通点を強く感じさせた。ただし、プラグインハイブリッドを頂点に、ドライブトレインは内燃機関だ。 見どころは、EVOプラスという新しいプラットフォームを使っていること。

TAG: #VW #アウディ #ポルシェ
TEXT:田中誠司
ハンドリングはピュアスポーツ 乗り心地は高級サルーン[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

素晴らしい乗り心地 パナメーラなどと同じく3チャンバー式エアスプリングと可変ダンパーを備えるタイカンの乗り心地は、素晴らしいの一言に尽きる。ただし、乗用車ではなくあくまでもスポーツカーの概念で設計されたシャシーであることを片時も忘れさせることはない。 どういうことかというと、例えばメルセデス・ベンツやBMWはがっしりした重いボディにしっかりしたラバーマウントを介してサスペンションの動きを返してくる。対してポルシェは同じボディサイズならより軽量で、快適性よりも軽さを優先しているから、路面の段差をサスペンションのコンプライアンスでごまかそうと言う意識が少なくなるのだろう。 できるだけサスペンションアームの長さを取って、理想的かつ精密に動くような形態とし、サスペンション自体の力で優れた乗り心地を見出そうとしていることがヒシヒシと感じられるのだ。 具体的には一つ一つの入力に対してボヨンとした反応が少なく、全てをびしっと受け止める。その上で精密に作られたコンプライアンスの少ないサスペンションピボットが限られた範囲だけ動く、という感じ。それゆえときに高級車らしくない衝撃を感じることもあるのだが、まぁそれは生まれ育ちの違いだと言うことで、ポルシェのオーナーになろうとする人ならば納得できる範囲であり、そういった一種のハードさをむしろオーナーの側が求めているのだと思える。まさにスポーツカー、あるいはレーシングカーの延長線上にあるのだと言うことをはっきり主張してくる乗り心地だ。 ワインディングロードにおいても、上記の印象は変わらない。走行モードを問わず、ステアリング操作に対して、あるいはブレーキの操作に対して非常に繊細なレスポンスを返してくれる。あらゆるシーンでドアが4枚付いた車だと言うことを忘れてしまうような鋭いレスポンスを発揮し、2380kgの重さを、少なくとも一般公道で走らせている限りは全く感じることがない。 使い勝手と電費 低く構えたサスペンションは、一部のスーパーカーのようにリフトさせることが可能になっている。前後のリップスポイラーがカーボンゆえコンビニの車止めにも気を使わせられるから、この機能は助かる。ただしホイールベースは2900mmと極端に長いので、山なりの路面では腹を擦らないように気をつける必要があるだろう。 クルーズコントロールの動作は、加減速や先行車をとらえた瞬間の動きなど十分にスムーズといえる。ドライバーの操作が途切れたときに自動操縦を中断してしまうまでの時間は、比較的短いようだ。 電費は、高速道路が8割、順調に流れている一般道が2割という比率で577.1kmを走り、平均で5.4km/kWhであった。平均速度は49km/hで、途中2度ほど継ぎ足し急速充電をしている。 結論 タイカン・ターボSは、ポルシェのスポーツカーとしての伝統を完璧に受け継ぎながら、4人の乗員と彼らのためのラゲッジを全て収容するパッケージングを持ち、充分すぎるほどの加速力も備える。世界的には911を上回る販売実績も納得の出来栄えであった。 そんな中であえて苦手分野をと問われれば、やはり航続距離だろう。自宅充電が可能な人であっても、出先での充電を避けたければ実質400km程度の旅が限界だろうし、大きなバッテリーは急速充電するにも時間がかかる。1時代前に比べればかなりいい線まで来ているとはいうものの、この点ばかりはポルシェにしても難しかったと捉えざるを得ない。充電拠点の少ない日本においてはなおさらである。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ
TEXT:田中誠司
ピュアスポーツの伝統を受け継ぐ4シーター[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

タイカン最新ラインナップの概要 ポルシェ初の量産BEVである「タイカン」は2019年にワールドプレミア、日本では2020年に発売された。スペック表の通りなかなかの大型セダンだが、乗車定員は4名と割り切っている。ただしオプションで5人乗りを選ぶこともできる。 パワートレーンは大きく2種類に分けられる。1モーター後輪駆動と2モーター4輪駆動だ。前者を用いるのは素の「タイカン」のみで、最大出力300kW/408ps。これがエントリーモデル的な扱いになっている。後者は最高出力の違いで390kW/530psの「4S」、440kW/598psの「GTS」、500kW/680psの「ターボ」、560kW/761psの「ターボS」の4機種を揃える。 今回乗ったのはパワーレベルの最も高い「ターボS」。ポルシェジャパンの駐車場で対面すると、ポルシェの市販車ラインナップ中で最も高価かつパワフルなものに与えられてきたグレード名だけあって、外観もとても引き締まって見える。素のタイカンのホイールは19インチだがターボSは21インチ。オプションのボディ同色リムから覗く巨大なブレーキディスクは、標準でPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)となる。 インテリアは、タイプ997以降のポルシェの流儀に従って整然としたレイアウトだ。ダッシュボードの中央にはクロノグラフが備わり、助手席前のパネルにはタッチスクリーン(いずれもオプション)が配置されるなど、テクノロジーを前面に打ち出している。一方で、センターコンソールにはカップホルダーとして丸い2つの穴が開いており、そこだけがあまりにもアナログな光景でユーモラスであった。     スリムなシートはターボSの場合、標準で18way調節機構付きで、実はポルシェのシートが苦手な筆者でも、長時間のドライブでどこも痛くならなかった。リアシートは2名分と割り切っているおかげで、フロントシートに劣らないパーソナライズ感がある。 ラゲッジスペースは、位置は高いが床はフラットだ。ボディ形状からはあまり期待できそうもないと想像してしまうが、ヒンジの形状がよく考えられており、有効に使える体積は思ったより大きい。メジャーで計測してみると幅x奥行きx高さは90〜148x104x45cmだった。BEVだけにフロントにも“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースがあり、こちらは55x30x36cmだった。 ターボSの車両本体価格は2468万円。これにボディ色アイスグレーメタリック39万6000円をはじめとする有償オプション28種544万4000円が加わり、試乗車は総額3012万4000円である。素のタイカン1286万円が破格にすら感じる。 強烈な加速 筆者は「タイカン4S」がデビューまもない頃に走らせたことがある。率直に言ってこの世のものとは思えないほど強烈な発進加速性能を持っていた。言い換えれば「これ以上もう何もいらない」という印象だったわけで、今回さらにハイパワーなターボSに乗っても、正直なところ公道上では加速性能に関してさほどの違いは感じられなかった。 カタログ上の0-100km/h加速は4Sの4秒フラットに対しターボSは2.8秒とかなり開きがあるが、いずれにしろ凄い領域なので胸のすくひまもない。テスラ・モデルSもそうだが0-100km/h加速2秒台というのは、もはやパワーユニットの性能というより路面の性能、つまり摩擦係数の問題になってくるのではないかと思える。 フィーリングとしては、かつて4Sを走らせた時に感じたような生々しい、電気自動車ならではのトルクの強烈さみたいなものを、むしろ最新モデルでは敢えて抑えているような印象を受けた。このことも、前述の格別な加速感を感じないことに一役買っているのかもしれない。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ
TEXT:TET 編集部
ZFが新開発電動ドライブシステムを披露。「タイカン」ベースのコンセプトカー「EVbeat」に搭載

ドイツのテクノロジー企業「ZF」は6月29日、新しい800V電動パワートレインを搭載するコンセプトカー「EVbeat」を発表した。このコンセプトカー、ポルシェ・タイカンをベースに大幅なトルクアップや航続距離の延長を実現しており、技術の一部は2026年の発売が予定されている。 リアアクスル最大トルク5200Nmを実現 EVbeatは、ポルシェのバッテリー電気自動車(BEV)「タイカン」をベースに、ZFや他のサプライヤーの最新技術を採用し開発されたもので、ドイツ本国で開催されるグローバルテクノロジーデーにおいて公開された。このうち、ZFはEVの心臓ともいえるパワートレインを担当。新システム「EVSys800」はEVbeatに強大なトルクと長い航続距離をもたらしている。 小型、軽量および実走行での最高効率が追求されたEVSys800は、パワーエレクトロニクス、電動モーターおよび減速機で構成。非常にコンパクトなデザインと軽さが特徴で、小型減速ギアボックスとZFが特許を取得したモーターの「編み込み式巻線」技術により、モーター長を50mm短縮したほか、総重量は74kgと現行の800Vシステムに比べ約40kg軽量である。 リアアクスル最大トルクは5,200Nmとなっており、公道を走行する乗用車向けとしては他に類を見ないほど高い。また、最高出力275kW(374ps)の75%という高い定格出力(206kW=280ps)もアピールポイント。 ZFでは、こうした定格出力向上のためモーターの冷却方法と巻線を工夫し、最も熱が発生する巻線の周囲に直接オイルが流れる冷却構造を採用した。そして、レアアースの使用も省き、モーターの生産工程をよりサステナブルなものとしている。巻線技術そのものについても、先述の「編み込み式巻線」により銅の使用量を約10%低減したという。 >>>次ページ 寒冷時の航続距離を大幅アップ

TAG: #ZF #ポルシェ #新技術
TEXT:岩尾 信哉
ポルシェ・マカンEV仕様の開発進行中。基本仕様はこうなる!

ポルシェは1月11日、EV仕様の新型マカンの開発状況を、雪上でのテスト風景などとともに明らかにした。ポルシェは2025年までに販売モデルの半数以上をEVもしくはプラグインハイブリッド・モデルとし、2030年までに80%以上の販売車種をEVとする目標を掲げている。ポルシェでは初めて新たなEV用プラットフォームを採用車種として現れる次期型マカンについて、限られた情報を確認しておく。 新プラットフォームが生み出す「電動マカン」 フォルクスワーゲン・グループ内で、アウディとポルシェはBEV(バッテリー電気自動車)用プラットフォームの開発を共同で進めており、新プラットフォームはPPE(Premium Platform Electric :プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)と呼ばれている。  フォルクスワーゲン・グループのEV用プラットフォームを確認しておくと、現状ではフォルクスワーゲンでは「ID.シリーズ」やアウディのコンパクトモデルである「Q4 e-tron」などには、中小型車用のMEB(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス)が使われている。「アウディe-tron GT」や「ポルシェ・タイカン」といったラージクラス用としては「J1パフォーマンスプラットフォーム」が存在する。グループ内のランボルギーニやベントレーといったプレミアム・ブランドへの採用も視野に入れたものだ。これらに加わるのが「PPE」となる。将来はフォルクスワーゲン・グループ内において、J1に代わって上級モデルの主力プラットフォームとして利用される予定だ。 新型マカンのEV仕様について明らかにされた内容を、電動パワートレインから追っていこう。永久磁石同期モーターを利用する駆動システムは、ポルシェが採用する800V高電圧システムと組み合わされ、約450kW(約610ps)の出力と、1,000Nmを超えるトルクに対応すべく開発されている。充電時間に関しては、80%を5~25分以下で充電可能という。フロア下部に搭載される総容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーは12個のモジュールで構成。充電施設が400V対応の場合にも、バッテリー機能を2分割して切り替え可能とするなど、利便性に配慮した仕様となる予定だ。

TAG: #ポルシェ #マカン
TEXT:生方 聡
VWグループ、2022年のEV世界販売台数は57万2100台で26%増

フォルクスワーゲン・グループは、1月12日、2022年のEV販売台数が前年比26%増となる57万2100台に上ったと発表した。 フォルクスワーゲン・グループは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーといった乗用車ブランドに加えて、フォルクスワーゲンの商用車部門や、マン、スカニアといったトラック部門など、さまざまなブランドを傘下に擁している。 2022年のグループ全体の世界販売台数は、部品の供給不足や一時的な生産停止などの影響で、前年から6.9%減の8,262,800台に留まったが、EVの販売台数は452,8100台から26.3%増の572,120台に伸ばす結果になった。総販売台数に占めるEVの割合も、2021年の5.1%から6.9%に上昇している。   2022のEV販売台数 2021のEV販売台数 増減(%) フォルクスワーゲン(乗用車) 325,100 263,100 +23.6 シュコダ 53,700 49,100 +9.3 セアト/クプラ 31,400 13,000 +140.8 フォルクスワーゲン(商用車) 7,500 3,600 +109.0 アウディ 118,200 81,900 +44.3 ランボルギーニ/ベントレー 0 0 —— ポルシェ 34,800 41,300 -15.7 マン 900 800 +3.5 フォルクスワーゲン(トラック&バス) 0 0 —— スカニア 260 0 —— ナビスター 260 10 —— 合計 572,120 452,810 +26.3 […]

TAG: #ID.4 #VW #アウディ #ポルシェ #生方 聡
TEXT:福田 雅敏
実質EV元年と感じた充実のEV展示とそのカスタマイズ……EV開発エンジニアのオートサロン探訪[その4(最終)]

世界最大級のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」が1月13日から15日まで幕張メッセにて開催された。今回の「オートサロン」には、多数のEVも出展されると聞いた。そこでEV開発エンジニアであり本媒体のエグゼクティブアドバイザーである福田雅敏が現地に赴いた。その現場をレポートしたい。今回は「その4(最終)」をお送りする。 アウトドア志向を押し出した三菱 「ミニキャブ・ミーブ B-レジャースタイルⅡ」は、車載のバッテリーからの給電機能を活用したカスタムカー。アウトドアシーンに溶け込むアイボリーとモスグリーンの2トーンカラーとし、ボディサイドにはEVを象徴する電源プラグをモチーフとしたラッピングがなされている。 室内は荷台スペースをフルフラットとして居住性を高め、リモートワークに必要なデスクや座椅子、車中泊に必要なベッドキットを装備することで、プライベートな空間を演出している。 さらに、駆動用バッテリーから定格1500WのAC100V電源を取り出せる「ミーブ・パワーボックス」を使用し、リアゲートに取り付けたプロジェクターでのeスポーツ体験や、リモートワーク用パソコンの充電などを可能とするなど、ビジネス&レジャースタイルを提案していた。出先で楽しくなり電力を使いすぎて「電欠」にならないよう、電池残量のこまめな確認が必要だと感じた。 そして「eKクロスEV」をベースとした「eKクロスEV Smooth×Tough(スムーズ・バイ・ タフ)」も展示されていた。EVの静かかつ滑らか、そして力強い走りをそのままに、SUVテイストを一層高めたのが特徴。 ボディカラーは、マットグレーメタリックとブラックマイカの2トーンカラーとし、フロントグリルガードやオールテレーンタイヤを装着。さらに、リフトアップしたことで、オフローダースタイルとしている。 ただ残念なのは、ここまでSUVテイストを強めているのに、4WD仕様がないこと。雪の多い地域のSUVファンのためにも早期に4WD仕様を出してほしいものである。 「オートサロン」ならではのアフターメーカーによるEVカスタムカー見聞 「テスラアライアンス」のブースには4台のドレスアップされた「モデル3」とテスラ用のドレスアップキットなどが所狭しと展示されていた。 テスラ好きが集まったカスタムメーカー集団「テスラアライアンス」の関連企業は20社あまり。その中には普通充電器付貸ガレージなども紹介されていて「EVと住宅」というライフスタイルをどう快適かつ楽しく過ごすかを訴求していた。このブースの中に、KGモーターズの超小型EV「ミニマム・モビリティ・コンセプト」も展示されていた。 「ブリッツ」のブースでは、日産「アリア」をドレスアップした「ブリッツ・アリア」を展示。エアロパーツとホイールでドレスアップされていた。「ブリッツ・アリア」は、来場者の投票により決定する「東京国際カスタムカーコンテスト」SUV部門において優秀賞を受賞した。 先の「カー・オブ・ザ・イヤー」でもそうだが、このような賞典をEVが受賞するようになり、時代の移り変わりを実感した。 「トーヨータイヤ」のブースではアウディ「e-トロン・クワトロ・フーニトロン」を展示。1980年代の伝説ともいえる「スポーツ・クワトロS1」をオマージュした電動4輪駆動のレーシングEV。2モーターによる合計最大トルクは6000Nm(611.83kgm)を誇る。 本来であれば、世界的ラリードライバーであり、「ジムカーナ」シリーズの神業ドライブでもおなじみのケン・ブロック氏が来場するはずだった。が、1月2日午後、ユタ州においてスノーモビルの事故で亡くなり、それがかなわなくなった。享年55。非常に残念なことである。ご冥福をお祈りする。 「ボンドグループ&レザーコーポレーション」のブースには、「テックアート・タイカン4S」が展示されていた。エアロパーツをまとい車高が落とされた車体、大径ホイールでドレスアップされたもの。標準のホイールでは大きく感じたフロントブレーキキャリパーは、大径ホイールの影響で逆に小さく感じた。 総括:「オートサロン」は実質モーターショー、来年は走行性能にも手を加えた「チューニングEV」登場の予感 筆者にとって、コロナ禍では初のオートサロン見学。プレスデーに見学したが、当日は4万4000人の来場者があり、十分混んでいた。3日間の合計来場者は18万人あまり。出展社数341社、出展台数789台、ブース総数3904小間。特に出展車数は昨年より1割(77台)増しとなった。 今回は、主催者による「オートサロンテック2023」などEVを中心とした次世代自動車のテーマ館もあり、カスタムカーの祭典「オートサロン」でも新時代への流れを感じた。 自動車メーカーの多くがEVを展示していたこと、海外EVメーカーの出展や新型車の発表など、これまで「東京モーターショー」の場で行われてきたことが、「オートサロン」で行われるようになった。先日アメリカで「CES」が開催されたが、実質北米のモーターショーに変わったと言われている。「オートサロン」もそんな「CES」の流れと被るように思う。 2022年がEV元年と一部では言われているが、今回の「オートサロン」のEVの出展を見るに、実質は2023年がEV元年のように思えた。 ただ一部聞いたところによると、半導体不足などの納車の影響で、ベース車の入手ができない業者もあったようだ。展示台数がもっと多いであろうと思った日産「アリア」や「サクラ」、三菱「ekクロスEV」などがほとんど見かけなかったのは、その影響もあるのではないだろうか。 恐らく来年は、カスタムEVがさらに増えるだろう。今後はアフターメーカーも、EVの純正ECUの制御を解析しパワーアップした「チューニングEV」が出てくる予感がする。 <了>

TAG: #eKクロスEV #アウディ #アリア #タイカン #テスラ #ブリッツ #ポルシェ #ミニキャブ・ミーブ #モデル3 #三菱 #日産 #東京オートサロン2023 #福田雅敏

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