フォルクスワーゲン ジャパンは、昨年11月22日に国内販売が開始された電動SUV「ID.4」の生産体制の変更を発表した。納車遅れを改善するための対策で、これまでのツヴィッカウ工場(ドイツ)からエムデン工場(同)に生産拠点を移管し、今夏以降、順次納車を再開するとのことだ。 航続距離を約10%延長するアップデートも 2020年にフォルクスワーゲン初の電動SUVとしてグローバルデビューしたID.4は、電気自動車(BEV)専用のプラットフォーム「MEB」を採用し、長い航続距離と広々とした室内空間を両立。 パワートレインは最大77kWhの大容量バッテリーとリアモーターの組み合わせで後輪を駆動するRR方式。国内仕様はCHAdeMO規格の急速充電にも対応し、国産BEVに引けを取らない使い勝手を実現している。2021年にはワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いており、国際的評価も折り紙付きだ。 日本でのID.4は、特別仕様車のみが先行販売されたので、そのスペックと価格をおさらいしておくと、エントリーグレードの「ID.4 Lite ローンチエディション」(499万円)は、52kWhバッテリーに125kW(170ps)モーターを組み合わせ、航続距離(WLTCモード)は388km。上級グレードの「ID.4 Pro ローンチエディション」(636万5000円)は、77kWhバッテリーに150kW(204ps)モーターを組み合わせ、航続距離561kmを達成していた。 もっとも、このローンチエディションは昨年11月中には早々に完売し、同年12月からは標準仕様の2023年モデルが受注開始となった。注目すべきは、2023年モデルではローンチエディションと同バッテリーを搭載しながら、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、航続距離が延長され、iD.4 Proは561kmから618kmに、iD.4 Liteは388kmから435kmに、それぞれ約10%延長されている。 その分、価格はiD.4 Proが648万8,000円、iD.4 Liteが514万2,000円と、やや値上がりしたが、航続距離の伸び率に比べればわずかな上昇だから、ローンチエディションを逃してしまった人には嬉しいニュースだろう。 >>>次ページ 部品供給の安定化のためタイヤの仕様変更も