EVは普通のタイヤがすぐ摩耗するって本当か
タイヤは消耗品だ。ICE(内燃機関)車では、数万キロに一度の交換サイクルを経験している人も多いだろう。ところがEVに乗り換えたユーザーのなかには「タイヤの減りが早い」という人もいる。じつはこれ、単なる思い込みというわけではなく、EVの構造特性に起因する明確な現象だ。

EV専用タイヤという製品カテゴリーが各メーカーから登場しているのも、その問題と無関係ではない。EVはタイヤにどのような影響を及ぼしているのか? また、EV専用タイヤはどのような設計思想で作られているのかを説明しよう。
EVはタイヤを早く消耗させるのか
EVがタイヤに大きな負担をかける主因はふたつある。ひとつはバッテリーによる車両重量の増加だ。同クラスのICE車と比較すると、EVは大容量バッテリーを搭載するため、一般に200〜400kgほど重くなるケースが多い。重い車体は走行中にタイヤを路面に強く押しつけるため、接地面の摩耗が速まる。

もうひとつは、ICE車と決定的に異なる電気モーターの瞬発的なトルク特性だ。内燃機関はエンジン回転数が上がるにつれてトルクが増大していくのに対し、電気モーターは起動直後の回転数ゼロの状態から最大トルクを瞬時に発生させる。
この特性はEVの加速性能の高さとして称賛される一方、タイヤにとっては過酷な条件となる。発進直後から大きな駆動力が発生し、路面との間で生じる摩擦力が同クラスのICE車に比べ大きい。乗用EVはコンパクトカーであってもICEスポーツカーなみの300〜400Nm級のトルクを発生する車種も多く、これが路面にダイレクトに伝わる。この即応性の高いトルクがタイヤと路面の間に生じる摩擦力を大幅に高め、発進時や加速時の摩耗を促進する。

重量増加と瞬発トルクというふたつの要因が重なることで、EVは同じ走り方をしてもICE車よりタイヤの消耗が早まる傾向にある。もちろん運転方法や車種によって差は大きいが、こうした特性は普通のタイヤでは十分に対応しきれない領域に踏み込んでいる。




















































