電費を守りながら快適に過ごす実践策
とはいえ、暖房方式に関係なく冬季の電費悪化を抑える実践的な手段もある。もっとも効果的なのは充電中のプレコンディショニング(事前空調)である。自宅のコンセントもしくは外部充電器から電力を引き込みながら出発前に車内とバッテリーを暖気することで、走行中のヒーター負荷が減る。
また、シートヒーターとステアリングヒーターの活用も有効である。これらの接触型暖房器具は、空間全体を対象とするオートエアコンのコンプレッサーやPTC素子と比較して、消費電力が極めて少ない。
日本自動車連盟(JAF)が外気温マイナス8.1℃の環境下で実施したEVのユーザーテストによると、オートエアコンを継続して使用した車両が急激に電力を消費した一方で、シートヒーターや電気毛布などの局所的な暖房器具を併用し、エアコンの稼働を最小限に抑えた車両はバッテリー残量を大きく維持できたことが報告されている。あわせて内気循環モードの活用も電費改善に貢献する。すでに温まった車内の空気を再利用することで、外気をイチから加熱し続けるよりも暖房負荷が軽減され、結果として電費改善に寄与する。
冬季の電費低下は“故障”ではなく、EVの構造に由来する「特性」である。これらの対策を組み合わせることで、PTCヒーターのみを搭載するEVでも冬季の電費悪化をある程度緩和することは可能だ。それでも暖房方式の違いは電費の基礎的な性能に直結するため、新たにEVを選ぶ際には居住地域の冬季気温を踏まえ、ヒートポンプの搭載有無を重要な評価軸として検討すべきだろう。
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