Zeekr 7Xの充電性能はカタログスペック超え
次に注目したいのが充電性能です。今回の検証の目玉は欧州で納車がスタートしたZeekr 7Xの存在でしょう。7X Privilegeグレードは、欧州仕様で最短16分の充電時間を達成するとアナウンスされており、本当にそのような優れた充電性能を達成できるのかに注目が集まっていたのです。そして、Zeekr 7XのSOC80%までの充電時間は実測値で15分と、なんとカタログスペックすらも上まわる驚異の充電性能を実現したのです。
とくに注目するべきは充電カーブです。SOC15%の段階で392kWというカタログスペック超えのスピードに到達。SOC50%の段階でも321kW、SOC80%の段階でも221kWという圧倒的な充電カーブを実現しています。
ちなみに7XのエントリーグレードCoreには75kWhのLFPバッテリーが搭載され、SOC80%まで13分と、さらに短い充電時間を達成できると発表されています。しかも7Xは、最大480kW級の急速充電に対応しているものの、欧州で展開するCCS超急速充電器では、現状480kWを発揮できません。つまり、CCS規格でも480kW級以上の超急速充電器が今後登場した場合、7Xは最短10.5分で充電することが可能となるのです。これでもまだ7Xのポテンシャルを最大限引き出せていないのです。
ちなみに7Xと同等の充電時間を達成したロータス・エメヤも最大420kWという充電性能を達成しています。このロータスもZeekrもジーリー傘下であり、やはりジーリーの開発能力の高さが見て取れるでしょう。
また、日本導入モデルとしてはアウディQ6 e-tronが20分という優れた充電スピードを実現。同じプラットフォームを採用するA6 e-tronとポルシェ・マカンも20分前半であり、やはり800Vシステムの強みが存分に生かされています。
ちなみにこの表は、今回の検証における主要車種のテスト結果やカタログスペック、値段設定をまとめたものです。これをみると、テスラ・モデル3は31分という充電時間の遅さはあるものの、700km以上の航続距離を確保しながら、43.5万クローネ(約627万円)と、競合と比較しても安価な値段設定を実現できており、コスト競争力の高さが見て取れます。SUVが人気のノルウェーでいまだにモデル3が売れ続けている理由の一端が垣間みられるでしょう。
いずれにしても、EV最先進国家でありながら極寒環境下のノルウェーにおいて開催されたEVの一斉検証の結果を見てみると、中国製EVのEV性能とコスト競争力の高さが、やはりリアルワールドにおける検証でも明らかになってきています。ますます激しくなるであろう中国勢のEVの販売攻勢によって、今回のノルウェーをはじめとして、欧州全体におけるEVシフトがどのように進んでいくのか。欧州メーカー勢と中国メーカー勢のEV販売対決の行方にも注目です。