「ONVO L60」は日本円で約418万円
そして、この900Vシステムの採用をはじめとする最適化を追求したことで、極めて高効率を実現しており、電費性能が12.1kWh/100kmと、現在世界で発売されている数多のSUVのなかでもっとも優れた電費性能を実現しています。
とくに注目するべきは、車両重量でしょう。L60のRWDグレードは1885kgと、同量のバッテリー容量を搭載するモデルY RWDよりも軽量です。また、Cd値も0.229と、SUVとしては驚異的な空力であり、これもモデルYを凌ぐ空力のよさです。じつはNIOはこれまで電費であまり最適化されておらず、これはバッテリー交換可能な冗長性を確保するために、いくつかの最適化を諦めざるを得なかったのではないかと推測できていたものの、バッテリー交換に対応するL60の電費を見ると、バッテリー交換と効率性は両立できることを示した格好になります。
このNIOとOnvoブランドのEVは、日々の通勤において、エントリーグレードのバッテリー容量をサブスクして運用コストを引き下げながら、休日に長距離を走行する場合は、より大容量のバッテリーをサブスクすることによって、一時的に航続距離を伸ばして利便性を向上させることが可能です。
そして、バッテリー交換システムを採用するユーザー側の最大のメリットは、イニシャルコストをさらに引き下げることが可能という点です。L60の値段設定は20万6900元、日本円で約418万円と、モデルYよりも80万円ほど安価な値段設定を実現しているものの、さらにバッテリーのサブスクプランを活用すると、車両本体を303万円から購入可能となります。
大衆車を購入する層は、ローンを組んで少しでもイニシャルコストを下げたいというニーズが強く、長距離移動の際の航続距離延長プランを加味すれば、このバッテリーのサブスクプランは非常に魅力的であり、NIOブランドと同様に多くのユーザーがサブスクプランを選択する見込みです。
そして、モデルYやBYD Sea Lion 07、Xpeng G6という競合と標準装備内容を比較してみると、
・17.2インチの3Kの解像度を誇るセンタースクリーン
・運転手向けの13インチのヘッドアップディスプレイ
・後席向けの8インチのタッチスクリーン
・24時間で0.9kWhという消費電力量を実現するセントリーモード
・一列目はシートヒーター、シートクーラー、シートマッサージを完備
・リヤシートも、シートヒーターと電動の背もたれ調整
・ステアリングはヒーターと電動調整
・ワンペダルドライブ
・1600万色ものアンビエントライト
・ヒートポンプシステムとバッテリーのプレコンディショニング機能
・窓ガラスの2重化は前席側のみ
・1.9平方メートルもの巨大なガラスルーフ
・52リットルもの巨大な冷蔵庫をオプションで装備可能
・最大出力1020Wに到達する18スピーカーシステムは7.1.4ドルビーアトモス対応
・3.3kWものV2L機能
・7つのエアバッグ
・高張力鋼の配合割合が86%
・電子制御サスの採用による乗り心地の改善
・Nvidia Drive Orin Xを搭載し、LiDAR非採用ながら市街地NOAまでを対応可能
・車両保証も4年10万km
これほどの充実の装備内容でありながら、モデルYと比較しても80万円以上も安価に購入可能であり、バッテリーのサブスクプランを活用すると200万円ほど安価に購入することも可能であることを踏まえると、競合と比較しても、頭ひとつ抜けたコスト競争力を実現している様子が見て取れるでしょう。
いずれにしても、L60に搭載される最新テクノロジーは、競合でありベンチマークであるテスラ・モデルYをあらゆる面で凌駕しており、その上でNIO独自の強みであるバッテリー交換であったり、イニシャルコストを抑えることが可能なバッテリーサブスクプランなども相まって、NIOの販売台数が飛躍的に伸びるポテンシャルを秘めています。
現状のL60の生産計画は10月中に5000台を生産しながら、12月は1万台、2025年1月には1.6万台、そして3月までに2万台にまで急速に生産能力を引き上げる見通しです。
年末にかけて伸びていくであろうL60の販売台数、および競合の電動SUVの販売動向も定期的にチェックしていきたいと思います。