最新モデルは中国でトップクラスの充電性能
そして、現在Zeekrの最新EVとして2024年元旦から納車がスタートしているのがZeekr 007です。全長4865mm、全幅1900mm、全高1450mm、ホイールベースが2928mmというミッドサイズセダンです。ジーリーが独自開発した75.64kWhのGoldenバッテリー、もしくは100kWh Qilinバッテリーをラインアップし、航続距離は最長870kmを実現。さらに、充電性能も15分間の充電時間で610km分の航続距離を回復可能という、現在中国で発売中のEVとしては最強クラスの充電性能を実現しています。
また、動力性能も最高出力は475kW、最大トルク710Nm、0-100km/h加速は2.84秒に到達。さらにリヤのアンダーボディに7200トン級のギガキャストを導入することで、ねじり剛性も43500ニュートンに到達します。
もちろん、メモリー機能付きのレッグレスト付き電動シート調整、シートヒーター、クーラー、マッサージは標準装備。リヤシートの電動背もたれも調整可能で、最高出力1900Wを発揮可能な21スピーカーシステムも標準装備。V2V機能で最大60kWもの放電が可能であり、Nvidia Drive Orin Xチップをふたつ搭載することで、信号の右左折や障害物の回避などを含めた市街地NOAにも対応可能です。
そして、値段設定が20万9900元、日本円で432万円からのスタートと、プレミアムEVセダンのベンチマークとして注目を集めています。
現在、Zeekrはこれら4車種をラインアップすることで、急速に販売台数を拡大中です。6月は史上初めて月間2万台の大台を突破しており、すでに日本の高級ブランド、レクサスの販売規模を超える勢いです、まだ1車種目の納車をスタートしてから3年も経っていないとイメージしてみれば、Zeekrのポテンシャルの高さが伺えるでしょう。
さらにZeekrは、すでに欧州や中東、メキシコ市場などに対して海外展開をスタートしています。現状ではZeekr 001とZeekr Xを輸出しているものの、今後さらにラインアップを増やす見通しです。その上Zeekrはすでに右ハンドル市場の香港やタイ市場に対してもZeekr XとZeekr 009を展開しています。
また、2024年9月中にも、ミッドサイズSUVのZeekr 7X、2024年末までに、009よりもひとまわり小さいミニバンEVのZeekr MIXも発売する予定です。
まずZeekr 7Xは、全長4825mm、全幅1930mm、全高1656mm、そしてホイールベースが2925mmというミッドサイズSUVです。Zeekr 007のSUVバージョンとして、75kWhのGoldenバッテリーと100kWhのQilinバッテリーを搭載し、最長航続距離は780kmに到達します。さらに、第二世代のGoldenバッテリーを搭載することで、SOC10%から80%まで10.5分で充電可能となり、地球上最速の充電性能となります。
世界でもっとも売れているEVであるテスラ・モデルYの競合車種として、どれほどの販売台数を実現するのかに注目が集まっています。
また、Zeekr MIXは、全長4688mm、全幅1995mm、ホイールベースが3008mmのミニバンEVです。特筆するべきは、極めて珍しい、Bピラーレス構造を採用しているという点でしょう。出入り可能な空間のサイズが1.5mと、スライドドアにおける開放感を極限まで追求しています。
他方で、Bピラーレスによる剛性の低さをカバーするために、そのデュアルスライドドアそれぞれに対して、直径70mmの超高張力鋼を採用。よって、ドアを閉めて走行中の際はデュアルBピラーという設計となり、むしろ通常のBピラー構造よりも衝突安全性が強化されていると主張しています。
そして、このZeekrについて新たに判明した最新動向が、なんと日本市場に正式参入する見通しであるという驚きの動向です。日本経済新聞がZeekr側に独自に取材したことで判明しています。
先ほども説明したとおり、Zeekrはすでに海外、とくに右ハンドル市場に参入済みであることから、コンパクトSUVのZeekr X、およびミニバンEVのZeekr 009が導入される可能性が極めて高いと推測可能でしょう。
じつは、日本市場という観点では、両車種ともに極めて重要なモデルとなり得ます。まずZeekr Xはもっとも安価であり取りまわしやすいサイズ感として、一般の日本人にアプローチすることが可能です。
また、Zeekr 009は、サイズが巨大であり、確かにミニバン需要が極めて大きい日本と相性がいいように見えながら販売台数には期待できそうにもありません。ただし、Zeekr 009が狙うべきは、日本国内に在住している富裕層の中国人でしょう。彼らであれば、中国製のハイスペックなミニバンEVをショーファーカーとして運用したいという需要とマッチするはずです。
他方で、日本参入においての最大の障壁が、販売ネットワークの構築、およびチャデモ規格への対応という観点でしょう。販売ネットワークの構築について、確かにオンライン販売という手法が存在するものの、韓国ヒョンデの販売動向を見る限り、残念ながらうまくいっていないことは明白です。その一方で、BYDのように全国的に販売ネットワークを拡充するのは、Zeekrの規模感では難しいはずです。ジーリーグループ傘下のボルボの販売ネットワークの活用の可能性はあるのかなどにも注目でしょう。
さらに、チャデモ対応は大きな問題となり得ます。確かにZeekrの売りは驚異的なEV性能であるものの、チャデモ対応となった途端に、その性能は大きくデチューニングされてしまうはずです。結局、EV性能で大きな差がつかず、それならあえて新参者の中国製EVを買おうという動きにはつながらないのではないかと危惧します。
とくにZeekrは、内外装の質感だけではなく、EV性能における差別化こそ、Zeekrが中国で成功を収めている理由であることから、この充電インフラも含めた対応にコミットしてこないと、Zeekrが日本国内で販売台数を稼ぐのは至難の業であると思います。
いずれにしても、2025年までに日本市場参入を表明したZeekrに関しては、とくにEVガラパゴスの日本に対応するために重要となる、サービス体制の構築、およびZeekrの強みである圧倒的なEV性能を活かすためのチャデモ対応こそが、日本国内で成功を収める上で極めて重要だといえます。Zeekrの日本国内進出の最新動向がわかり次第、最新情報をアップデートする予定です。