メルセデス・ベンツも期待を寄せるBEVのGクラス
バッテリー全体は、厚さ4mmのスチール製ラダーフレームに組み込まれ、前で触れたアンダーボディプロテクションのほか、耐ねじれ性のケーシングに収納されている。つまり、G 580はオフロードでの過酷な使用に関しても、十分な高電圧バッテリーとそれに関連する装備を備えていることになる。
バッテリーの使用可能容量は116kWh。最大航続距離はWLTP基準で473kmに達するという。充電はAC(交流)とDC(直流)の両方でそれが可能。最大充電容量は11kWで、直流での急速充電のためには最大200kWの充電容量を持つ直流充電システムが搭載されている。この場合、10~80%までの充電時間は約32分と利便性は高い。
3タイプの充電プログラムが用意されているのもG 580の特長だ。それぞれ「スタンダード」、「ワーク」、「ホーム」と呼ばれるプログラムがそれで、カスタマーは事前に出発時間やエアコン、最大充電レベルなどのパラメーターの設定ができる。
また、「ワーク」と「ホーム」の両プログラムでは、車両が保存された充電場所に駐車されると、自動的に充電スイッチはオンに。カスタマーにはMBUXで通知される。惰性走行やブレーキ時には車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生システムも機能する。
ステアリングホイールのシフトパドルを使用して選択できる回生レベルの強さは5段階、「D Auto」、「D+」、「D」、「D-」、「D–」で、「D」が通常の回生レベル、「D+」は回生なしのセッティングとなっている。「D Auto」は車両が走行状態を分析して、自動的に回生レベルを調整するモードとなる。
G 580に搭載されるエレクトリックモーターは、前後左右のホイール近くに各々、つまりメルセデス・ベンツのプロダクションモデルとしては初の試みとなる4モーター形式だ。システム全体での最高出力は432kW(約580馬力)、最大トルクは1164Nmに達し、180km/hの最高速や4.7秒の0-100km/h加速を実現する。
一方、これまでのモデルと同様に適切な路面であれば最大100%の勾配走行、また35度の横傾斜でも安定性を保つ。4つのモーターを個別に制御することで、ほぼその場で車両を旋回させることができたり、3速インテリジェント・オフロード・クロール機能で最適な推進力を維持したりと、その走りのレベルは本格的なオフロードユーザーを十分に納得させるものであることは間違いない。
車両重量で3500kgという数字はたしかに小さなものではないが、そのハンデを一切感じさせない、そしてメルセデス・ベンツ伝統の高級オフローダーの品格をそのまま受け継いだG 580。その存在は日本でも大きな話題を呼ぶことは疑う余地がない。