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<第5回>電気自動車独特の生ブレーキ | 知って役立つEV知識・基礎の基礎 御堀 直嗣 


TEXT:御堀 直嗣
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電車はなぜ環境に優しいといわれるのか?

モーターと発電機が同じ機構だといったら、驚くだろうか?
驚くより、気にしていなかったというほうが正しいかもしれない。
電気自動車(EV)の話をするうえで、この前提がなければならないことがある。それが回生だ。英語ではregeneration(リジェネレーション)という。一般的には「再生」の意味で使われる。つまり、エネルギーを再生することが回生であり、具体的にEVでは、発電して電力をバッテリーに貯えることをさす。

回生はEVに限った話ではない。電車も電気を使って走っており、発進し加速することを力行(りきこう)という。運転士が操作レバーを戻して減速する際は回生となり、モーターが発電機に切り替わって発電された電気は、パンタグラフを通じて架線へ戻される。さらにひとこと加えれば、電車は鉄輪なので摩擦抵抗が少なく、ある速度に乗ったら運転士は力行のための電力供給を止め、惰性で走らせている。
このため、乗員一人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量で電車がEVよりさらに優れているとされる。公共交通機関として多人数乗車できることもあるが、力行と回生、そして惰性を適切に使うことによって省電力で走れるからだ。

 

モーターからエネルギーを取り戻す方法

モーターの機構については、前回説明した。回転軸(ローター)と、それを囲む筒状の構造(ステーター)で構成され、ステーターの磁石を利用した磁場の効果で、ローターを回転させる。
モーターに電気を流す(供給する)と、磁力によってローターが回転し、EVが走る。
EVも電車も、一度速度に乗れば、速さというエネルギーを持つことになる。そこから減速する際にタイヤ(車輪)側からモーターへ回転力を与えると、モーターの内部機構は発電機と同じため、今度は磁力によってステーター側へ電気を生み出すことができる。
つまり発電しているわけで、これが走るエネルギーを利用した回生だ。

電気エネルギーを与えることで走らせながら、減速では速度エネルギーを利用して発電し、走るために消費した電気エネルギーの一部を回収できる。この仕組みはEVならではの利点だ。エンジンでは不可能であり、EVの効率が高い理由のひとつはここにある。
ちなみに、自動車がアクセルを戻すと減速する理由は、ひとつは空気抵抗やタイヤの走行抵抗でおのずと速度が落ちてくるためだ。
運転者が意図的に制動を掛ける場合はブレーキを使う。速度エネルギーを熱エネルギーに変換し、大気中にその熱を逃がして速度を下げている。発生する熱量は、湯を沸かせるほどだともいわれる。

エンジン車は、エネルギーを回収することができない。ただし一部の車種では、交流発電機(オルタネーター)に減速での発電機能を持たせ、わずかにエネルギー回収をしている事例もある。
しかし、EVあるいはモーターを装備するハイブリッド車なら、回生をより積極的に利用することができるのである。

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