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「トヨタさんF1やりましょうよ」26年に半分EVになるF1にトヨタが参戦すべき10の理由


TEXT:烏山 大輔 PHOTO:トヨタ、烏山 大輔
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理由7:WECとWRCは無敵状態。WECのライバルは他のチームではなくACOとFIA

トヨタは2023年に、WECでは、5シーズン連続、通算6度目のマニュファクチャラーズチャンピオンを最終戦待たずに確定した。WRCも3年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得しており、この両カテゴリーは無敵状態と言えるのではないだろうか。

WEC

WEC

ジャパンモビリティショー2023に展示していた8号車

WRC

WRC

WECについては、今年からトップカテゴリーのハイパーカークラスに参戦してきたポルシェ、フェラーリ、キャデラックら、来年からはBMW、ランボルギーニなどの参戦も見込まれているため、苦戦を強いられる可能性はある。

しかし、今年のルマン24時間で起きた大事件を振り返れば、トヨタの最大の敵は、ライバルチームではなく、ACOやFIAだろう。

その大事件とは決勝の10日前に突然BoP(Balance of Performance)が変更され、最低車両重量を37kg増やされたことだ。

これに対してトヨタは必死に抵抗したが、BoPが戻されることはなく、100周年を迎えた伝統のレースは、50年ぶりにトップクラスに参戦したフェラーリが勝利を飾るという映画のような結果で終わった。そしてトヨタは同レースでの6連覇を絶たれた。

F1には、10月8日に決勝が行われたカタールGPのように「全チームに等しく」課せられる安全性を確保するための直前のルール変更はあるが、特定のチームが極端に不利になるようなルール変更はない。

たとえば2005年のF1アメリカGPは、タイヤに問題が発覚したミシュランユーザーチームの提案をFIAが容認しなかっただけで、ルール変更は行なっていない。

理由8:TDP

TDPというレーシングドライバーを育成するシステムがある。現在の名称はTGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)だ。

TDPドライバーにF1への道が繋がっていることを示す目的で、マクラーレンF1チームと手を組むのであれば、レースに出られるかどうか分からないリザーブではなく、確実に2名をドライバーに起用できる自分のチームを持った方がいい。

理由9:FSWがもったいない

FSW(フジスピードウェイ)はトヨタが約1年半をかけてF1を開催できる「グレード1」規格に格上げし、ラップタイムが1分未満にならないように第3セクターも新設した。それにも少なくない費用(200億円とも言われる)がかかっている。ぜひ本来の目的を達成して欲しい。

理由10:人とクルマを鍛える

トヨタはレース参戦の目的を「人とクルマを鍛えるため」としている。強力なライバルチームがいる方が、よりその目的を達成できるだろう。前述のように数年間チャンピオンを取っているWECやWRCよりもF1に出た方がいいのではないだろうか。

2024年は、WRCは13戦、WECは8戦、F1は23戦が開催される予定だ。人とクルマを鍛える機会はF1の方が断然多い。

レースでもマルチパスウェイ

F1でもチャンピオンを獲得できれば、耐久もラリーも勝てる、最強の自動車メーカーになれる。水素レースカー(GR H2 Racing Concept)も完成すれば、レース界でも「マルチパスウェイ」メーカーと言える。

ジャパンモビリティショー2023に展示していた「GR H2 Racing Concept」

ジャパンモビリティショー2023に展示していた「GR H2 Racing Concept」

さらには、モナコGPで優勝できれば、メーカーとして世界三大レースのF1・モナコGP、WEC・ルマン24時間、インディカー・インディ500を制覇=トリプルクラウンを達成できる。

きっとトヨタかレクサスブランドで、「LFA」の後継となるようなEVスーパーカーの発売も予定していると思うが、F1での活躍はそのモデルの価値向上にもつながるだろう。

一人のレースファンとして、赤と白の日本国旗カラーのトヨタF1マシンが、トップチェッカーを受けるシーンを見てみたい。その瞬間がFSWで訪れたら…想像しただけでも胸が熱くなる。

佐藤社長、いかがでしょうか。

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