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一体感を楽しめる乗り味
シールには、「iTAC (intelligence Torque Adaption Control)システム」がそなわる。前後左右輪のトルクをコントロールして、コーナリング時などの挙動安定をねらうものだ。
これはしっかり働いてくれて、Rの小さなコーナーでアクセルペダルを強めに踏んでみたとき、瞬間、リアが外に出ていこうとするが、すぐにシステムが働いたのだろう、挙動はぴったり元に収まる。安心感を与えてくれるシステムである。
サーキットのパドック前の直線は、みるみるうちに速度が上がる。先行車がいたため185km/hまでしか確認できなかったが、この高速域でも不安感はなく、ドイツをはじめ、グローバル市場を狙う開発陣の意気込みを感じたのだ。
ダンパーは電子制御で、メーカーによると、高速では(言うまでもなく)しっかりした走りを実現し、いっぽう、路面が悪いと快適方向に制御するという。
ただしスプリングの設定はスポーティに振っていて、ゆっくりめの速度で走ると、けっこう硬い、という印象だった。ここもこの先、調整が入るかもしれない。
太いグリップのハンドルを握っていると、電気自動車とかエンジン車とかいうカテゴリーは意識することなく、ただクルマのレスポンスのよさを通して、ドライブしている自分との一体感が強くある。
オーディオも自慢ということだったが、サーキット走行で音楽を堪能するわけにはいかず、これも後の楽しみにとっておくことに。
日本では2024年に発表といい、価格もそのときまでは伏せられるそうだ。日本でも中国のように120kWのチャージャーが、ショッピングモールの駐車場に林立するようなれば、日常的にシールの真価を味わえるだろう。
それがいま、楽しみな”未来”のかたちである。
BYD シール(AWD仕様)