インタビュー
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スペクターの開発で、つねに念頭においてあったこととは何か。開発責任者が語る「ロールス・ロイスらしさ」


TEXT:小川 フミオ
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前回:スペクターの開発責任者が語るロールス・ロイスにとっての「電気化」とは

「すべてにおいて、クルマが揺れないこと」とドクター・ミヒア・アヨウビ氏は、BEVのスペクターで意図したロールス・ロイスらしさの一端をいう。その実現への要素を、自動車ジャーナリスト・小川フミオが訊いた。

V12とおなじように走ること。先ず、ホイールから

ロールス・ロイス初の量産BEV「スペクター」のエンジニアリングを統括したドクター・ミヒア・アヨウビと、彼のチームが、開発中に、つねに念頭に置いていたのは、従来のV12気筒搭載のロールス・ロイス車とおなじように走ることだったという。

ーークルマの開発においては、「BMW i7」と歩調を同じくする必要があったのでしょうか。

「スペクターの発表いらい、よく質問されました。なかには”同じ中身なんですよね”という質問ありました。じっさいはまったく違います。スペクターのプラットフォームは、私たちがアーキテクチャー・オブ・ラジュアリーと名づけたアルミニウムの押出し材を使ったスペースフレームです」

ーー開発にあたって難しい部分はどんなところでしたか。

「いろいろありました。23インチの大径ホイールを履かせることになったので。ホイールは、とても重要なのです。クルマと道とのインターフェイスであり、ドライブトレイン、ステアリング、アクティブロールバー、エアサスペンション、アクティブダンパーといったスペクターの機能と、密接に結びついています。

ーーたしかにクルマの物理的な要素はすべて関連づいていますね。

「そこで私たちは、車輪からスペックを決めていくことにしました。まず最終減速比を決め、そこから戻っていって、モーターのトルクを決定していったのです。なぜかというと、スムーズなトルクで、私たちが“ワフタビリティ”(水の上を進んでいくように走るの意)と呼ぶ走行特性を実現するためです」

「私たちの”エフォートレス・ドライビング”」

ーートルクの設定でもロールス・ロイスらしさが大事だったということですね。

「トルクがたっぷりあるBEVのキックダウン(アクセルペダルを強く踏み込むこと)は、野生の馬みたいなかんじでしょう。ロールス・ロイス的ではないですね。ゴルフはプレーしますか? ゴルフでのベストショットって、クラブを一所懸命振る感覚がなく、すーっと無意識的に腕を振り抜くかんじでしょう。それと私たちの“エフォートレス・ドライビング”は近いものがあります」

ーーエフォートレスはロールス・ロイスが長いあいだ使ってきた単語ですね。

「とてもスムーズに走る印象を与えること。クルマの慣性質量を計算して、どの速度域でもそれを頭に入れながら適切なトルクをコントロールできるように設定しています。それが“ワフタブル”であること。船が水上をいくように。加速、コーナリング、ブレーキングすべてのおいて、クルマが揺れないことが重要です。たとえ車中で、シャンパーニュを満たしたグラスを手にしていても、なんの問題もなく走れる。私たちはこれをChampagne Stopと呼んでいます」

ーーたしかに、たとえワインディングロードを速いペースで走っても、強いGは感じられません。

「私たちは強すぎる加速は抑えたんです。もしそうすると、クルマはピッチングの挙動を生じます。そこで加速のときは慣性質量を感じさせないような動きを意識しました。乗っているひとにとって、車内はラグジュアリーなリビングルームなのです。なのでそれにふさわしい走りが体験できなくてはなりません」

Vol.4へ続く

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