電動化を見据え多様化したパワートレイン
もうひとつ、ラージ商品群の共通する特徴として、パワートレインの多様化が挙げられる。CX-60では直4ガソリンエンジンに大型モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)、直6ディーゼルにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド、直6ディーゼル、直4ガソリンの4種類ものパワートレインが設定された。
一方、北米向けのCX-90では48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた新開発の3.3L直6ガソリンターボ(最高出力340ps、最大トルク500Nm)と、2.5L直4ガソリン搭載のプラグインハイブリッドの2種類を設定する。前者はマツダ史上最強のスペックを誇り、後者は北米向け初のプラグインハイブリッドとなる。とはいうものの、マツダが2021年に発表したSUV計画によれば、CX-90のハイライトである直6ガソリンターボは、日本向けのCX-80には搭載されない見通し。クリーンディーゼル人気が高い日本では、マイルドハイブリッドを組み合わせた6気筒ディーゼル、ならびにプラグインハイブリッドが設定される模様だ。
マツダによると、仕向地により異なる電動化戦略を進め、2025年頃からはEV専用プラットフォームの商品群を導入。2030年にはすべてのモデルの電動化を完了させるとしている。
そのうちバッテリーEVについては、マツダは2021年に第一弾となる「MX-30 EV」を投入し、2025年以降にはバッテリーEVのラインナップは一気に拡充しそうだ。だが、それと並行して投入されるプラグインハイブリッドやマイルドハイブリッド車に採用される技術も、その後のバッテリーEVに生かされていくことになるだろう。
マツダならではの“官能性”への期待
この点について、マツダは環境性能だけでなく、“官能性”を追求している点が見逃せない。マツダの資料には、電動化モデルにおいても“ドライバーの高揚感”や“軽快なパフォーマンス”といった感性を刺激するようなフレーズが頻出している。
そうした視点で、CX-60やCX-90の資料に目を通すと、パワートレインだけでなく、プラットフォームやシャシーにも今後のクルマに繋がりそうな技術が採用されている。プラットフォームは高出力エンジンを縦置きとしたレイアウトとなっており、最適な重量配分を追求。これに後輪駆動ベースのi-ACTIV AWDを組み合わせ、ハンドリング性能を最適化している。さらに「キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)」と呼ばれる、コーナリング時の安定感を高める電子制御サスペンションが採用されるなど、ハンドリング性能の向上に余念がない。
これらの技術は当然CX-80への採用も期待でき、ひいてはその先のEVにも受け継がれていくことだろう。CX-80の登場が楽しみだ。