#VtoH
TEXT:御堀直嗣
「VtoH」は知ってるけど「VtoG」に「VtoL」に……「VもPもIもN」もある!? いま知っておくべきEVまわりの「Vto○」

「VtoG」はスマートグリッドのひとつ 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は、駐車しているときも役立つクルマだ。その代表が「VtoH」だろう。VtoHとは、「ヴィークル・トゥ・ホーム」のことである。EVやPHEVの車載バッテリーから、自宅に電気を供給する。 PHEVでも、20kWhほどの駆動用バッテリーを車載するようになり、満充電からであれば、1~2日ほど電力の供給ができる。40~100kWhを積むEVであれば、その何倍もの電力を自宅に供給できることになる。 VtoHのほかに耳にするのが「VtoL」だ。Lは、「Load(ロード)」のことで、電気製品をいう。つまり、車載バッテリーから電気を取り出し、家電製品などを使えるようにする。たとえば、クルマのダッシュボードなどでスマートフォンを自動充電するといったこともそのひとつといえるし、車内でパーソナルコンピュータ(PC)を使い、外部の人と交信したりPCで仕事をしたりすること、ほかにも野外で食事を料理したり、催し物の音響や照明に電気を使えるようにすることなども含まれる。 ことに野外活動では、これまでエンジンで動かしていた発電機に替えてEVやPHEVを電源として使うことにより、騒音や排出ガスの懸念をせず、電気の利用が叶う。 ただし、すべてのEVやPHEVがVtoLの機能を備えているわけではない。 次に、「VtoG」というのは、(電力会社から送電される)系統電力とEVの連携だ。「G」とは、「Grid」のことで、電力会社から送電される系統電力をいう。VtoGは、スマートグリッド(電力の知能化)のひとつといえ、EVを電力網のひとつに加えることにより、発電の平準化や効率化に役立て、発電機の負荷を減らしたり、場合によっては発電所の数を減らしたりするなど、社会基盤の整理に役立つと期待されるEVの利用法だ。 ことにEVは、車載バッテリー容量が多いので、駐車中のEVの電力を、たとえば電力需要の最大時にEVから補うことで、系統電力の負担を減らし、かつ余裕ある電力を社会へ提供する。真夏や真冬の突然の停電や節電を回避できる。そのうえで、電力需要が下がったところで、使った電力をEVへ戻す。こうして、EVの移動という基本性能を損なうことなく、安定した電力基盤を構築する。 これには、一台ごとのEVの利用状況や車載バッテリーの充電量、あるいはすぐに移動するかしないかなど使用実態を把握し、それらを総合的に管理して、統制する機能が必要だ。そこに、AI(人工知能)の活用が求められる。

TAG: #VtoG #VtoH #VtoL #VtoX
TEXT:御堀直嗣
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは

VtoHは災害のときなどに役立つ 電気自動車(EV)を買うとき、よい機会なのでVtoH(ブイ・トゥ・エイチ)も同時に導入したいという人もいるだろう。 たとえば、日産サクラ/三菱eKクロスEVのような軽自動車でも、車載のリチウムイオンバッテリーは20kWhの容量がある。一般的な家庭で日々使う電力は、およそ10kWhなので、2日分の電力を車載していることになる。 ちなみに、太陽光発電を自宅の屋根に設置し、そのためのバッテリーを併設する際の容量は、およそ10kWhなので、その2倍の電力をもつともいえる。 さらに、登録車の日産リーフなら、標準車種で40kWhのリチウムイオンバッテリーを車載するので、家庭で使う4日分の電力量に相当する。 大地震のような災害でなくても、大型台風の上陸や、線状降水帯をともなう豪雨などが身近になり、それらによる停電もまれなことではなくなりつつある。その際、EVを所有し、VtoHを設置していれば、ただ電灯をともせるだけでなく、スマートフォンの充電はもとより、冷蔵庫の冷凍食品を無駄にすることなく、またシャワーなどの湯沸かし器でも電気でスイッチが入る仕組みであったりするので、家で電気が使えることの有り難みは計り知れない。 では、VtoHの導入は、どれくらいの費用がかかるのか? 設置台数で高い実績を持つ日本のニチコンを例にすると、家庭用のパワー・ステーションは、128万円である。これまで、その機器は家庭用空調の室外機ほどの大きさがあったが、現在では大幅に小型化され、取り付け場所をあまり選ばなくなっている。また、自宅に設置した太陽光発電との連携もできるようになっている。

TAG: #VtoH #自宅充電 #費用

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