大阪オートメッセ2023に設けられたEVゾーンに、チューニングパーツでアフター業界に名を馳せる「BLITZ(ブリッツ)」が日産アリアを展示した。日本においてはBEV自体がまだまだ普及しておらず、オーナーの多くが環境意識の高い人間とみられるこのタイミングでなぜパーツを開発するのか? その狙いを探るべく直撃インタビューを敢行した。 数十年先を見据えた提案 2月10〜12日にインテックス大阪で開催された、関西随一のカスタムカーの祭典「第26回大阪オートメッセ2023」。 6A号館奥の「EVゾーン」には、国内外の主要電動モデル16台が集結。そのなかには、ブリッツがいち早く開発を進めている、日産アリアのチューニングパーツ装着車が展示されていた。 だが、このブリッツ・アリアには、単なる一車種のパーツ開発には留まらない、並々ならぬ想いが込められているという。その商品企画に加え、エアロパーツのデザインや走りの評価も担当、また日頃は宣伝・広報も担っている、ブリッツ企画部の小林潤一マネージャーに聞いた。 ──バッテリーEV(BEV)であるこのアリア向けのパーツ開発を始めようと思ったきっかけは? 小林 ハイブリッドカーやPHVなどもそうですが、電動車は2030〜35年に向かって確実に増えていきます。そのなかで私たちブリッツは、チューニングパーツメーカーであってチューニングショップではありませんので、今のユーザーに対してというよりはむしろ、今後数十年先を見据えて、提案していく使命があります。 ですので、何ができるのかを探るため、BEVを購入しました。アリアは東京オートサロンや大阪オートメッセがあるのでデモカーを作り出品しましたが、ほかにもスバル・ソルテラや三菱eK X EVも所有しています。 純正の状態でもよく出来ているとは思うんですが、実際にユーザーが感じる不満点を改善していくことが我々の使命ですので、さまざまなBEVに乗って、「自分だったこうする」というのを具現化すれば、ユーザーの個性の表現をお手伝いできるのではないかと思い、開発をスタートさせました。 テスラなどの輸入BEVも検討はしたのですが、我々は元々国産車向けのチューニングを中心にブリッツのブランドを展開してきたので、検討を始めたタイミングで早く入手できた国産BEVのアリアからまず始めました。ソルテラやeK X EV用パーツの開発も同時並行で進めていますので、以後順次展開予定です。 そしてアリアは、ベース車の時点で格好良いですよね。ですから、「エアロパーツやローダウンサスペンションを提案していくのが面白いよね」と思ったのが、スタートのきっかけではありますね。 ──BEVのデモカーを製作したのはこのアリアが初めてですか? 小林 以前に初代日産リーフのデモカーを製作しましたが、その際は話題喚起の意味合いが強かったですね。ですが今はBEVが数多く発売されてきていますので、今回は本格的な事業化を目指したものです。 ──では、実際に装着されているパーツのこだわりポイントをお教え下さい。 小林 まずエアロをフロントとリヤに「エアロスピードRコンセプト」のフロントリップスポイラー、リヤスポイラー、リヤディフューザーの計3点装着していますが、このブロンズ色(フロストカッパー)は、この車両にも装着している、純正オプションのリヤアンダープロテクターに合わせています。 なおドアサッシュモールは、ベース車はシルバーメタリックなんですが、これもブロンズに塗装しトータルコーディネートしていますね。 また純正オプションと共存できるよう、たとえばフロントリップスポイラーは、純正オプションを外して装着しても取り付け穴が上手く隠れるよう、形状を工夫したりしています。 空力的には、穴を開けないほうがダウンフォースは増えるのですが、その分空気抵抗も増えるので、今回は電費を重視して中央に穴を開けています。 リヤスポイラーは、標準装備のルーフスポイラーと、左右の穴の位置を合わせているのがポイントですね。ただ、一般的なクルマはリヤバンパーが車両全体の後端なのですが、このアリアはバックドア中央が後端になっているので、この位置に装着するリヤスポイラーは、これ以上後ろに伸ばせないんですね。ですので寸法上の制約は大きかったですが、そのなかで存在感を高められるようデザインしています。 リヤディフューザーは、フィンの後端を突き出させることで迫力をアップさせていますが、この形状を一体成形で実現しようとすると、その金型を作るのが非常に難しいんですね。そこで、フィンのみを5個、バンパーに穴あけ加工して取り付ける構造にすることで、この課題をクリアしています。