アイオニック5Nと並ぶ650馬力のアイオニック6N 韓国ヒョンデは7月の英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで「アイオニック6N」を世界初公開した。「N」は、Nブランドの発祥地であり、ヒョンデのグローバルR&Dセンターがある「ナムヤン」と、Nの走行評価を行う技術研究所があるドイツのニュルブルクリンク、それぞれの頭文字をとったものだ。 アイオニック6Nの特徴は、日本を含めてグローバル各地ですでに市場導入されているアイオニック5Nをベースに走りをさらに磨き上げたことにある。別の見方をすると、角張ったデザインのアイオニック5と流線型を強調したアイオニック6というふたつのモデルの商品性がN仕様となることで浮き彫りになったといえよう。 アイオニック6Nは、アイオニック5Nと比べて全長で220mm長い4940mmあり、クルマ全体の重心は低い。AWDのパワーユニットのシステム出力は650馬力、最大トルクは770Nm。モーターの最大回転数は2万1000rpmで、バッテリー容量は84kWh。停止状態から時速100kmまでの加速は3.2秒で、最高速度は257kmである。 では、アイオニック6Nはどんな走りをするのだろうか。ヒョンデが公開している動画などから推測すると、低重心によってコーナーでのクルマの動きのキレがアイオニック5Nよりも増している印象がある。 筆者は4月上旬に韓国でヒョンデ本社関連の取材をしており、そのなかでヒョンデとハンコックタイヤが共同運用しているテストコースでアイオニック5Nを全開走行させている。日本でも千葉県の袖ヶ浦レースウェイで開催されたヒョンデモビリティジャパンが主催したメディア向け試乗会でアイオニック5Nをドライブしているのだが、韓国ではより広いコースでかなりのハイベースで走行することができた。 そうした体験をベースにアイオニック6Nの動きを考察すると、低重心であることから減速時のノーズダイブ量が少なく、またコーナーの入口でのステアリング操作に対するクルマ全体の応答性が上がっているのではないかと考えたのだ。 かといって、サスペンションセッティングが単純に硬いということはないだろう。ロングボディであることでクルマにかかる力を上手くいなしながら、走りの安定感とキレが両立されていることを想像する。いずれにしても、Nの名称に恥じない、強烈な加速感とドリフト制御システムを味わえることは間違いないだろう。 なお、現時点で日本市場への導入は未定だ。