小型EVバス事業の立て直しには時間が必要 【THE 視点】日野自動車株式会社は2月16日、小型EVバス「日野ポンチョ Z EV」の発売を凍結すると発表した。「日野ポンチョ Z EV」は、BYDの小型EVバス「J6」をベースにした車両で、2022年春に発売とアナウンスされていた。 発売予定から1年近く遅れての発表なだけに、導入を予定していたバス事業者は、運行計画などを大きく修正することになるだろう。充電方式はCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電と発表されていただけに、急速充電器の発注や設置まで済ませた事業者もいると考えられる。 筆者もこれまでに、ディーゼルエンジンの「日野ポンチョ」をベースに数台をEVバスに改造した経験を持つ。ディーゼルエンジンの「ポンチョ」が非常に完成度が高い車両だっただけにその改造には苦労した。無駄なスペースがない車体設計で、バッテリーやモーターの搭載位置などの考案に相当時間をかけて設計した記憶がある。 日野も「ポンチョ」をベースに数台のEVバスを製作しているが、量産せずBYD社からOEM供給を受けようとした背景には、やはりコスト面や製作面で解決できない問題があったのだろう。 「ポンチョ」のディーゼル車はおよそ2,000万円。BYDの「J6」もおよそ2,000万円とほぼ同額である。 今後日野がどう小型EVバスの分野を開拓するのかは不明だが、それには相当の時間が必要なはずで、今回の発表は日野にとっても大打撃だろう。 こうなると本家「BYD J6」の販売にも影響が出るかもしれない。逆に先日渋谷のハチ公バスとして納入された、EVモーターズジャパンの「F8 series4-Mini Bus(F8シリーズ4-ミニ・バス)」には、追い風になるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★奈良交通、小型EVバス2台を導入……BYDの車両「J6」、「山若草台線:近鉄郡山駅~奈良県総合医療センター~若草台」などで2月25日から運行 ★三笠製作所、移動式無人交番「SPS‐AMV」の2号機をドバイ警察に納車……自動運転の電動車、太陽光で自ら発電・充電も ★ブレイズ、東京ショールームで第1回試乗会を開催……2月24・25日の2日間でデリバリー用EVミニカーやEVスクーター等を用意(要予約)