中国の自動車メーカーBYDは、深圳の本社で行われたテクノロジーイベントで、新開発のボディコントロールシステム「DiSusシステム」を発表した。この新しいシャシー制御システムにより、クルマの安全性や快適性、運動性能が大幅に進化する可能性がありそうだ。 横/縦/垂直方向の動きを協調制御 中国のEVマーケットで最大のシェアを持つBYDは、今やグローバルなバッテリーEV販売でテスラに次ぐ位置に付けており、近々首位に立つことも見込まれている。日本国内でも電動SUV「ATTO3」(アット3)が440万円という超戦略的価格で発売し、いま乗りに乗っている新興自動車メーカーだ。 そんなBYDが今回発表したDiSusシステムは、これまでのエアサスペンションを超えた動きを可能にする車体制御技術で、既存の部品メーカーなどに頼らず、BYDが完全自社開発したというもの。 DiSusシステムは、ダンピングボディコントロール(DiSus-C)、エアボディコントロール(DiSus-A)、油圧ボディコントロール(DiSus-P)の3つから成り、横方向、縦方向、垂直方向の動きを協調制御することでドライバビリティを大幅に向上させられるのが自慢のポイント。 また、オートパイロットなどの先進運転支援システム(ADAS)とも相性が良く、車両の開発段階からADASと共通の基盤を用いることで、より精緻な自動運転が可能になるというメリットも持つ。 つまり、DiSusシステムとは空気圧や油圧を使った高度なアクティブサスペンションといえるが、その動きたるやこれまでの自動車の概念を覆すもので、同時に公開された動画には、DiSusシステムを搭載したBYDの電動スーパーカー「U9」が、ボディを前後左右に揺らして「踊る」様子が収められている。 上海ショーでお披露目されたU9は市販化前のモデルであり、搭載するのはDiSus-Xというさらに先進的なシステムだ。それゆえDiSusシステムを採用する量産車がすべてこのような動きをするわけではないと思うが、驚かされるのは4輪すべてを地面から離してのジャンプや、前片輪を外しての3輪走行も可能なこと。 >>>次ページ 横転リスクの低減や車体の安定化に寄与