中国EVメーカーのZeekrが順調 今回取り上げてきたいのが、中国ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekrの存在です。2021年10月から、初のEVであるステーションワゴンタイプの001の納車をスタートして、月間1万台のスマッシュヒットを記録しました。 2023年に突入してからは、ミニバンセグメントの009およびコンパクトSUVのX、そして2024年の元旦からは、ミッドサイズセダンの007の納車もスタートし、2023年末の月間販売台数は1.3万台強。直近の1月の販売台数は12月からほとんど低下せず、どの自動車メーカーも販売台数を大きく落としている月であるということを考慮に入れると、とくに最新モデルである007が順調に納車されている様子を確認可能なわけです。 とくに007については航続距離が最長870kmを実現しながら、Zeekr独自内製LFPバッテリーである「Golden Battery」を初搭載することで、最大4.5Cという驚異的な充電性能を実現しています。 その上、内外装の装備内容については、プレミアムセダンセグメントで考えられうるほぼすべての装備内容を標準装備。市街地における自動運転支援にも対応可能という最新のADASを搭載しています。 この007の存在が、とくにプレミアムセダンの王者であったテスラモデル3に対して、どこまで迫れるのかに大きな注目が集まっている状況です。 そして、このZeekrに関して注目したいのは、001のフルモデルチェンジバージョンの正式発売がスタートしたということです。 001については、すでに納車スタートから2年以上が経過していたということから、とくに競争が極限レベルに達している中国EV市場においては、EV性能や装備内容が陳腐化している状況であり、いち早くモデルチェンジを行う必要に迫られていたわけです。 まず初めに、EV性能が大幅に進化しました。これまで001は400Vシステムであったものの、800Vシステムに刷新され、搭載バッテリーも刷新されました。すでに009や007でも採用されているCATL製の100kWh「Qilin Battery」を採用しています。 さらにその上、CATLの最新型LFPバッテリーパックである「ShenXingバッテリー」を世界初採用してきました。95kWhという大容量バッテリーを搭載しながら、極めつけはその驚異的な充電性能です。最大5C充電に対応させることによって、充電残量10%から80%までにかかる時間が、驚愕の11.5分という地球上最速クラスの充電スピードを実現。5分間の充電で256km分の航続距離を回復可能です。 そしてZeekrは、最大800kW級のV3超急速充電器の設置をスタートしていることから、すでに設置している600kW級のV2超急速充電器をあわせると、中国全土で800V超急速充電の恩恵を受けることが可能です。 また、第二世代のヒートポンプ式空調システム、および熱マネージメントシステムを採用することによって、マイナス10度という極寒環境における急速充電時間を30分にまで短縮することにも成功。マイナス30度まで動作可能という性能を担保してきました。 動力性能についても大幅に向上させることに成功しています。元々001に採用されていたドライブユニットについては、日本電産製のイーアクスルであったものの、Zeekr独自内製のドライブユニットに置き換えることによって、最高出力が200kWから310kWへと大幅に向上しました。 よって、後輪駆動グレードであったとしても、0-100km/h加速が5.9秒、AWDグレードの場合3.3秒という驚異的な加速性能を実現しています。 さらに、001の強みというのが、連続可変ダンピングコントロール付きのエアサスペンションを搭載しているという点です。 これらにより、中国市場では3倍以上も高価な、メルセデスマイバッハやポルシェタイカンに匹敵するような乗り心地や操縦性を確保していると主張しています。 そして、001の弱点ともされていたADASについても、LiDARが全グレード標準搭載されることになり、市街地における自動運転支援にも対応可能になりました。第二四半期からリリースがスタートするというタイムラインであり、現在Xpengやファーウェイが大きくリードする市街地ADASの分野で、どこまで支持を広げることができるのか、Zeekr単独ではなく、ジーリーグループ全体においてどのようなロードマップを描いてくるのかにも注目です(ちなみにZeekrのADAS「ZAD」は期間限定で完全無料提供とアナウンス)。 また、装備内容の充実という点も極めて注目に値します。まず、最大2トンの牽引能力を確保しながら、ガラスルーフに調光機能を装備。極めつけが、なんと28ものYAMAHA製スピーカーを搭載することによって、 そのシステム出力は3000Wに到達。この出力は、メルセデスマイバッハやアウディA8、ロールスロイス・カリナンなどの超高級車すらも凌ぐ、地球上最強の音響システムであると説明されています。 さらに、インフォテインメントまわりを駆動するプロセッサーについても、007に続いて、最新のQualcomm Snapdragon 8295を採用するなど、とにかく装備内容という観点ではほとんど死角がない状況です。