社会制度すらも別物
次に、電力事情について。
電源構成比を調べると、ノルウェーの電源で最大なのは、95%を超える水力発電である。これに風力や太陽光などを加えると100%近くとなり、天然ガスなど火力はほんのわずかでしかない。EVへ乗り換えることが、環境対応としてもっとも効果的であることが誰にでもわかる。
ノルウェー以外の北欧諸国も、たとえばフィンランドは水力と風力でそれぞれ18%以上、これに原子力発電の41%とバイオマスの12%以上を含めると、脱二酸化炭素による発電が90%を超える。フィンランドが原子力発電から生じる高レベル放射性廃棄物の保管で世界先端である理由もわかる。
スウェーデンは再生可能エネルギーで72%、原子力で27%であり、99%に達する。デンマークは91%が再生可能エネルギーだ。
自然環境の厳しい北の国々が、気候変動に対する意識が高くなるのは暮らしと直結するからであり、肌で実感しているだろう。また、都市部の人口もノルウェーの首都オスロでさえ70万人ほどで、都市に住んでも自然との距離は近い。ほかの北欧諸国の人口も、100万人を超える都市はない。そうした社会の環境は、エネルギーとして不可欠な電力に目を向けさせ、脱二酸化炭素化することを当然と考えさせる。公共交通機関が限られる人口密度の低い地域でEVが期待されるのは自然の成り行きといえる。対する日本は、100万人を超える都市が12もあって、総人口の25%が大都市に住んでいる。
北欧より南に位置する欧州も、大気汚染より気候変動により敏感で、二酸化炭素(CO2)排出量への規制を厳しく実施してきた。
人口密度があまり高くない欧州では、大気汚染への懸念が少なく、2000年以降、CO2削減を第一にディーゼルエンジン車の普及に力を注いだ。ところが、2015年に北米でフォルクスワーゲン(VW)による排出ガス浄化偽装問題が起き、ディーゼルエンジンの限界が明らかにされた。結果、一気にEVへの移行を志向した。じつは、ディーゼル排気による大気汚染も進んでいたのである。
話をノルウェーのEV普及に戻すと、3つ目の背景として行政の取り組みがある。
ノルウェーは、日本の消費税に相当する付加価値税が25%とそもそも高負担であるところに、EVの購入では非課税となる。その差額は大きく、消費者の利点が明瞭だ。
加えて、高速道路や駐車場、カーフェリーなどでの割引や、法人所有の車両での減税、あるいはバスレーンをEVであれば走行できるなど渋滞回避にもつなげるなど、所有と維持に際しての特典だけでなく、利用の場面でもEVの優遇が明確になっている。
EVのよさを、暮らしのなかで実感できる仕組み作りが行われ、クルマを買うならEVでなければ損という意識を喚起している。
EV化は、また、静かな社会づくりにも貢献し、より快適な暮らしをもたらす。まして、人口が少なく人口密度も低く、自然と暮らしが近い関係にある北欧では、EVの静粛性がいっそう際立つだろう。
日本では、クルマ単体での性能比較が盛んだが、北欧では暮らしのなかの移動手段としてEVが総合評価されているといえるのではないか。人生を謳歌する北欧の人々の暮らしぶりが、EVを求めているといえそうだ。



















































