30年以上前の考え方が今でも受け継がれている
一方、2010年に初代リーフが発売されたあと、2代目のリーフにおいても、リチウムイオンバッテリーの冷却に空冷を採用し、急速充電性能で不満の出る場面があった。それが最新の3代目リーフでは解消されるのだが、急速充電に先見の明のあった日産が、なぜリチウムイオンバッテリーの空冷にこだわったのか?
背景にあるのは、EV後のリチウムイオンバッテリーの二次利用であろう。

EVで使用したあとのリチウムイオンバッテリーは、まだ7割ほどの容量を残している。これを二次利用で活用しなければ、資源の無駄になる。この考えを立証するのが、初代リーフ発売より前に設立されたフォー・アール・エナジー社(略して4R社)である。
4Rとは、リユース(再利用)/リセル(再販売)/リファブリケイト(再製品化)/リサイクル(再資源化)の英語の頭文字4つを集めた社名だ。

これを実行するには、EV後のバッテリーを車体から取り外すため、簡易な梱包(バッテリーケース)である必要がある。単に、クルマとしての性能第一(急速充電性能を含め)で設計したのでは、車体から降ろしたバッテリーパックから、1セルごとのリチウムイオンバッテリーを取り出すのに手間が掛かる。たとえば、冷却のための水路の取り外しなどだ。ここで手間と時間を要すれば、二次利用に際して原価を高めることになる。

空冷のバッテリーケースの場合、簡単に仕組みを紐解くと、蓋を開けたあと、配線を外せばバッテリーを取り出せる。この簡易さが、二次利用への適応力を高めることになる。
日産は、初代と2代目のリーフで空冷を採用したあと、3代目リーフでは、バッテリー、モーター、車載の充電器の冷熱を統合制御し、走行中にバッテリー温度を調整する機能を採り入れるなど、熱管理をすることで急速充電性能を大幅に向上させた。同時にまた、設計段階でEV後のリチウムイオンバッテリーの二次利用を前提とし、分解作業をしやすくしているはずだ。

ほかの自動車メーカーは、EV後のリチウムイオンバッテリーの二次利用に着手して間もない。開発段階で分解のしやすいバッテリーパックやケースを採用するという考えを採り入れていない可能性が高い。このため、二次利用の実証実験においても、積載されていたバッテリーケースをそのまま利用することしかやっていないと考えられる。
リチウムイオンバッテリーに限らず、バッテリーは、1セルごとに劣化の様子や度合いが異なるのが一般的だ。それらを一括りで使ったのでは、もっとも性能の低いセルの水準でしか利用できない。これが電気の常識だ。

1セルことに分解できること。なおかつ、その作業が簡便であること。これが、EVに求められるリチウムイオンバッテリーの基本である。それなくして、EVは環境にいいなどと安易にいえない。理由は、EV後のリチウムイオンバッテリーはまだ70%もの能力を残しているからだ。
4R社は、それらの課題を熟知し、知見を重ね、二次利用としての商品化を進め、すでに実現している。しかもその二次利用のバッテリーは、A/B/Cという規格分けをし、用途に応じた活用ができるようになっている。
そのうえで、日産は、3代目のリーフで急速充電性能を高め、35年前のFEVの考えを実行に移しはじめたのである。

































































