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フォーミュラE開幕戦は波乱続きで赤旗2回の大荒れ! ジャガーのエバンスが最後尾スタートからまさかの大逆転優勝


TEXT:TET 編集部 PHOTO:FORMULA E OPERATIONS/ジャガー・ランドローバー/ポルシェAG/日産自動車
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レース再開もまさかのマシン横転で2度目の赤旗

長い中断を挟んでレースは23周目から再開。赤旗直前にポルシェチーム内のバトルを制し、トップに立ったアントニオ・フェリックス・ダ・コスタを先頭にスタンディングスタートで再開。この時点でもっともバッテリー残量を残していたのは、残量45%のマクラーレンチームのサム・バードで、ポジションは16番手。その他は軒並み38~40%といったあたりだ。

ここでも抜群の蹴りだしを見せたのは日産のローランド。再びトップに返り咲く。

24周目、アタックモードを手元に残していたマシンのトップ、キャシディがアタックモードを起動し8番手から反撃を開始。4分間のモード使用中にトップまで昇り詰めたいところだったが、トップのローランドはノーマルモードで必死の逃げを打つ。結局、キャシディは27周目に2番手まで上がるのが精一杯で、ローランドは見事にトップの座を死守して見せた。

フォーミュラEシーズン11開幕戦サンパウロePrixで好走を見せた日産のオリバー・ローランド

この直後、エバンスがアタックモードを起動。4分間のうちにチームメイトのキャシディの背後まで迫る。怒涛の19台抜きを演じているその最中、なんとトップの日産・ローランドにドライブスルーペナルティが発令。序盤におきた日産勢3台へのペナルティと同様、オーバーパワーによるペナルティで順位を12番手まで落としてしまう。

これでトップに立ったキャシディだが、アタックモードをわずかに残しているエバンスに交わされトップ交代。エバンスはこの時点で最後尾スタートから全車追い抜きを果たしてしまう。

さらに、ペナルティを受けたはずの日産パワートレインを積むマクラーレンチームの2台が、アタックモードを有効に使い6・7番手に浮上。終盤にアタックモードを残したマシンが相次いで上位進出を果たす。

フォーミュラEシーズン11開幕戦で最後尾スタートからトップに躍り出た、ジャガーのミッチ・エバンス 後方から追い上げたマクラーレン勢も背後に迫る

30周目、赤旗によるアディショナルラップが4周追加されるとアナウンスされ、レースは全35周に。残りは5周だ。

と、次の瞬間ターン5で3番手を争う3台が横並びになり、真ん中に位置していたキャシディがアウトサイドのステランティスパワーユニットを積むDSペンスキーのマキシミリアン・ギュンターを押し出す形になり、ギュンターはたまらず壁にクラッシュ。サスペンションを壊しその場でリタイアとなってしまう。

これで失速したキャシディに対し、続く反対方向に曲がるターン6でアウトからポルシェのウェーレインが仕掛ける。しかし、キャシディーの左フロントタイヤとウェーレインの右側面が接触。ウェーレインのマシンは跳ね上がりながら壁と接触し、その影響でマシンが横転する大クラッシュになってしまった。

幸いにもウェーレインに大きな怪我はなく、マシンを降りることができたものの、ディフェンディングチャンピオンがまさかの開幕戦リタイアとなってしまった。結果的に瞬時に2台を撃墜する形となったキャシディも大きくポジションダウン。最終的にポイント圏外でフィニッシュとなった。

このクラッシュにより、この日2度目の赤旗が掲示され、レースは4周を残して中断。

この混乱に乗じてポジションアップに成功したのは、マクラーレンの2台。もっともバッテリー残量を残した状態で表彰台圏内に入ってきた。

2度の赤旗もなんのその ふたつの新記録が誕生

レースはジャガーのエバンスを先頭に、以下ポルシェのダ・コスタ、マクラーレンの新鋭バーナード、同チームのバードの順で再開。エバンスに対し、若干バッテリー残量で優位に立つダ・コスタがコーナーへの飛び込む隙をうかがうが、エバンスが巧みにブロック。3番手のバーナードのバッテリー残量は余裕だが、スピードが足りず前2台に挑めないでいる。しかし、背後の僚友バードは後方をがっちりとガードしポジションを堅守。

結局、エバンスが後方からのアタックをしのぎ切りトップチェッカー。レース後には「正直、今回のレースは自分にとっても驚きの展開でした。予選では、不運に見舞われ、1周もできずに最後尾からのスタートとなったので、このような結果になるとはまったく予想していませんでした」と本人も驚きの結果となったようだが、これによりエバンスは、フォーミュラE史上初の最後尾スタートからの優勝を記録したドライバーになった。

フォーミュラEシーズン11開幕戦サンパウロePrixを制したジャガーのミッチ・エバンス

2位にはポルシェチームのダ・コスタ、3位にはマクラーレンチームのテーラー・バーナードが入り、表彰台をジャガー、ポルシェ、日産のパワートレインが分け合った。

なお、17位スタートから一時ペナルティとタイヤ交換で最後尾近くまで下がりながらも3位に入ったバーナードは、20歳と189日という若さでの表彰台獲得となり、フォーミュラEの最年少表彰台記録を更新した。

フォーミュラEの表彰台最年少記録を更新したマクラーレンのテーラー・バーナード

開幕戦から2度の赤旗に、111回のオーバーテイク、トップに立ったドライバーが5人と乱戦模様の展開となったフォーミュラEシーズン11開幕戦。「GEN3 Evo」導入によるアタックモードの変化は、もはや某人気カートゲームでスターを獲得した無敵状態ともいえる走りで、レース内容を劇的に変化させた。あまりにインパクトが強烈なので、一層のこと東京ePrixではアタックモードに入ったら会場に無敵状態を表すあのゲームサウンドを流してほしいぐらいだ。

次戦は年明け1月11日、舞台はF1でも使用されるメキシコシティのコースをフォーミュラE用にアレンジして開催される第2戦だ。お楽しみに。

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