EVはカスタマイズも楽しめる!
今回のイベントを見て感じたのが、ほとんどのオーナーのクルマがノーマル状態だった点だ。ホイールの交換程度はちらほら見られたが、一般的なオフ会やカスタムカーショーで見られるようなクルマはほぼ見られなかった(数台はいた)。
ノーマルが悪いとか、そういった偏見は一切ないが、どうせイベントに集まるなら、少しは個性を主張したいというのが人間の性ではないだろうか。
では、参加者はどんな目的で来ているのか?
聞くと、ほとんどの人は、EVを使った生活に関する意見交換や、アリアを通じて知り合った人たちとの交流がメインな様子。クルマどうこうを語るのではなく、今後のドライブプランの相談、EVの意外な使い方といったライフハック的な話題、電気会社ごとの料金体系などなど、クルマ以外の話題で盛り上がっていた印象だ。カスタムカーなどのオフ会によく足を運ぶ筆者からすると、とても新鮮に感じる環境だ。
実際、出展ブースを見てみると充電機器などに関する業者や、洗車関係の業者が多く見受けられた。
しかし、カスタムカーがいなかったわけではない。今回は、会場内で「フルカスタム!」といっても過言ではないほどカスタムされたアリアの展示も行っていた、チューニングメーカーのパイオニア、ブリッツに話をうかがった。
「我々は、長年さまざまなクルマをチューニングしてきました。そのノウハウを活かして、今後、数を増やしていくであろうEV向けの製品開発もスタートさせました。そのなかで、ベースとして選んだのが日産アリアでした」と語る。
なお、今回展示されていた車両はなんとユーザーカー。同社の製品を数多く装着していることもあり、その姿はデモカーそのもの。実際、当日、多くの人がクルマを観察していた。
「アリアでは、主に足まわりとレスポンスをコントロールできるスロットルコントローラーを軸に展開しています。もともと乗り心地がいいアリアを、当社の車高調を使うことで、よりブラッシュアップできますし、よりキビキビしたパフォーマンスを得ることができます。また、車高を下げてほかとは違うアリアに仕立てるユーザーも徐々に増えているので、幅広い層から注目されていますね。バネレートを変更して、独自のセッティングを出して楽しんでいる人もいるんですよ」とのこと。
最近のクルマはセンサー関係の問題から、車高調で下げるとエラーが出る場合もあるそうだが、アリアでは現状問題ないという。スロットルコントローラーは、アクセルレスポンスを調整する役割があるので、刺激的な加速が自慢のEVを、さらに過激にしたい人や、電費をとにかく稼ぎたい人に好評とのこと。
ブリッツブースでは、一般的なクルマでもお馴染みのレーダー探知機なども展開していた。こちらはガソリン車やEVと関係なく装着できる人気アイテムだ。
なお、アリアはエンジンを持たないので、ブリッツが得意とするパワーユニットのカスタムまでは踏み込んでいないそう。現実問題、コンピューター解析のハードルが高いほか、ただでさえポテンシャルが高いEVをこれ以上過激にするのは、ユーザー側からの需要がないとのこと。なので、乗り心地やドレスアップの分野で商品を展開するそうだ。
現在、アリアの開発は一旦終えているとのことだが、先日アリアNISMOなどが登場してきて、EV市場がより活発化してきている傾向にあるので今後、新たにパーツを開発する可能性もあり得るとのこと。
なんとなく、「EVって大人しく乗るものでしょ?」という先入観があったが、今回のイベントを通じて新たなEVの楽しみ方を発見できた。EVの可能性は無限大だ。AOCJの今後の活動に注目したい。