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BYDのターゲットは内燃機関車! 最大125万円級の大幅値下げを全モデルで開始ってマジか


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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中国に嵐を巻き起こす第二次EV値下げ戦争

そして、今回のHonor Editionにおけるもっとも注目するべき点というのが、なんといってもその値段設定です。この表は、HanとTangのグレード別の、2023年モデルであったChampion Editionと比較した、2024年モデルのHonor Editionとの値下げ幅を示したものになります。

中国プレミアムセダンの販売価格のグラム

このとおり、HanのPHEVモデルであるDM-iについては16万9800元、日本円で354万円からのスタート。よって、Han DM-iについては、最大50万円の値下げを行ってきた格好です。

さらに、バッテリーEVモデルについては、日本円で374万円からのスタート。一部グレードについては6万元、なんと125万円もの大幅値下げを行ってきた格好です。2022年モデルまで遡ると、最大7万元、日本円で146万円もの大幅な値下げ幅となっている状況でもあります。

また、フラグシップSUVであるTangについては、PHEVモデルであり圧倒的売れ筋であるDM-iに対してのみ、Honor Editionを設定しました。こちらもインテリアの装備内容をアップグレードしながら、なんといっても最大70万円以上の大幅値下げを行うことによって、コスト競争力を大幅に強化しています。

中国BYDのラインアップモデルの価格

また、Tang DM-iのAWDグレードであるDM-p、およびバッテリーEVモデルについては、Champion Editionをそのまま62万円以上値引きすることで対応しています。

いずれにしても、BYDブランドのフラグシップ両車種が、揃って大幅値下げされたわけです。

BYD Tangのフロントスタイリング

そしてこのグラフは、Hanの競合車種であるプレミアムセダンの内燃機関車たちの値段設定を比較したものです。

このとおり、今回の大幅値下げによって、Hanについてはトヨタ・カムリのガソリンモデルと同等の値段設定を実現していることが見て取れます。さらにその上、この値段設定に関しては、どの車種も実際の販売ディーラーにおいて大幅値引きを受けた後の値段設定であり、とくにフォルクスワーゲン・パサートについては、一律で4.4万元、日本円で90万円級、ホンダ・アコードに至っては一律で5.3万元、日本円で110万円級の大幅値引きを行っており、ようやくHanよりも安価な値段設定を実現している状況となります。

先ほども説明したとおり、経済的な観点から、このレベルの値段設定の差にまで縮まれば、内燃機関車よりもPHEVを購入したほうが割安であり、もちろん既存メーカーはこれ以上値下げする余力は残されていないことから、いよいよ販売台数に大きな悪影響が出てくる可能性が濃厚です。

中国ミドルサイズセダンの価格分布

また、HanとTang以外のモデルにおける、Honor Editionの追加による値下げ幅を確認してみると、Qin PlusとDestroyer 05に関しては、最大2.2万元(約46万円)もの大幅値下げを一律で行っている状況です。

そして、Song Plusについても、Honor Editionの追加によって、DM-iとEVモデルそれぞれ一律で2万元(約41万円)以上の大幅値下げが実施された格好となります。

すでにこのミッドサイズSUVセグメントは、ホンダCR-VやトヨタRAV4などの販売シェアが奪われていることから、このHonor Editionの追加によって、さらにどれほど販売台数の減少につながってしまうのかには、最新の販売動向に注目です。

中国のトヨタ・カムリのフロントスタイリング

さらに、2023年中旬から正式発売がスタートした最新モデルであるSeal DM-iに関しても、なんと早速大幅値下げを断行。15万元(312万円)以下から購入可能という大幅値下げとなりました。

新型モデルを早速35万円以上も値下げすることによって、とくに中大型セグメントのセダンを購入する際に、「高級志向およびレベル2プラスの最新ADASを求めるのであればHanをチョイス、より安価なモデルを求める場合はSealをチョイス」というように、これまでカニバライズ感があったHanとSealの差別化に成功してきたわけです。

BYD Tangの走行シーン

このようにして中国BYDについては、この2月後半以降、立て続けに2024年モデルであるHonor Editionの発表を行いながら、とくにHanとTang、Song PlusとSeal DM-iの一律の大幅値下げによって、いよいよ、値下げだけで販売台数をなんとかキープしてきた日本メーカー勢の内燃機関車の販売台数に、深刻な影響を与える1年となる可能性が出てきている状況です。

今回のBYDの一連の発表で印象深いスローガンというのが、いわゆるEV戦争を念頭においているのではなく、あくまでも「電気は燃料よりも安く、燃料と電気の戦争に終止符を打ち、新エネルギー時代の到来を確定させる」というものです。

BYDシールのフロントスタイリング

2024年シーズンにBYDが値下げ戦争を仕掛けたのは、テスラやファーウェイ、中国EVスタートアップに対してというよりも、日本メーカーやドイツメーカーといった内燃機関車を販売しているメーカーたちです。

2023年冒頭にテスラが引き起こした「第一次中国EV値下げ戦争」に続いて、2024年冒頭にBYDが引き起こしている「第二次中国EV値下げ戦争」によって、中国国内の勢力図がどのように変化していくのかに注目です。

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