水素を「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」
ホンダは電気とともに有望なエネルギーキャリアとして水素を位置づけている。具体的には、水素の循環サイクルを、再生可能エネルギーを起点とする「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」で構成されると説明する。
再生可能エネルギー由来の電気は、水電解技術により「グリーン水素」(再生可能エネルギーなどを使って水を電気分解して生成される、製造過程で二酸化炭素を排出しない水素)に変換される。
これにより、季節性や天候による発電量の変動を受けにくくするとともに、陸上/海上輸送・パイプラインにより需要地へ適した方法での運搬が可能となる。
エネルギーを高密度で貯蔵・運搬することができ、短時間で充填可能という水素の特長から、燃料電池システムはバッテリーでは対応が困難とされる、稼働率の高い大型モビリティや大型インフラの電源、短時間でエネルギー充填が必要なモビリティにおいて、特に高い有用性が見込まれる。また複数基の燃料電池システムを並列接続することで高出力化を実現する。
水素社会インフラ構築に向けた取り組み
将来に向けた社会インフラの構築についても、ホンダは言及している。今後は新たな領域として、定置電源を中心に、水素の需要がある地域を起点とした水素を基盤とした社会システムの形成や、政府や地方自治体が主催する港湾などでの大量輸入水素を活用したプロジェクトなどにも積極的に参画。関連する企業各社とのパートナーシップの構築を図っていくという。
このようにホンダは、水素利用のコア技術である燃料電池システムの搭載・適用先を、自社のFCEVだけでなく、社内外のさまざまなアプリケーションに拡大していくことで、社会のカーボンニュートラル化を促進し、水素需要の喚起に貢献することを狙う。
ここでは会見のすべてを紹介しきれないが、ホンダの水素社会実現を目指す決意表明ともいえる豊富な内容は、水素利用に対するホンダのこだわりを改めて感じさせるものだ。