#ID.2all
フォルクスワーゲン ID.2all コンセプトのフロントマスク
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲンID.2allはBEV時代のザ・ベーシックとなるか。最新コンセプトカーが示す「原点回帰」とは【後編】

フォルクスワーゲンは、2023年3月に電動FFコンパクトハッチのコンセプトカーとしてID.2allを発表。邦貨約300万円台の価格を実現する「小さくて買いやすいBEV」は、ビートルやゴルフのような大衆車になる可能性を秘めている。まさしく原点回帰ともいえる最新BEVについて、自動車ジャーナリスト・小川フミオが同社経営陣にインタビューを敢行。前回につづき、後編をお届けする。 ショーカー完成まで6週間! ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミントは「いかなるクルマもコピーしていません」と言う   20インチのホイールを履くタイヤを四隅に配したプロポーションのよさが命だとされる   いま北半球のマーケットではSUVがメインストリームだけれど、ID.2allがハッチバックスタイルで登場したのは、SUVやクロスオーバーのトレンドへの押し戻し? そう問うと、フォルクスワーゲン・ブランド技術開発担当のカイ・グリューニッツ取締役は次のように答えた。 「うーん……このプラットフォームでSUVも作りますから。おそらく、数ヵ月後に。多くの顧客がSUVを求めているのは事実です。ここで言いたいのは、ID.2allは充分魅力的なクルマになったということです」 たしかに、スタイリングのアピール力は強い。ID.2allが次期ポロとして登場しても不思議ではない気がする。 「私たちは、アイコンモデルのDNAを未来へと移植しています。ID.2allはビートル、ゴルフ、ポロへのオマージュでもあります」 そう語るのは、ヘッドオブデザインのアンドレアス・ミント氏。2023年2月に現職に就いたばかりで、そのすぐあと、わずか6週間で、今回のショーカーを作りあげたそうだ。 「たしかに6週間は短かったですが、なにを作るかしっかり頭のなかに青写真があればいいんです。私はフォルクスワーゲンに15年いて、そのあと(VWグループのほかのブランドへ移籍して)離れたときに、外から眺めたことで、どうすればフォルクスワーゲンがいい方向にいくか、客観的に判断できたのだと思います」 BEVっぽさがないスタイリング 円筒形はドライブモードセレクター   前席のパセンジャーシートは倒せば最長2.2mの長尺物を搭載することも可能   Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの主要な要素に焦点を当ててデザインしている、というミント氏。ID.2allで重視したのが、フロントマスクの造形だそうだ。 「必要だと思ったのはフレンドリーな眼であり、笑顔です。それが私たちが向かっている方向ですね。ID.Buzzを見てみてください。スーパーフレンドリーでしょう。みんな好きになってくれます」 ID.2allで興味深いのは、いってみれば、BEVっぽさがないスタイリングだ。あたらしいポロと言われても、即座に納得できそう。 「私たちはフォクルスワーゲンのアイデンティティを大事にしようとしています。私たちはモンスターフェイスはいらないし、どこにでもあるような電気自動車のデザインも必要ではありません。私にとっては、ゴルフのモダンバージョンといってもいいかもしれません」 一連のインタビューからみえてきたのは、ID.2allは特別なBEVでなく、自然に市場に受け入れられることをめざして開発されたモデルということだ。 背景には、欧州委員会によるエンジンをもった新車の販売禁止への動きが、当然あるだろう。 超ハイスピードで今回のショーカーを作りあげたのは、市場がどうなっても、フォルクスワーゲンは充分対応可能という、投資家ヘのメッセージでもあるはずだ。

TAG: #ID.2all #コンパクトカー
フォルクスワーゲン ID.2all コンセプトのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲンID.2allは「大衆のためのBEV」に。300万円台のプライスタグを実現か【前編】

フォルクスワーゲンが発表した最新のコンセプトカー、ID.2all(アイディーツーオール)は、ポロのBEV版とも評される電動コンパクトハッチバック。450kmという充分な走行距離を確保する一方で、邦貨にすると300万円台半ばという挑戦的な価格設定を標榜する“大衆BEV”は、果たしてどのようなクルマなのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオが同社経営陣に直撃した。前後編に分けてお届けする。 全長4mの電動FFコンパクトハッチ 右から、T.シェーファーCEO、セールス/マーケティング/アフターセールス担当のI.ラベー取締役、デザインのA.ミント、技術開発担当K.グリューニッツ取締役   フォルクスワーゲン本社が、ID.2all(アイディーツーオール)なる、コンパクトBEVのコンセプトカーを発表した。 2023年3月15日に独ハンブルクで開催された発表会でお披露目されたのは、全長4050mmと比較的コンパクトなID.2all。 スタイリングは、従来のポロやゴルフに連なるイメージで、エンジンを載せたハッチバックといっても不思議でない。 注目すべきふたつめのポイントは、バッテリーを床に敷き詰めたMEBというBEV用プラットフォームを使いつつ、これをフロントモーターの前輪駆動へと転換したこと。 従来のID.シリーズのMEBプラットフォームは、リアモーターの後輪駆動。文字通り180度の転換だ。 モーターの出力は166kW(225ps)で、満充電での走行距離は450kmとされている。 これらはすべて、フォルクスワーゲンのこれからの製品戦略と関連している。 VW乗用車部門のトーマス・シェーファー最高経営責任者(CEO)は、発表会において下記のように語った。 「フォルクスワーゲンは、2025年にヨーロッパ市場向けのID.2allの量産モデルを発表する予定です。その目標は、2万5000ユーロ以下(邦貨約353万円※2023年3月28日時点の為替レートで換算)のベース価格を実現することです」 ID.シリーズのボトムラインを形成しているID.3(2022年モデル)が約4万4000ユーロだから、大きな差がある。欧州メディアでたちどころに話題になったのも簡単に理解できる。 eモビリティを“民主化”する ロワーボディにはモジュラーバッテリーが敷き詰められ、そのうえにアッパーボディが載るが、車高は1530mmに抑えられている   クリーンな造型と、直感的な操作系を特徴としたダッシュボード   「私たちは、フォルクスワーゲンを真の“Love Brand”(愛されるブランド)にするという明確な目標を持って、会社を迅速かつ根本的に変革しています」 愛されるとは、べつの言い方をすると、多くのひとが乗るかつてのフォルクスワーゲンのような求心力を取り戻すこと。 ID.2allの発表会場には「FOR THE PEOPLE」なるスローガンがいたるところに掲げられていた。 シェーファーCEOが壇上に上がるときには、初代ビートルや、タイプ2などとも呼ばれるマイクロバス、初代ゴルフ、カルマンギアタイプ1カブリオレ、といった歴代モデルがステージに登場。 フォルクスワーゲンが社名のとおり「ピープルズカー」として、いかにユーザーの生活を豊かにしてきたか。さらに最新のゴルフRにいたるまで、実車が出てきて、それを実感させてくれた。 ID.2allという車名にこめられた意味も、「all」イコール「すべてのひと」なのだ。シェーファーCEOは言う。 「ID.2allは、私たちのブランドが目指すべき姿を示しています。つまり、私たちはお客様に近い存在となり、最高のテクノロジーと素晴らしいデザインを備えたブランドになります。私たちは、eモビリティを民主化するために、変革を迅速に実行しています」 民主化とはあまり耳慣れない言葉だけれど、要するに、親しみやすい、あるいは、買いやすい、という意味なのだ。

TAG: #ID.2all #コンパクトカー
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
フォルクスワーゲン、新型コンパクトEV「ID.2all」を本国で発表……デイリーEVヘッドライン[2023.03.17]

「ポロ」クラスのコンパクトEV 価格は 2万5,000ユーロ未満 【THE 視点】VW(フォルクスワーゲン)は3月15日、小型EV 「ID.2all」を発表した。2025年市販予定のコンセプトモデルで、新開発のプラットフォーム「MEB Entry」が採用されるという。 最高出力166kW(226ps)のモーターで前輪を駆動し、最大で450km(WLTP)の航続が可能と発表されている(電池容量未発表)。ボディサイズはエンジン車の「ポロ」に近く、長さ4,050mm×幅1,812mm。しかし室内は「ゴルフ」並みの空間を確保しているという。 最大の特徴は価格で、2万5,000ユーロ(約360万円)未満と発表されている。この価格で450kmの航続距離を確保とは驚きだ。価格も航続距離もガソリン車に近く、充電を気にしたり冷暖房を抑えたりなどの我慢をしないで乗れるEVだ。日本でも早期に発売されることを願うばかりである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォルクスワーゲン、2026年までにEVモデル10車種を発売予定……価格2万5,000ユーロ(現在約360万円)以下を目指す ★★HWエレクトロ、塗装機器のアネスト岩田と業務提携……自動車納車前整備(PDI)について業務提携並びに資本提携[詳細はこちら<click>] ★ノルウェーのヘキサゴン・プルス、日野と提携し米国でEVトラックを販売……日野のシャシーをベースにEV化 ★テスラ、オートパイロットの体験会を実施……3月15日(水)〜4月28日(金)、「テスラセンター稲毛」「テスラサービスセンター東名川崎」「テスラ心斎橋」にて ★BYD、沖縄にショールームを開設……「BYD AUTO 沖縄」が国際通り入口にて3月16日(木)よりオープン ★音楽事業のヤマハ、多言語対応EVレンタルバイクサービスを開始……「代官山蔦屋書店」などにて3月16日(木)より ★ユアスタンド、マンション契約駐車区画へのEV充電器導入をサポート……導入費用・ランニングコストを全額支援、6月30日(金)受付分まで ★スズキ、公道用電動自動配送ロボット事業へ進出……自動配送ロボット開発のロンビーと共同開発、3月13日(月)〜23日(木)まで広島工業大学のキャンパスおよび周辺の公道(広島市佐伯区)にて配送実験を実施 ★日産、三重県木曽岬町と連携……「ブルー・スイッチ」施策213件目、災害時などにEVを電源車として活用 ★帝人、移動可能な小型燃料電池/圧力容器ユニットを開発……東急建設の渋谷駅周辺開発工事の現場で実証実験、2026年6月より

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