独BMWは8月9日(現地時間)、電動フラッグシップサルーン「i7」を防弾仕様とした「i7プロテクション」を欧州で発表した。現地における顧客への納車開始は本年12月を予定している。 64式小銃の直撃に耐える造り 従来からBMWでは上級車種を中心にVIP向けの防弾仕様を設定してきたが、今回ついにこのカテゴリーも電動化されることとなった。世界初となるバッテリー電気自動車(BEV)の防弾車としてデビューしたi7プロテクションは、i7のボディコアをアーマースチールで作られた専用品へ換装。ドア、アンダーボディ、ルーフには追加装甲が付与され、各ガラスも分厚いアーマードガラスに交換されている。 こうした装甲については、ベースとなる新型「7シリーズ」の開発段階から並行して検討が行われており、完成車を入手してから装甲を追加していく外部業者とは性能に格段の違いが生まれるとのことだ。 また、i7プロテクションが採用する「BMWプロテクションコア」は、ボディを支持する構造全体を初めてアーマースチールで構成。3次元設計された各部位は、すべて非常に高い耐性を持つ熱間成型合金で製作されており、ベースモデルと大差ないサイズで飛躍的に防護性能を高めている。さらに、時代に即して、アンダーボディに加えルーフにも爆発物に対する保護設計を採用。手榴弾の爆発による破片から乗員を保護するほか、ドローンを使った爆発物による攻撃も防ぐことができる。 もちろん、タイヤやホイールも専用開発品となっており、ホイールリムに装着されたリングにより、空気圧が完全に失われた場合でも80km/hで走行を続けることができるという。 結果として、i7プロテクションはドイツの「VR9」基準をクリア。そのガラスは自衛隊の64式小銃にも使われる7.62mm弾の直撃に耐えることができる。さらに、ボディに対して同等の保護性能を与えるオプションも用意されているから、こちらを選ぶ顧客も多くなるだろう。 >>>次ページ 防弾車にもかかわらず0-100km/h加速は9.0秒を達成