日本導入が熱望されるEVブランド ポールスターという自動車ブランドがある。そう聞いて、欧州車に詳しい人ならば、「ボルボのハイエンドグレードでは?」と思うだろう。ボルボの各モデルで、いわゆるポールスター仕様が存在したからだ。 ハイエンド、またはハイパフォーマンスな「上位ブランド」戦略としては、メルセデス・ベンツのAMG、BMWのM、VWのRライン、キャデラックのVシリーズ、さらに日系ではトヨタのレクサス、日産のインフィニティ、そしてホンダのアキュラというイメージで捉えている人が少なくないだろう。 その後、ポールスターはボルボブランドから独立したEV専門ブランドになったが、日本ではその存在があまり知られていない。ボルボもEVブランドになるとの事業計画を発表したものの、グローバルでのEV市場の変化を鑑み、いわゆるマルチパスウェイとして各種パワートレインを併存することになった。 こうしたボルボとポールスターの事業変化によって、日本人ユーザーにとってポールスターは遠い存在になった印象がある。 筆者がポールスターのEVブランド化の詳細を知ったのは2017年だった。スウェーデンのヨーテボリにあるボルボ本社で開催された、自動運転やコネクテッドに関する国際カンファレンスに参加したときのこと。ボルボ関係者らは、ポールスターの今後についてさまざまなプレゼンテーションを行った。 その時点では、ポールスターのブランドイメージを刷新し、ハイパフォーマンスなEVブランドとして再出発させるとした。EVとしての基本コンポーネンツについては、ボルボの親会社である中国の吉利(ジーリー)が中国を含めてグローバルから幅広く調達し、将来的にはボルボのEV化とポールスターについて、生産体制を含めてバランスさせるとの説明だった。その上で、ボルボにとってポールスターは、レーシング領域を原点にしたハイエンドでハイパフォーマンスな存在だと定義していた。 こうした言葉どおり、ポールスターは欧州のモーターショーでの出展などによってブランドを浸透させていった。昨年にハイパフォーマンスSUVの「ポールスター4」を量産しており、欧米メディアはメルセデス・ベンツやBMWとのライバル車とした比較試乗など行っている。直近では、2028年登場予定の「ポールスター7」のティザーが公開されている。 斬新なボディデザインが特徴のポールスターの各モデルだが、現時点で日本市場への導入については明らかになっていない。