作業工程を減らし剛性を高める「ギガキャスト」 トヨタが電気自動車(EV)のbZ4Xで、車体骨格となる床構造に用いたのが、ギガキャストだ。 キャスト(cast/英語の発音記号ではカストに近い)とは、英語で、投げるとか配役という意味がある。工業で使われる場合は、鋳造となる。鋳造は金属の加工法のひとつで、型へ溶かした金属を流し込み、それを冷やして型から外し、製品に仕立てる方法である。古くは、奈良の大仏も鋳造で作られた。大仏で使われた金属は青銅で、銅に錫を少し混ぜてある。 鋳造の利点は、作業工程を減らせることで、仕上がった製品のあと処理が少ないところにもある。 金属加工にはほかに、鍛造、切削、押し出し成型、プレス成型など、用途や材料によってさまざまな手法がある。 鋳造とキャストは、基本的には型へ溶けた金属を流し込む点で同じである。ただ、キャストといった場合は、流し込むときに圧力をかけ、型に押し込むことになる。理由は、型の隅々まで均一に金属が行き渡るようにするためだ。とくに、細かな形状が含まれる製品では、ただ流し込んだだけでは細部に行き渡らなかったり、金属に隙間ができたりする(巣ができるという)懸念がある。圧力をかけて流し込めば、溶けた金属を押し込むことができ、狭い場所や金属の隙間を埋められる。 ギガキャストとは、キャストであることは同じだが、より大きな部品を型で作ることを指し、それによって作業工程を減らすことができる。材料を効率よく使い、うまい設計をすれば細かな金属部品を溶接などでつなげるより軽く仕上げることもできる。そのうえ、接続部分が減るので、剛性を高めることができる。トヨタbZ4Xの場合で、剛性が2倍になったといわれる。
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