#電気自動車
TEXT:田中 誠司
中庸からの脱却は難しい[ソルテラ試乗記:その2]

スバル・ソルテラの高速道路での振る舞いや室内空間を確認しつつ、小旅行を終えて抱いた感想とは。 FWDのガソリン車のような性格 加速のポテンシャルは高速道路に足を踏み入れても変わらない。それまでゆるりとおとなしく一定速を保っていても、合流側の車両の速度に応じてふとアクセルペダルを踏み込んでやると、想像以上に鋭い加速が生み出されて必要な速度に達することができるのだ。 いっぽう、ブレーキは浅く踏んだ瞬間のレスポンスが非常に緩やかで、ディスクによって速度を殺しているという感じをあまり受けない。 車検証上における前後重量配分は前が1,110kg、後が940kgである。モーターは前後それぞれに80kW(109ps)を配している。従来のトヨタ/スバル製SUVと操作性を極端に変えないように、コンポーネンツの配置をこれまでのFWDベースのSUVと大きく変更していないのが理由だ。ゆえにフロントのボンネットを開けてもいわゆる“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースは存在しない。 とはいえ、全長が5ナンバーサイズに収まるソルテラにおいて、荷室容量と室内空間に苦情が出る心配はまずないだろう。カタログ掲載の荷室容量は441〜452L、実測値では幅の最大値が129cm、奥行きが98cm、トノカバーまでの高さが40cm。スクエアでとても使いやすそうだ。 身長172cmの筆者がドライビング・ポジションを決め、その背後に移動したシーンにおいて膝前には23cmの余裕がある。床面もプロペラシャフトがないため足の置き場に困ることはなく、前席と合わせて5人のおとなが長距離移動することになったとしても文句はないだろう。試乗車はスタッドレス・タイヤを装着していたが、ざわついた感じは本当にわずかで、これがノーマルタイヤだと言われても気づかない範囲でしかなかった。 車重が大きいEV、とりわけ積載量も大きいSUVはタイヤサイズが特別な意図をせずとも大きくなってしまうケースが多い。となれば乗り心地の突き上げ感もロードノイズも増大してしまうのが当たり前で、これをどのように抑えているのかがクルマ選びのポイントにもなるだろう。

TAG: #ソルテラ #電気自動車
TEXT:山本 亨
タイの未来の電動車戦略について、タイ電気自動車協会クリサダ会長インタビュー その2

その1では、タイ電気自動車協会のウタモテ・クリサダ会長に、これまでのタイのEVに関する話を聞いた。その2ではタイ政府の電動車割合の目標、充電ステーションの充実化、電力インフラにいたるまで将来の展望を語ってもらった。 2035年に電動車100%を目指す 山本局長:タイ政府は2021年から2035年に向けて3つのフェーズのEV計画を発表しています。この3つのフェーズを分かりやすく教えてください。 クリサダ会長:まず、その3つのフェーズはマイルストーンと言った方がいいかもしれません、2025年、2030年、2035年までの3段階となります。それぞれの年に登録台数・生産台数の2つの目標値を設定しています。 まず登録目標値ですが2025年に全く二酸化炭素を出さないバッテリーEVとPHEVを乗用車・ピックアップトラックで登録台数の30%、目標数値は約221,000台。バイクは20%、35,000台。バスは20%、18,000台。トゥウクトゥクは85%、500台。船は12%、130隻。列車は70%、620台です。 2030年の登録台数は2025年より高い数値をあげています。乗用車・ピックアップトラックは30~50%。バイクは20~40%。バスは20~40%。トゥウクトゥクは85~100%。船は12~35%。列車は70~80%。最後の2035年ですべての項目で100%です。 次は生産台数です。生産台数は登録台数が100%に対して2035年は約50%。国内で生産する乗用車とピックアップトラックは50%だと135万台です。タイ国内で生産する車は国内用・輸出用の2種類あります。輸出にはICE(内燃機関)の需要があることを見込みこの数値をあげています。あとはいろいろなサプライヤーがいるので、まだこの先もICEがあることを示して、サプライヤーなどの皆さんがパニックにならないようにと配慮しています。 急速充電は欧州式のCCS2が主流化 山本局長:2035年までにEV・PHEVの登録台数を100%にするにあたり、重要になるのが国内の充電インフラだと思いますが、国内の充電インフラの現状と今後の計画を教えてください。 クリサダ会長: 例えば充電ステーションの1つのユニットには2つのコネクターがありますが、そのチャージするコネクターの数を申し上げます。2022年までの数値は3,739で、充電ステーションは1,239箇所です。充電方式の種類は普通充電と急速充電の2種類です。普通充電は時間がかかるのでショッピングモールや料理店などに設置しています。急速充電の方は料金が高くなります。この急速充電のコネクターには2種類あり、日本式のチャデモとヨーロッパ式のCCS2です。数値はCCS2が1079。日本式は263です。これからはヨーロッパ式のCCS2の普及が急速に広まっていくのではないかと推測します。 山本局長:充電施設にも、先ほどのマイルストーンのような将来的な目標数値はありますか。 クリサダ会長:ステーションの目標数値は個数ではなく割合だと考えています。どういう割合で計算するかというと、EV車の割合とコネクターの割合ですが、タイでは今までの合計台数はPHEVでは42,415台。EVは13,805台。この数値を合わせて、さきほどのコネクターの数で割ると、1つのコネクターあたり15台ほどとなります。私たちが考える理想的な数値は、1つのコネクターに10台です。現在のタイの数値は1つあたり車約15台ですから、あまり理想的ではありません。これからの目標としては、充電インフラの増加をキープしていこうということです。 山本局長:2022年12月にトヨタがCP(チャロン・ポカタン)財閥の配送トラックで、メタンガスを含めた取り組みの発表をしましたが、その提携したCPグループとトヨタの取り組み、それに対するタイ政府の取り組みはありますか。 クリサダ会長:聞いたところでは国のサポートはありません。2022年12月に豊田章男社長がタイに来て、CPグループの社長と会い、バイオ水素を作るというトヨタとCPグループ、民間企業の協同のプロジェクトを公表しました。CPグループは家畜の飼育に強みがあり食品工場もたくさんあるので、家畜の糞尿や食品廃棄物を資源にしてバイオガスを作ることに繋がっています。 山本局長:先ほどのチャデモの話ではないですが、充電インフラはヨーロッパに向いているようなのですが、この先はタイ政府と日本メーカーの関わりはどのようになると思いますか。 クリサダ会長:まずタイ政府は日本の自動車メーカーがタイでEV車両を生産する投資をものすごく歓迎しています。なぜなら、EV車は40%の関税を半分の20%にしていますが、日本とタイとの貿易協定があり20%が0%になるからです。日本製の車両はタイで税金なして販売できますが、将来的にはタイで生産してもらえるよう待っています。例えばトヨタに関してはこれからEVに参入していく姿勢が感じられます。フルEVの車を出すとも聞いています。 山本局長:bZ4Xはタイ生産になりますか。 クリサダ会長:おそらくbZ4Xはタイ国内で生産されます。ただタイ政府にひとつのスキームがあり、200万バーツ(約780万円)以下の車ならどんな車を作ってもいい。ただし200万バーツ以上なら申請したスキーム通りの車両を生産しないといけません。 山本局長:bZ4Xは200万バーツ以上のスキームに沿ってということですか。 クリサダ会長:おそらくbZ4Xは200万バーツ以下のスキームでいこうとしています。 山本局長:今後タイで生産するEVを日本に輸出する計画はありますか。 クリサダ会長:現在タイで生産する車の輸出先はオーストラリア・中東が中心です。日本に輸出していると聞いているのは、ピックアップトラックくらいです。EVに関しては、タイ政府の目標は国内で生産して国内で消費するという考えです。

TAG: #充電器 #電気自動車
TEXT:山本 亨
“補助金効果で大幅に伸びたEV販売台数“タイ電気自動車協会クリサダ会長インタビュー その1

第44回バンコク国際モーターショーが3月22日(水)から4月2日(日)まで開催された。会場内のBMWブースでタイ電気自動車協会のウタモテ・クリサダ会長(BMWタイの広報部長も兼務)に、交通タイムス社の山本 亨 編集局長がインタビューを行った。2022年に大きく成長したタイのEV事情に迫る。 2022年は前年比400%の成長率 山本局長:日本もようやく昨年からEV普及の機運が高まり、それに合わせて我々もEV専門ウェブサイトのTHE EV TIMESを立ち上げました。タイも国全体でEVを盛り上げるべく政府で補助金を出すなどEVに急速にシフトしています。まずは昨年のタイの自動車生産数を教えてください。 クリサダ会長:数値は2種類ありひとつは輸出用の1,037,317台、もうひとつは国内販売用の846,198台です。 山本局長:国内販売用の846,198台の中で、EV・PHEVの割合はどのくらいですか。 クリサダ会長:さきほどの数値は生産台数ですが、続いて2022年の登録台数(※)を申し上げると自動車・バイク・トラック全部合わせてEVは20,816台、こちらを詳細に分けると乗用車が9,678台、バイクが9,912台、三輪車のトゥクトゥクが226台、バスが976台、トラックが24台です。PHEVは11,331台ですべて乗用車です。その次はハイブリッドで64,035台、乗用車が63,568台、バイクが466台、バスが1台です。 ※編集部注:国内販売用生産台数は846,198台、2022年の販売台数(≒登録台数)は849,388台なので差はわずか3,190台となるため、国内販売用生産台数と販売台数(≒登録台数)はほぼ変わらないとして考える。 山本局長:今の数字を聞いてなおタイはEV・PHEV化が進んでいると思いますが、タイ政府の奨励策はどのような内容ですか。 クリサダ会長:先ほどのEV登録台数ですが2022年は乗用車が9,678台、2021年は乗用車がわずか約1,900台で成長率が400%と言えます。なぜこの400%の成長があるかというと、昨年初めてタイ政府がEVに関していろいろな政策を出したことで補助金が出てEVがより安く購入できるようになりました。例えばEVをタイ国内で生産しその工場がタイの大蔵省に認定を受けると、1台あたり15万バーツ(約58万円)の補助金が出ます。

TAG: #補助金 #電気自動車
TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2022.11.23]

    ・VW、新型EV「ID.4」日本発売……499万9000円からで2グレード展開、上位機種の最大航続距離は561km 【THE 視点】フォルクスワーゲンジャパン(VW)は、電気自動車(EV)専用アーキテクチャーを採用したEVブランド「ID.」シリーズのブランド初となるフル電動SUV「ID.4」を、11月22日より販売を開始した。  試乗記などは他に譲るが、グレードは2種類用意され、125kW(170ps)モーター/52kWhバッテリーの「ライトローンチエディション」、150kW(約204ps)モーター/77kWhバッテリーの「プロローンチエディション」となる。  この2種類のバッテリーモジュールは、リリースには珍しく重量が記載されていたので触れておく。日本市場に導入する「ID.4」に搭載される2種類のバッテリーは、それぞれ寸法と重量が異なり、52kWhバッテリーの重量は344kg、77kWhのバッテリーシステムの重量は493kgである。エネルギー密度は、モジュールで約150Wh/kgとなる。  このバッテリーは、8年間または走行距離16万km走行(どちらか先に到達した方)後もオリジナルの充電容量の70%を維持することを保証するとしている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMESエグゼクティブ・アドバイザー) ・2022年10月の主要国EV販売台数は90.4万台……マークラインズ発表、前年同月比51.5%増(日本含む主要11カ国+北欧3カ国から集計) ・VW、「ID.4」体験スペースを東京ミッドタウンにオープン……「ID.SQUARE」として12月12日(月)〜25日(日)まで ・VW、150kWの急速充電網「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」に加入……アウディ、ポルシェと相互利用可、国内約210拠点、220基のネットワーク ・アウディ、「e-tron」のレーシングカー「Audi S1 Hoonitron」のスペック公開……ツインモーター4WDで出力500kW/トルク640Nm、ケン・ブロック選手のデモラン動画が450万再生 ・アウディ、「Q4 e-tron」発売記念のイベント「Audi Q4 e-tron ドローンショー」を開催……500機のドローンが国立競技場上空に「Audi Q4 e-tron」を描く ・KGモーターズ、開発中の超小型EVの第1弾ティザーを公開……1人乗りで空調付き、東京オートサロン2023に試作車展示 ・マツダ、2030年までにグローバル販売のEV比率を最大40%に……3フェーズに分け電動化、第2フェーズで中国ほかグローバルにEV専用車導入 ・マツダ、電動駆動ユニットで国内7社と協業……合弁会社「MHHO Electric Drive株式会社」を設立 ・マツダ、バッテリー大手「エンビジョンAESC」からEV用電池を調達……国内向けEVに搭載予定、調達含む投資規模は1兆5000億円との報道 ・NEC、ENEOSの急速充電サービス「ENEOS Charge Plus」に決済システム提供……マルチ認証・決済エッジ端末の開発・導入、マルチ認証・課金クラウドサービスまでをトータルに ・自民党、自動車議員連盟が「モビリティを軸に成長する未来社会を考える会」設立……経団連や政府と連携し産業政策を立案・提案していく ・BMW、EVのコンパクトSUV「iX1」がドイツ本国でラインオフ(11月11日)……レーゲンスブルク工場のEV化推進 ・LG化学、米にバッテリー用素材「カーソド」の工場建設……30億ドル以上を投資し年間12万トンのカソードを生産

TAG: #ID.4 #THE視点 #VW #デイリーEVヘッドライン #電気自動車

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