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結局世の中が求めるのはEVじゃなくHEVなのか? いま改めてハイブリッドカーが見直されているワケ


TEXT:御堀直嗣 PHOTO:THE EV TIMES
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EVシフトは全車HEV化をしてからが自然な流れ

いずれにしても、企業の経営方針のなかで、HEVという選択肢は長い間躊躇させる要因があった。しかしここで、一気にEVへ転換する難しさを目の当たりにして始めて、HEVをやらざるをえなくなった。

そのなかで、EVの延長としてのPHEVが欧州などでHEVに比べ有力候補とされてきた。だが、それも怪しくなってきた。PHEVが、実際にはHEVとそれほど環境性能が変わらず、場合によってはHEVより燃費が悪い事例もあることが見えてきたからだ。

PHEVの給電

欧州には、カンパニーカーという制度がある。これは、クルマを通勤に使う社員が多い欧州では、ある程度の役職になると報酬の一環として会社からクルマが提供される。そのクルマで通勤するのだ。これをカンパニーカーという。カンパニーカーは、報酬に見合った予算内で、ある程度選択肢を用意されたなかから選ぶ。つまり、必ずしも自分が欲しいクルマであるとは限らない。ほかの例でいえば、会社から支給されるパーソナルコンピュータなどのような、仕事で使う機器に通じる。

そこで、PHEVであってもまめに充電せず、ただ燃料を給油するだけで利用する事例が多いのではないか。家や事務所で充電し、なおかつガソリンスタンドにも立ち寄るとなると、エンジン車より利用の手間は増える。次第に充電しなくなり、給油した燃料だけで使うようになれば、HEVより容量の大きなバッテリーと充電器を車載するPHEVの、ハイブリッド走行での燃費がよいわけはない。

ガソリンの給油

卑近な例だが、私の知人が欲しい車種にEVの選択肢がなく、仕方なくPHEVを買った。ところが、同じように日々の充電とガソリンスタンド通いをしなければならず、エンジン車に乗っていたときより手間がかかり不便だと、不満をいっている。

自動車メーカーが机上で考えるなら、日常的な40~50kmの走行は充電した電気で走り、たまに遠出をする際はハイブリッドで走って急速充電の懸念が不要になるとPHEVを位置付ける。しかし、一日の走行距離が100km前後ある人は、充電と給油の二度手間に辟易する。

また、モーター走行が100kmできると諸元上ではいっていても、エンジン車と同じ運転の仕方では到底その距離は電動走行できない。私の友人も、電動走行が80kmとの触れ込みだったが、40km走ったらエンジンがかかったと怒っていた。そこで、EVのワンペダル操作を教えたら、60kmほどは電動走行できるようになったとのことだ。

ワンペダルドライブのスイッチ

このように、PHEVは必ずしも多くの人に適した車種ではない。ならば、いっそのことHEVで十分といえるだろう。

そのうえで将来的に見れば、自動運転に通じる裾野を広げられるのはEVになる。HEVでも、日産自動車のe-Powerのように電動走行を基本とするシリーズ式なら、自動運転も不可能ではない。しかし、エンジン走行も状況に応じて行うパラレル方式のHEVは、自動運転に適合しきれないのではないか。

日産ノートのフロントスタイリング

エンジン車ばかりだった市場に一石を投じたのはHEVであり、それがまず全車HEV化するのが先だ。それを追い越す形でEV時代を迎えれば、より自然に市場導入がはかられるかもしれない。

マルチパスウェイではなく、HEVからEVへ、あるいはEVとEVを基にしたレンジエクステンダーという道筋を徹底することが、気候変動と大気汚染という環境問題を解決しながら、自動運転を含めた未来の交通社会を創る後ろ盾になる。

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