国産ハイブリッドSUVすら競合に含める価格帯設定
それでは、シーライオン6が日本国内で競合関係となり得るPHEVのSUVと比較して、どれほどのコスト競争力を実現しているのかを比較していきましょう。
まずは三菱アウトランダーPHEVとの比較です。エントリーのMグレードと比較すると、バッテリー容量はアウトランダーのほうがやや大きいものの、電費で有利となるシーライオン6とEV航続距離は同等です。さらに、車両サイズとしてはアウトランダーのほうが小さいにもかかわらず、シーライオン6のほうがむしろ燃費性能はリード。アウトランダーが17.6km/Lなのに対して、シーライオン6は22.4km/Lと大きくリードしています。
ただし、アウトランダーは全グレードAWDグレードであり、燃費性能だけを正確に比較する場合は、まだ燃費性能が公開されていないシーライオン6のAWDグレードを比較する必要があります。とはいえ、動力性能についてはFWDグレードでも大きな差はなく、むしろAWDは動力性能が大幅に向上します。
そして肝心の値段設定について、アウトランダーは526万円からのスタートであるものの、CEV補助金58万円を考慮に入れると、実質468万円から購入可能です。シーライオン6は398万円からであるものの、補助金額はまだ決定しておらず、BEVでも他社より減額評価されていることから、概ね20万円程度適用できればラッキーと考えておいたほうがいいでしょう。
そして、アウトランダーのMグレードは装備内容が簡素であることから、少なくとも中間グレードで591万円スタートのGグレードと比較するべきである点を踏まえると、補助金58万円を考慮に入れても、シーライオン6のほうが100万円以上も安価に購入できることになります。
さらに比較したいのがトヨタRAV4 PHEVです。RAV4にはシーライオン6と同等の18kWh級バッテリーが搭載されており、EV航続距離は同等です。燃費性能もほとんど同等レベルですが、アウトランダーと同様に、RAV4ではAWDグレードを標準設定しながら2.5リッターエンジンを搭載することで動力性能を向上。0-100km/h加速は6.0秒と、シーライオン6 AWDと同等レベルの動力性能であり、よってRAV4のほうが燃費・電費性能は高いといえます。
他方で、RAV4は566万円から発売されており、政府からの補助金60万円を適用できても実質506万円と、やはりシーライオン6のほうが100万円以上も安価に購入可能です。
しかしながら、トヨタは12月中にRAV4のフルモデルチェンジを実施予定です。新型RAV4のPHEVには、トヨタの第6世代PHEVシステムを初採用することで性能が大幅アップ。電池容量を増量することでEV航続距離は150kmへと大幅延長され、燃費性能も改善することで、少なくともシーライオン6の燃費性能を大きく上まわることは確実です。
さらに、RAV4の弱点だった急速充電にも対応させてくることで、V2H機能を含めたEVとしての使い勝手の幅も広がることから、新型RAV4はシーライオン6よりも優れたPHEVといえるでしょう。一方で、今回のシーライオン6に搭載されているのは第4世代のDMシステムであり、すでに2024年から導入されている第5世代になると、さらに燃費性能や急速充電性能が向上することから、BYDのPHEVテクノロジーとトヨタのPHEVテクノロジーの差としては評価できません。
ちなみに、BYDのミッドサイズSUV「Song Pro」は中国WLTCモードで4.55L/100kmと、トヨタ新型RAV4ハイブリッドの4.59L/100kmという燃費を凌駕しています。BYDは車両から収集した走行データをビッグデータ化して解析、最適なPHEV制御をOTA経由で既存車両にアップデートすることで、継続的な燃費改善を実現しているのです。
このように、日本国内で発売がスタートしたPHEVのシーライオン6は、ゆとりのバッテリー容量を確保しながら装備内容を充実させて、日本メーカーのPHEVよりも安価に発売することでコスト競争力を高めてきています。日本メーカーにとって驚異となるのは、PHEVよりもハイブリッド車なのではないかとも感じます。
日産エクストレイル e-POWERやホンダZR-Vハイブリッドも、装備内容を含めると400万円級のグレードとなり、シーライオン6と同等の値段設定です。日本のハイブリッド車と比較したPHEVならではの経済優位性をアピールしてどれほど販売台数を伸ばせるのかに注目です。

























































