EVがいままでとはまったく異なるカーライフを実現してくれる
そんなEV サマーキャンプに、EVタイムスの取材班が到着したのは、第2日目の朝。ちなみにイベントスケジュールを記しておくと、第1日目は主に前夜祭。18時の受付開始時刻に合わせて参加者(車)が集まり、会場内にて愛車の横にテントを張り、あるいは車中泊で思い思いの時間を過ごしたそう。
そして2日目、早朝から真夏の日差しが照りつけるなか、本格的に「EV Summer Camp」がスタート。会場には、IONIQ 5やKONAのヒョンデ勢を筆頭に、テスラ・モデル3やモデルX、S、BMW i3、BYDドルフィン、日産リーフといったEVが並べられた。
そして、EVオーナーのカラフルなテントと向かい合うように出展されたのが、ヒョンデ・モビリティ・ジャパンがプロデュースしたEV屋台である。V2L用コネクターで最大1600Wの電力を取り出すことができるIONIQ 5を活用し、「ヒョンデEVラーメン」や「EVかき氷」といった軽食をふるまった。発電機による騒音や排気ガスの心配をすることなく、オートキャンプ場で手軽に調理が楽しめるのは、電力をまるっともち込めるEVならではの魅力といえるだろう。
やがてお昼を過ぎると、隣接する駐車場を拠点とした「IONIQ 5N」の体験試乗会が始まった。IONIQ 5の高性能版であるIONIQ 5Nは、システム最大出力650馬力というスーパースポーツ。当然ながら公道ではその性能のごくわずかしか味わえないだろうけれど、EVオーナーにとって現在もっとも関心の強い車種であることを示すように、試乗枠は募集開始早々に埋まってしまったという。
実際にIONIQ 5Nのステアリングを握ったEVオーナーに話を聞いてみると、ベース車両のIONIC 5と比べてN専用仕立てとされた脚まわりは路面をがっちりと捉え続け、驚くほど高い走行安定性を感じさせたそう。公道試乗とあって、電気によるブースト機能である「N Grin Boost(NGB)」を堪能することはできなかったが、それでも右足に少し力を込めれば、後続のクルマはあっという間にルームミラーから姿が消えてしまうほどの加速力を誇る。
また、車内に響くエンジン(風)サウンドといったギミックについても、おおむねIONIQ 5Nは好印象で迎えられたようだった。
今回は「EVサマーキャンプ2024」に参加していたEVオーナーに、実際にEVを購入してみての感想も聞いた。どうやら、内燃機関車では決して味わうことができなかったカーライフを、心の底から楽しんでいるようだった。
CAR:TESLAモデル3
OWNER:ぶんさん
2022年9月に納車されたあと、通勤や週末のドライブにと毎月およそ2500kmを走っているという、ぶんさん。もとから備わっている走行性能の高さはもちろんのこと、ソフトウェアのアップデートにより洗練されていく様子が、従来の自動車とは異なる魅力だという。
テスラは一充電あたりの航続距離が長く充電スポットも拡充しているため、時間の使いかたを工夫すれば自宅が集合住宅であっても不便は感じないそう。
CAR:BMW i3
OWNER:石井浩一さん
趣味としてアウトドアを楽しんでいる石井さんは、クルマのなかで冷蔵庫を使いたいという思いも引き金となってEVを購入。日産リーフを4台も乗り継ぎつつ、並行してBMW i3も所有している。
現在のi3は2019年に購入した42kWh仕様。EVでありながら、BMWらしい駆け抜ける喜び、運転する楽しさがある点が魅力とのこと。今回は友人の米山さん、桑原さんと参加していた。
CAR:ヒョンデ KONA
OWNER:TSUBASAさん
人生初の愛車に、ヒョンデKONAを選んだというTSUBASAさん。きっかけは旅行で韓国を訪れた際、街なかを走るKONAのスタイリングに惹かれたという。
帰国後に調べたところ、このKONAが日本にも導入されると知ってすぐにオーダー。旅行先で見かけた車両と同じボディカラーが設定されていたことも決め手となったそう。現在は週末を中心に、ドライブや買い物といった比較的近郊で使用しているが、今後はロングドライブも楽しんでみたいそう。
EVというと、航続距離や充電インフラなどから都市部での使用に特化した車両であるようなイメージを抱きがちだけれど、大量のエネルギー源である電気を抱いたまま移動できる点は、アウトドアにおいては大きな武器となる。なんといっても環境への影響を気にすることなく、冷暖房機器や調理器具など電化製品を使うことができるのだ。夜はエアコンの利いた車内で車中泊とするならば、複雑なテントを張ったりする必要もない。
今後も自動車メーカー各社から発売が予想されるEVだが、さらなる普及のカギとなるのは航続距離やアフターサービスといった点よりも、「EVサマーキャンプ」のようにアウトドア・カーライフを気軽に楽しめる、EVならではの資質にあるのかもしれない。