#中国
TEXT:高橋 優
中国でテスラ・モデルY包囲網が形成! この先日本上陸予定のZeekrの新型モデル7Xもまた脅威の中身だった

ZeekrからミッドサイズSUVがデビュー 日本参入が判明した中国Zeekrが、新型電動SUVであるZeekr 7Xの正式発売をスタート。テスラ・モデルYよりも40万円も安価な値段設定を実現しました。日本導入の可能性についても解説します。 まず、中国のプレミアムEV専門ブランドZeekrは、すでにZeekr 001、Zeekr 009、Zeekr X、001のハイパフォーマンスグレードであるZeekr 001 FR、Zeekr 007を矢継ぎ早に投入しながら、001と009のモデルチェンジも実施するなど、とにかく尋常ではないスピード感で規模を拡大中です。実際に販売台数という点でも、月間で2万台以上の販売規模を実現しており、これは中国国内のレクサスの販売規模を上まわっているレベルです。 そして、Zeekrは欧州や東南アジア、オセアニア、南米にも進出しています。さらに、Zeekrの副総裁が日本経済新聞に対するインタビュー内で、2025年中に日本市場に進出する方針を表明しています。 中国のプレミアムEVブランドが満を持して日本進出を表明! 「Zeekr」とはいかなるブランドでどんな車種をもつのか? そして、そのような背景において、Zeekrが新たに発表してきたのが、最新EVであるZeekr 7Xの存在です。Zeekr 7XはZeekr 007のSUVバージョンとして、全長4825mm、全幅1930mm、ホイールベースが2925mmというミッドサイズSUVセグメントに該当します。このサイズ感はテスラ・モデルYやポルシェ・マカンなどのサイズ感と同様であり、日本市場においても非常に扱いやすいサイズ感です。 まず初めにEV性能について、全部で3種類のグレードを展開しながら、Zeekr独自内製のGoldenバッテリーの第二世代、およびCATL製のQilinバッテリーを採用し、最長航続距離は780kmを実現。さらにQilinバッテリーの場合、15分間の充電時間で航続距離546km分を回復可能という充電性能を実現しています。 そのうえ、第二世代のGoldenバッテリーの場合、SOC80%までの充電時間は10.5分と世界最速を実現し、5分間の充電で241km分の航続距離を回復可能です。Zeekrはこの充電スピードを「充電5分で高速道路を2時間走行できる」というキャッチフレーズでアピールしています。 さらに、収納スペースもトランク部分だけで616リットルを確保しながら、7Xはリヤシートを前後に電動調整することが可能であり、前側にずらせば765リットルにまで拡大。ボンネット下のトランクも最大62リットルを確保しています。

TAG: #SUV #Zeekr #中国
TEXT:高橋 優
ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?

ホンダ「Lingxi L」の使命とは? ホンダが新型EVシリーズとしてLingxiシリーズを中国で立ち上げ、EVセダンのLingxi Lの正式発売をスタートしました。現在、中国市場におけるホンダの厳しい販売動向とともに、そのLingxi LのEV性能から見えるホンダのEVシフトの現状を考察します。 まず初めに、現時点におけるホンダの中国市場における販売動向を改めて確認しましょう。 このグラフは、中国市場における大衆ブランドの月間販売台数を示したものです。現在、大衆ブランドで大きなシェアを有しているのがトヨタ・ホンダ・日産という日本メーカー勢、およびフォルクスワーゲン、そして中国BYDです。黄色で示されているBYDが、この数年間で急速に販売台数を拡大しており、直近の8月単体の販売台数は36.4万台を実現し、前年同月比較で58.3%もの急成長を実現しています。 その一方で、販売台数を大きく落としているのが、残りの大衆ブランドです。とくに日本勢として、トヨタは13.5万台と前年同月比で13.2%ものマイナス成長。日産も4.2万台と前年同月比で24.7%ものマイナス成長。そして今回のホンダは、8月に5.7万台の販売台数を実現したものの、前年同月比で44.2%ものマイナス成長を記録しています。ほんの1年前と比較して半分近い販売台数の落ち込みを記録していると考えると、現在ホンダは危機的な状況にあるといえます。 そして、このホンダはすでにEV専用シリーズであるeNシリーズを立ち上げており、2022年にe:NS1とe:NP1というコンパクトSUVの発売をスタート。さらに2024年4月からは、eNシリーズ第二弾であるミッドサイズSUVの、e:NS2、およびe:NP2の発売もスタートさせました。 その上、eNシリーズとは別に、「Ye(イエ)」シリーズというEV専用シリーズも立ち上げて、2024年度中にも、S7というミッドサイズSUVの発売をスタートする予定です。しかもS7の兄弟車であるP7、さらにはGTと名付けられた、クーペタイプのEVを2025年中に投入する計画です。 したがって、2027年までに10車種ものEVを投入する方針を発表しており、2035年までの完全バッテリーEV100%に向けて、ラインアップを急ピッチで拡充しようとしています。 そのホンダの新型EVの販売動向を見てみましょう。日本メーカーで唯一販売台数を稼ぐことができているのは、トヨタの大衆セダンのbZ3のみであり、ホンダのeNシリーズは、第一弾も第二弾も現状、まったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。 そして、そのような背景においてホンダが中国市場に追加で投入してきた新型EVというのが、Lingxi Lというミッドサイズセダンです。じつはホンダは、eNシリーズとイエシリーズと並行して、さらに追加のEV専門シリーズとしてLingxiシリーズを立ち上げていたという背景が存在します。そしてようやく第一弾であるLingxi Lの正式発売をスタートさせてきた格好です。 このLingxiシリーズは、とくに若者世代をターゲットに据えて、最新テクノロジーを盛り込むことを意識したシリーズという立ち位置です。まず、エクステリアデザインが極めて斬新です。一部では過剰であると指摘されているデザイン言語が、中国の若者にどれほど受け入れられるのかが気になるところでしょう。 さらに、インテリアデザインは、インストルメントクラスターとともに、12.3インチのセンターディスプレイと、助手席用のディスプレイ。さらに7インチのデジタルサイドミラーのディスプレイという配置は、日本国内で発売されていたHonda eのデザインと酷似しています。 確かに現在、中国市場における主流のデザイン言語というのは、大型のタッチスクリーンを複数搭載するような場合が多いものの、やはりそれ以上に重要なのは、そのディスプレイがどれほどレスポンシブに動作するのか、そしてディスプレイを通じて何ができるのかという点です。したがって、中国の若者がこのインテリアデザインに対してどれだけ受け入れられ、その操作性の高さをアピールすることができるのかが問われることになるでしょう。 他方で、個人的に注目しているのがEV性能です。とくに直近において、この大衆EVセダンで爆発的人気を獲得しているのが、XpengのMONA M03です。すでに発売開始48時間の段階で3万台以上の確定注文を獲得しており、いまだにその勢いは止まらない状況です。よって現在、中国市場における大衆セダンEVの新たなベンチマークとなっているXpeng MONA M03と比較して、今回のLingxi Lがどれほどの競争力を有しているのかを比較していきましょう。

TAG: #Lingxi L #Lingxiシリーズ #中国
TEXT:高橋 優
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い

2024年6月の新エネルギー車の販売台数は85.6万台 中国市場における最直近の6月のEV販売動向の詳細が判明。中国の歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しました。 まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は85.6万台と、前年同月の66.5万台と比較しても29%もの販売増加を記録しました。そして、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は48.44%と、歴史上最高の電動化率を更新してきた格好です。2024年に突入して以降、新エネルギー車への需要が増大、そのペースがまったく衰えず、むしろ加速している様子すら見て取れます。 他方で、新エネルギー車のなかでもバッテリーEVとPHEVの販売割合という観点も注目です。 2021年6月時点での新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVのシェア率は81.22%と、バッテリーEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2024年6月単体では57.59%と、PHEVのシェア率が急速に増加している様子が見て取れます。よって、現在の中国国内で売れている新エネルギー車の販売割合は、バッテリーEVが6割、PHEVが4割というイメージとなります。 そして、バッテリーEVに絞った販売シェア率の変遷にも注目すると、6月単体のシェア率は27.9%を達成。四半期ベースでのシェア率も、Q2は27.81%と、過去四半期と比較しても圧倒的な伸びを実現しました。いずれにしても、確かにPHEVの販売シェア率が急増しているものの、同じくバッテリーEVも史上最高のシェア率を更新中であり、EVシフト減速とは無縁の世界線である様子が見て取れるでしょう。 次に、中国国内でどのような電気自動車が人気であったのかについて、車種別販売動向を確認しましょう。 初めに、6月に限った、内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30を確認しましょう。ピンクが新エネルギー車、緑が内燃機関車を示しています。トップに君臨したのがテスラ・モデルYです。その後にBYDの大衆セダンQin Plus、BYDシーガル、BYD Song Plus、そして日産シルフィと続いていきますが、トップ10のうち、なんと内燃機関車はシルフィを筆頭として、たったの3車種しかランクインすることができていません。トップ20に広げてみてもたったの6車種です。 つまり、すでに人気車種の圧倒的マジョリティが新エネルギー車で占められてしまっているということを意味します。 次にこのグラフは、新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。緑がバッテリーEV、水色がPHEVを示しています。BYDが14車種を席巻しながら、トップ20に限ると9車種、トップ10に限ると7車種と、BYDの王者の貫禄が見て取れます。 他方で、今回注目するべきは、第12位にランクインしたAito M7、および第14位にランクインしたAito M9の存在です。このAitoはファーウェイが支配権を有する自動車ブランドであり、着実にファーウェイが中国EV市場でプレゼンスを高めている様子が見て取れます。 そして、第11位、および第30位にそれぞれランクインしたBYDのQin L、Seal 06も見逃せません。5月末から正式発売がスタートしている第五世代のPHEVシステムを搭載した両車種は、瞬く間に販売台数を伸ばして、すでに中国の人気車種の一角を構成しています。

TAG: #中国 #販売台数
TEXT:高橋 優
日産が中国の工場を閉鎖! シルフィの販売台数減少がそのままダメージになる中国市場の厳しい現状

生産開始から4年足らずで閉鎖 日産が中国国内の車両生産工場のひとつを閉鎖する方針であることが判明しました。現在、日本メーカーに襲いかかる中国メーカーのプレッシャーについて、そのなかでも日産がとりわけ、なぜ中国市場で減速し始めているのかについて解説します。 これまで日産については、中国国内において160万台もの生産キャパシティを有しており、8つもの車両生産工場を稼働していました。ところが今回、上海の西側に位置するChangzhouの車両生産工場を閉鎖する方針が判明しました。このChangzhouの車両生産工場では、これまでコンパクトSUVセグメントで、欧州などでも発売されているキャシュカイの生産を行っており、年間生産能力も13万台規模と、中国市場の生産能力を支える工場のひとつだったわけです。 他方で、そのChangzhouの工場に関して重要なポイントというのが、2020年の11月に生産をスタートしてから、たったの4年弱しか経過していなかったという新工場という点です。よって、そのような新工場をこの短期間で閉鎖するということ自体が、日産の中国国内における混乱模様を示唆しているのではないかと感じます。 そして、中国市場における日産に関しては、この生産工場閉鎖の流れが、今後さらに加速していくのではないかと懸念します。 というのも、このグラフは、2019年以降の、日本勢などの主要大衆ブランド中国国内の年間販売台数の変遷を示したものです。このとおり、紫で示されている日産は、2019年シーズンで120万台近い販売台数を実現。ところが2023年シーズンでは70万台を割り込んでしまっている状況です。 また、日産が中国国内において抱えている問題点というのが大きくふたつ存在します。 第一に、日産ブランドにおける電気自動車の需要が壊滅的であるという点です。というのも、すでに日産は2022年10月からアリアの発売を中国国内でもスタートしました。 このグラフは、マーケット別のアリアの販売台数を示したものです。紫で示されている中国市場の販売台数を追ってみれば一目瞭然。ほとんどの月において、月間500台も売り捌くことができていない状況です。 中国国内では、現在アリアは20万元弱、日本円で440万円からの発売。ところがディーラーにおいて、さらに全グレード一律で5.5万元もの値引き措置を断行中であり、よって日本円で319万円から購入可能という、まさに破格の値段設定です。投げ売り同然の値段設定だったとしても、中国人には刺さっていないということを意味するわけです。 すでに日産については、中期経営戦略The Arcにおいて、日産ブランドから4車種、合弁ブランドであるVenuciaからも含めて8車種もの新エネルギー車を、2026年度までに中国国内に投入する方針を表明済みです。投げ売り状態のアリアでさえこのような販売状況であるにも関わらず、果たして、いくら新型EVを投入したところで、期待どおりの販売台数を実現できるのか。抜本的な販売戦略を実行せずに、新型EVをいくら投入したところで焼け石に水なのではないかと懸念せざるを得ないわけです。 また、日産の抱える第二の問題点というのが、中国国内における販売攻勢比率です。このグラフは、中国国内のモデル別月間販売台数の変遷を示したものです。 最直近の2024年5月単体では、今回閉鎖されたChangzhou工場で生産されていたキャッシュカイが1万台強程度を発売しているものの、黄色で示されたコンパクトセダンであるシルフィが、圧倒的な販売シェアを実現。なんと日産ブランド全体の販売台数のうち56%を占めているレベルです。

TAG: #中国 #常州工場
TEXT:TET 編集部
広島県初のショールームを備えたBYD正規ディーラー誕生! 「BYD AUTO 広島」がオープン

「ATTO 3」と「DOLPHIN」を展示 2024年6月7日(金)、BYD Auto Japanの正規ディーラーであるワールドモータースグループは「BYD AUTO 広島」をオープンする。「BYD AUTO 広島」は全国で30店舗目、広島県で初となるショールームを備えたBYD正規ディーラー店舗だ。JR広島駅北側、新幹線口前の高層複合ビル「GRANODE広島」の1Fに位置しており、JR広島駅まで徒歩4分、広島空港リムジンバス乗り場まで徒歩3分という好立地。 「BYD AUTO 広島」のショールームには、現在発売中のミドルサイズSUV「ATTO 3」と、コンパクトEV「DOLPHIN」を展示する。 BYDに関する幅広い専門知識を持つセールススタッフが常時待機していて、商談や試乗の受付などを行う。 クルマの整備は「BYD Academy」というBYDのEVに関する高度なトレーニングを受けたプロフェッショナルなサービススタッフが担当。 「BYD AUTO 広島」は店舗全体で、顧客の快適なEVライフをサポートしていく。 「BYD AUTO 広島」概要 所在地:〒732-0057 広島県広島市東区二葉の里3丁目5番地7号 1F 営業時間:10:00~18:30 定休日:毎週火曜日、毎月第2水曜日 電話番号:082-263-4666 メールアドレス:byd-hiroshima@wm-group.jp

TAG: #BYD #ディーラー #中国
TEXT:高橋 優
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった

2024年第一四半期決算報告から見えるBYDの戦略 中国BYDの2024年第一四半期の決算が発表され、前四半期比で、EV販売台数だけではなく営業利益率についても悪化が確認されました。その一方で、テスラの決算と比較することで浮かび上がってくるBYDの経営戦略について解説をします。 現在BYDは、バッテリーEVとPHEVのみをラインアップするというEV専業メーカーであり、中国国内だけではなく、日本市場をはじめとした海外展開を加速している状況です。他方で、BYDに対する逆風というのが、2023年冒頭にテスラが始めた、中国国内におけるEVの値下げ戦争です。しかも、その2023年初頭までは、バッテリーの原材料であるリチウムのコストが暴騰していたことによって、まさに値下げ圧力と原材料コストの高騰というダブルパンチを受けてしまっていたわけです。 そして、当初BYDに関しては、2023年シーズンにおける販売台数360万台を目標としていたものの、結局は、2023年シーズン通しで300万台をわずかに突破するというレベルで落ち着いていました。いずれにしても、2024年シーズン以降、BYDがどれほど販売台数と収益性を両立させることができるのか。とくにEV減速と世間でいわれながら、EVで利益を出すことも難しいといわれるなかにおいて、世界最大のEVメーカーが、どれほどのパフォーマンスを実現できるのかに世界が注目しているという背景が存在しました。 このような背景において公開されたBYDの2024年第一四半期における決算内容について、まず初めに、BYDの月間販売台数の変遷についてを確認してみると、2月については販売台数を大きく落としてしまっている様子が見て取れます。これは、春節が2月に丸々被ってしまったことによって、自動車マーケット全体が大きく落ち込んでしまっていたことが要因です。 実際に、四半期別の販売台数を見てみると、とくに紫のラインで示されたテスラについては、まさかの前年同四半期比でマイナス成長に留まってしまっていたものの、BYDについては着実に成長。とくにバッテリーEVに絞った販売台数については着実に成長していることが見て取れます。 一方、その売り上げに関しては1249.4億元、日本円でおよそ2.7兆円と、前年同四半期比でたったの4%程度しか成長することができていません。この販売台数の増加に対する売り上げの伸び悩みについては、間違いなく値下げ戦略が影響しています。 というのも、BYDは春節が明けた2月中旬から、2024年モデルとしてHonor Editionを全モデルに対して適用。内外装のアップデートを行いながら、全モデルの大幅値下げも断行しました。したがって、その全モデルに対する大幅値下げの影響もあって、販売台数が伸びているにもかかわらず、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。 他方で、BYDの底力が見て取れるのが、その収益性という点です。とくに注目するべきは粗利益と売り上げに占める粗利益率であり、直近の2024年Q1については、前年同四半期と比較しても粗利益を増加させることに成功。その粗利益率に関しても21.88%と、過去最速水準を実現しています。 この数字の何がすごいのかといえば、大幅値下げによって台あたりの売り上げは低下してしまっているものの、その売り上げ低下以上に、台あたりの原価低減に成功しているという点です。これは間違いなく、バッテリーの原材料価格の低下とともに、そのバッテリー生産における垂直統合がさらに進んでいるということ、およびDenza、Fangchengbao、そしてYangwangといった高級車ブランドの販売比率が増加していることが要因として考えられます。 いずれにしても、BYDはEV値下げ戦争がさらに熾烈化する中国国内主体の販売構成であるにもかかわらず、むしろ収益性を改善してきているという驚愕するべきデータが明らかになったといえるでしょう。 その一方で、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益という観点では、かなり苦戦しているのではないかという指摘も存在します。 実際に、この営業利益と営業利益率を示したグラフでも明らかな通り、Q1の営業利益率は4.64%と、前年同四半期比でわずかに改善しているものの、史上最高水準に達していた粗利益率と比較すると、確かに伸び悩んでいるように見えます。 この営業利益の伸び悩みに関しては、大きくふたつの理由が存在します。 まずひとつ目が販売管理費が大幅に増加しているという点です。というのも、BYDは現在、Denza、Fangchengbao、そしてYangwangブランドという新規プレミアムブランドについて、その販売拠点やアフターサービス拠点を大幅に拡充している状況です。その上、BYDは2023年シーズン以降、日本をはじめとして海外展開を加速中であり、その分だけ販売管理費がさらに増大。いずれにしても、その販売ブランドの多角化、および海外展開の加速という両方を同時に推し進めていることで、販売管理費が大きく圧迫している状況が推測できます。 そして、それ以上に重要であるのが、ふたつ目の研究開発費という観点です。というのも、BYDは2022年以降、売り上げに占める研究開発費の比率を急拡大している状況です。 このグラフのとおり、2023年Q1については、その研究開発比率は5.19%とすでに過去最高水準の比率を実現していたものの、その後の研究開発費に対する投資額の伸びは凄まじく、2023年Q4では140億元以上、日本円でおよそ3000億円以上という、歴史上最高の研究開発費にすら到達。その研究開発比率についても驚異の8%オーバーです。 そして、直近の2024年Q1については、その研究開発比率はこれまた驚きの8.49%に到達し、歴史上最高の比率を更新。前年同四半期比でもなんと70%以上という研究開発費用の増加であり、いずれにしても、この研究開発に対する投資額の爆増も、営業利益を大きく圧迫している要因であり、もはや第二創業期とも呼ぶべき、EVスタートアップのような投資比率である様子も見て取れます。 このようにして、BYDに関しては、競合のテスラが販売台数を落とすなかにおいて、販売台数をむしろ増加させることに成功したものの、大幅値下げを行ったHonor Editionの導入によって、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。

TAG: #BYD #テスラ #中国
TEXT:高橋 優
ファーウェイ&シャオミのEVは価格も性能も戦略も強烈!! スマホ系電気自動車メーカーの勢いがヤバい!

シャオミEVが中国メーカー勢の中心に躍り出た 中国で開催された北京モーターショーにおいて、さまざまな新型EV、および最新EVテクノロジーが発表されました。とくに中国メーカー勢のなかでも、シャオミがその人気の中心となりながら、さらにファーウェイについても、新たなEVブランドであるSTELATOの立ち上げを発表し、ハイエンドセダンS9を発表するなど、中国スマホメーカーという第三勢力の最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、中国国内で4月末から5月上旬にかけて開催された北京モーターショーです。この中国最大のオートショーについては、上海と北京において隔年で開催されており、昨年の上海モーターショーについては「上海ショック」と題して、多くの日本メディアが、その中国製EVの完成度の高さを報じていました。 そして、今回とくに取り上げていきたいのが、2024年の中国EV市場で台風の目となっているスマホメーカー勢という第三勢力の存在です。まず初めに取り上げていきたいのが、シャオミの存在です。 すでにシャオミについては、4月初頭から初の量産EVであるSU7の納車をスタートしており、順調に生産体制を拡張中です。そして、正式発売がスタートしてから28日が経過した段階で、詳細な注文動向であったり、初のOTAアップデートのタイムライン内容や2024年シーズンにおける納車台数目標、および自動運転のアップデートに至るまでの最新動向が公表されました。 まず初めに、4月24日時点における5000元(約10.8万円)の予約金の返金が不可となる、いわゆるロックインオーダー数が7万5723台に到達している状況です。とくに直近の4日間で5000台以上のロックインオーダーが追加されており、初期注文だけではなく、継続的に確定注文台数が増加していることが示唆されています。 そして、シャオミに対する大きな懸念点でもあったその納車体制について、正式発売をスタートしてから28日間の間に5781台を納車することに成功。とくにEVの量産に関しては、テスラがモデル3において生産地獄に直面し、倒産寸前にまで追い込まれていたという背景が存在したことで、大量の需要を獲得したとしても、それを満足に捌けないのではないかといわれていました。しかし、蓋を開けてみると、納車をスタートしてからものの20日間程度の間に6000台近い車両を納車することに成功したわけです。 その上、当初予定していた生産スピードを引き上げて、6月度においては1万台の納車台数を達成すると主張。2024年シーズンについては、合計10万台の納車台数を実現するという目標も設定してきました。 さらに、すでに納車されたユーザーの内訳について、女性の割合がすでに28%を実現しており、今後その女性率は40%から50%に到達するとも予測されています。その女性率の高さについて理由を調べてみると、エクステリアデザインのよさ、日焼け対策、そして収納の多さという理由が占められています。まさにSU7の強みを、女性ユーザーが高く評価していることが見て取れるわけです。 さらに、ドイツ御三家BBAのオーナーが29%を占めているという点も極めて注目に値します。つまり、ドイツブランドからSU7に流れている様子が見てとれ、これはアメリカでモデル3の爆発的人気とともに、3シリーズやA4、Cクラスの販売台数が低下した流れとまったく同様に感じます。 さらに、アップルユーザーが51.9%と過半数を占めており、やはりこれはCarPlayにも対応しているHyper OSという独自OSを採用しているシャオミの懐の深さが功を奏しているわけです。これによって、SU7を購入したアップルユーザーが、次のスマホの買い替えの際に、シャオミ製のスマホに乗り換えたり、シャオミ製家電を購入する動機づけにもなることから、シャオミのビジネス全体にも好影響を与えるポテンシャルを秘めているわけです。 そして、販売ネットワークについても、2024年末までに46都市、219店舗をカバーする予定です。また、サービスネットワークに関しても、2024年末までに82都市、139店舗をカバー予定。より多くのユーザーにSU7を触れてもらえるような販売ネットワークの拡充とともに、SU7を購入したあとのアフターサービスに関しても、急ピッチで拡充しようとしています。 さらにOTAアップデートについて、ついに初めてのOTAアップデートを5月初旬に配布予定であり、ここではワイヤレスカープレイであったり、エンドトゥーエンドのバレーパーキング、およびそれ以外のスマートな運転体験を配布予定です。 それに続いて、2回目のOTAアップデートについても5月末に実施予定であり、その際にはいよいよ高速道路だけではなく、市街地における自動運転「市街地NOA」をリリース予定です。まずは主要10都市において解放、その後2024年末にかけて、順次、中国全土でのリリースを予定しています。 その上、SU7については、浙江省のトラックレースにおいて1分42秒163という好タイムを記録しています。これはポルシェ・タイカンターボS、およびテスラ・モデルSプラッドを上まわるタイムです。これより上となると、アウディRS e-tron GT、ロータスEletre R+、Zeekr 001 FR、そしてトップのロータスEmeya R+くらいしか存在しないという、EVのなかでもトップクラスのタイムを記録しています。 さらにその上、このラップタイムはあくまでもピレリP ZERO 5という、SU7 Maxに装着される純正タイヤであり、さらに高性能なレーシングタイヤであるミシュランパイロットスポーツCUP2 Rを装着すると、そのタイムは1分38秒043にまで短縮。何といっても、SU7 Maxは29.99万元と明らかに安いわけであり、パフォーマンス性能に対するコスト競争力が抜群に高いことが見て取れます。 そして最後に、この北京オートショーにおける発表会で、シャオミオートへの参画を改めて募集したところ、なんと48時間以内に5000件以上ものレジュメが送られてきているそうです。 いずれにしてもシャオミについては、今後15年以上をかけて世界の自動車メーカートップ5の一角を構成するという野心的な目標を掲げており、採用を強化して、SU7以降のEV開発に繋げていこうとしているわけです。

TAG: #シャオミ #ファーウェイ #中国 #北京モーターショー
TEXT:高橋 優
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身

BYDの支配力が極大化している中国市場 中国市場における最直近の3月度における電気自動車の販売動向が判明し、歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しながら、BYDとテスラの支配が続いている様子も判明。そして、BYDの在庫切れ、ファーウェイとシャオミの台頭というキーワードから、4月以降の展望について解説します。 中国市場に関しては、2月中は春節が丸々かぶってしまっていたために、自動車市場全体が停滞していました。その煽りを受けてとくに値下げ競争や新型車攻勢の強いEVに対しては様子見ムードが広がってしまい、EVの販売比率が低下してしまっていたという背景が存在します。そして、春節が明けてから各社の販売体制が本格化したことを受けて、2024年初めてといってもいいい、本格的な1カ月において、どれほどのEV販売台数を実現しているのかに大きな注目が集まっていたわけです。 まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数に関しては70.9万台と、前年同月に記録していた54.6万台という販売台数と比較しても、なんと30%もの販売台数の増加を記録しました。 そして、その新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は、黄色のラインで示されているとおり42.03%と、歴史上最高の電動化率を更新。さらに、2021年以降の3月単体での電動化率は、それぞれ10.6%、28.1%、34.3%、そして今年である2024年の42%と、着実に成長している様子が見て取れるわけです。 とくに2024年シーズンについては、前年同月比で電動化率が7.7%も上昇。2023年シーズンは前年同月比で6.2%の上昇であったことから、むしろ電動化率の上昇度合いが加速しているレベルです。 いずれにしても、春節が明けてからは一気に新エネルギー車への需要が増大している様子が見て取れます。 一方で注目するべきは、その新エネルギー車のなかでも、ピンクで示されたバッテリーEVと、水色で示されたPHEVの販売割合です。 黄色のラインで示されているのが、新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVの販売比率です。このとおり数年前というのは9割近い割合がバッテリーEVでした。つまり、新エネルギー車=バッテリーEVであったものの、最直近である2024年3月単体では60.37%と、そのシェア率が大きく減少しています。 現在は、新エネルギー車のうち6割がバッテリーEVであり、残りの4割がPHEVという、水色のPHEVの販売シェアが急速に増加している様子が見て取れます。 実際に、バッテリーEVに絞った月間販売台数の変遷を見てみると、このとおり最直近である2024年3月単体では25.37%を達成。2021年から、9%、22.7%、24.3%、そして今回の25.4%という流れをみると、そのバッテリーEVシェア率の伸びが鈍化してしまっている様子が見て取れます。 販売状況が安定化する3月単体を見ても、やはり中国市場に関しては、新エネルギー車全体のボリュームは着実に上昇し、むしろそのペースが増加傾向にすらあるものの、バッテリーEVという観点では微増に留まっており、この1年ほどはシェア率25%以上の壁を大きく突破することができていないわけです。 つまり中国市場において、なぜPHEVの販売シェア率が急上昇を見せているのかを考察する必要があるわけです。 また、この新エネルギー車の販売シェア率の好調ぶりとともに懸念するべきは、内燃機関車の販売動向です。じつは内燃機関車の販売台数については、前年同月比で6.4%もの落ち込みを記録。新エネルギー車が30%もの増加を記録していることを踏まえると、明確に販売シェアを奪われている様子を確認可能です。 そして、それ以上に気になるのは、週間保険登録台数の数値との比較という観点です。このグラフは2024年シーズンに突入してからの、新エネルギー車の販売比率を週間ベースで示したものです。この通り、とくに3月に突入している第9週以降、歴史上最高の48.38%を最高点として、40%中盤というシェア率をキープしています。 その第9週から第13週通しでの新エネルギー車の販売比率は45.5%と、すでに新車全体の半数近くが新エネルギー車に置き換わってしまっている状況です。 また、3月の月間販売比率を見てみると、そのシェア率は42%であったことから、週間保険登録台数の数値の方が、新エネルギー車の販売比率が高いことが見て取れます。これは何を意味するのかというと、内燃機関車の保険登録台数が、小売台数よりもかなり下まわっていることを示しています。 要するに、とりあえず3月の販売台数を最大化するために出荷してはいるものの、在庫車両として内燃機関車がより多くディーラーなどに溜まってしまっている可能性があるということです。それを総合すると、じつは42%という数値以上に、新エネルギー車のほうに勢いがある、もしくは内燃機関車の売れ行きが想像以上に悪いことを示唆している可能性があるわけです。 それでは、この中国市場においてどのようなEVが人気となっているのかを確認しましょう。まず3月単体のNEV販売でトップに君臨したのが、BYDの大衆セダンQin Plusです。春節が明けた2月中旬に、2024年モデルであるHonor Editionを発売し、このQin Plusの兄弟車であるDestroyer 05とともに、爆発的な販売台数を達成中です。 在庫車は完売で納期が伸びてしまっている状況ですが、すでにBYDは問題解決へと乗り出しており、4月以降の生産能力をアップすることで、さらに販売台数が伸びる見込みです。 また、テスラモデルYが第2位にランクインし、世界でもっとも人気の自動車としての存在感を示すなか、第3位以降については、Song Plus、Seagull、Song Pro、Yuan Plus、Han、そしてDestroyer 05と、すべてBYDのEVが支配している状況です。トップ10のうち、BYDのEVが7車種という、これまでにも増してBYDの支配力が極大化している状況なわけです。 実際にこのグラフは、中国国内における主要な大衆車ブランドの四半期別の販売台数の変遷を比較したものです。黄色で示されたBYDが、2022年第四四半期以降、一貫してトップの座に位置。直近の2024年第一四半期に関しても例外ではなく、前年同四半期と比較しても6万台以上販売台数を伸ばすことにも成功。2位につけるフォルクスワーゲンとの差をさらに広げている状況です。 他方で、この主要メーカーのなかで気になるのがトヨタとホンダの存在です。まず水色で示されているホンダについては、四半期で23.4万台と販売規模が明確に縮小し、トヨタにも大きな差をつけられてしまっている状況です。 そしてそれ以上に、緑で示されたトヨタについては、この主要メーカーのなかで唯一、前四半期と比較して販売台数を落としている状況です。2023年シーズンは、既存メーカーのなかで唯一といってもいいほど販売規模をなんとか維持することができていたことから、いよいよトヨタをもってしても、販売規模を維持することが難しくなり始めているのではないかと推測できるでしょう。 このグラフは、1月から3月までの、販売の伸びが鈍化しているバッテリーEVの累計販売台数を示したものです。3カ月間で10万台というモデルYの盤石ぶりが見て取れるものの、その後については、Seagull、Yuan Plus、Hong Guang Mini EVを挟んで、ドルフィン、Qin Plus EVと、やはりBYDが圧倒的な存在感を示している状況です。 また、個人的に注目したのは、中国ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekr の存在です。第18位にシューティングブレークのZeekr 001、第20位にはミッドサイズセダンのZeekr 007がランクイン。どちらも極めて競争力が高いことから、競争の激しい中国市場においても、しっかりと販売台数を伸ばしている様子が見て取れます。

TAG: #中国 #新車販売
TEXT:TET 編集部
マツダが中国向けに開発した流麗な新型電動車! 「MAZDA EZ-6」と「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開

「MAZDA EZ-6」は2024年中に発売予定 北京モーターショー2024において、マツダが出資する現地法人「長安マツダ汽車有限公司」が、新型電動車「MAZDA EZ-6」、新型電動車のコンセプトモデル「MAZDA 創 ARATA」を初公開した。 「MAZDA EZ-6」は、マツダと合弁事業のパートナーである重慶長安汽車股份有限公司の協力のもと、長安マツダが開発・製造を行う新型電動車の第1弾。電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の2種類をラインアップし、2024年中に中国で発売予定だ。 デザインテーマ「Authentic Modern」にもとづき、魂動デザイン特有の生命感やエレガンスを表現しながら、電動化時代に相応しいスタイリングに注力。シンプルで伸びやかなクーペフォルムを通じて、新しさもありながらクルマが本来持つ魅力を表現。 ドライバーの意図に対してクルマがリニアに反応するようブレーキやステアリングをチューニングし、マツダらしい”人馬一体”を感じさせるダイナミック性能を実現したという。 50:50の前後重量配分(BEV)、フロントはストラット式、リヤはマルチリンク式のサスペンション、高速走行時の安定性を向上させる電動リヤスポイラーを採用。 運転支援および事故被害の低減を図るインテリジェントドライブ機能、車外からでも音声操作が可能なインテリジェントパーキング機能、音声、タッチ、ジェスチャーと、さまざまな方法での操作が可能なスマートキャビンなど、安全・利便性を高める機能も充実している。 BEVモデルは約600km、PHEVモデルは1回の給油で1000km以上の航続距離を想定。

TAG: #中国 #北京モーターショー
TEXT:高橋 優
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較

EVの常識を変えかねないLi AutoのMEGA 中国のLi Autoが初のバッテリーEVとなるミニバンのMEGAを正式発売しました。最大充電出力520kW、充電時間12分という地球上最速級の充電スピードを実現しながら、ミニバンの究極の利便性を追求することによって、中国市場に新たなEVブームを引き起こす可能性を秘めた、2024年にもっとも注目に値する新型EVの最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、2014年に立ち上がった中国のEVスタートアップであるLi Autoです。すでに4種種ものEVを発売することによって、2023年12月単体における中国国内の販売台数は5万台オーバーを実現しました。 そして、2024年シーズンについては、年間で80万台という販売台数目標を掲げてきており、この販売台数は、日本のマツダやスバルなどに近づく規模感であり、まさに現在、中国EVスタートアップとしてはもっとも成長著しい自動車メーカーとなります。 他方で、このLi Autoについてはこれまで、レンジエクステンダーEVのみをラインアップ。あくまでも、Li Autoの販売の中心であるファミリーの富裕層に対しては、現状のバッテリーEVの性能では、航続距離や充電時間という観点で、まだ満足させることができないとして、バッテリーEVの販売をあえて遅らせていたという背景が存在します。 そして、そのLi Autoがついに満を持して正式発売をスタートさせてきたのが、初のバッテリーEVであるMEGAです。 MEGAは、全長5350mm、全幅1965mm、全高1850mm、ホイールベースが3300mmという巨大なミニバンです。 これまで中国市場においては、ミニバンはそこまで大きなセグメントではなかったものの、Zeekr 009やDenza D9など、ミニバンEVがスマッシュヒットを記録。現在、電気自動車によって、ミニバンセグメントが盛り上がりを見せ始めている状況です。 そしてLi Autoのメインターゲット層である裕福なファミリー層に対して、このMEGAであれば、バッテリーEVならではの静粛性や振動のなさによる快適な移動空間という、新たなライフスタイルを提案することができるわけであり、初のバッテリーEVについては、高級ミニバンセグメントで勝負を挑んできた格好です。 それでは、今回正式発売がスタートしたMEGAについて、とくに気になるEV性能を、競合のバッテリーEVのミニバンである、Xpeng X9、Denza D9、Zeekr 009、さらに現在Li Autoの最大のライバルとなっているファーウェイAITOのフラグシップSUVであるM9とをそれぞれ比較していきましょう。 まず初めに、MEGAはAWDのMaxグレードのみという、すべての装備内容をコミコミにしたワングレード設定です。そして、102.7kWhの中国CATL製のQilin Batteryを搭載することによって、その満充電あたりの航続距離は710kmと、空力性能で不利となるミニバンとしては、かなり長い航続距離を確保することに成功しています。 この航続距離の長さを実現している要因というのが、空力性能のよさを示すCd値で、それは0.215とミニバンとしてはありえないレベルの空力を達成しています。それこそポルシェタイカンのCd値が0.22であることから、あのスポーツセダンであるタイカンよりも空力性能が高いとイメージしてみれば、その凄さが見て取れると思います。 さらに、もうひとつ重要な充電性能という観点についても、そのQilin Batteryによる高性能な熱マネージメントのおかげによって、最大充電出力は520kWに到達しています。よって、充電残量10%から80%まで充電するのにかかる時間も12分間と、現在地球上で発売されているほとんどすべてのEVのなかで最速の充電時間を実現しています。 充電残量が80%の段階でも、まだ300kW程度の充電出力を流すことができるという信じられないほどのフラットな充電カーブも相まって、12分間の充電時間でミニバンEVの500km分の航続距離を回復可能となったわけです。 そして、Li Autoについては、その最大520kWという充電出力を発揮可能な超急速充電ステーションの建設を急ピッチで進め、2024年末の段階でその設置数を2000ステーションと大幅拡充する方針を表明しています。

TAG: #ミニバン #中国

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
BEV用の新開発プラットフォーム「PPE」初採用! アウディQ6 e-tron/SQ6 e-tronがついに日本デビュー
交換式バッテリーの実用化は商用・フリートから! 米Ample社と三菱ふそうが提携し都内で実証実験開始
ホワイトで統一されたアクセサリーがカワイイ!  フィアット600eの特別仕様車「600e La Prima White Package」が登場
more
コラム
「セダンであり、5ドアクーペであり、SUV的でもある」という謎の表現! でも確かにカッコイイ「ボルボES90」をデザインのプロはどう見る?
そういや「スマートグリッド」ってドコいった? EVを蓄電池として利用する流れのいま
白ばっかりだったテスラだが今度はグレーだらけになるハズ! アメリカのEVテスラのボディカラーが偏るワケ
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
子どもに大人気の電動バギーに大迫力のエアロキットや色が変わるフィルムまで登場! 大阪オートメッセのEV関連出展物はどれもユニークすぎた
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択