集合住宅におけるEV充電の利便性を向上を目指す 日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2035年までに国内での乗用車新車販売を電動車100%とする方針を示している。これに伴い、電気自動車に対する充電設備の整備が不可欠となっているが、日本の人口の約4割以上はマンション・アパートに居住しているといわれ、入居するマンションに充電設備が備わっておらず、例えEVを所有したいと思っていても「自宅で充電できない」という大きな導入障壁が立ち塞がっている。 さらに、都市部のマンションに多く見られる機械式駐車場においては、技術的な制約でEV充電設備を設置することが難しく、EVの普及を阻む要因となっていた。しかし、そのような問題が今後は改善されるかもしれない。 EV充電サービスの「WeCharge」を展開しているユビ電は、機械式駐車場装備のメンテナンスや開発・製造、リニューアルを手がけているファムと業務提携契約を結び、これらの課題解決に向けて動き出すことを2025年1月30日に発表した。 ユビ電には、都市部のマンション管理組合や賃貸オーナーから、敷地内の機械式駐車場にEV充電設備を設置できるか問い合わせが増加しているのだという。しかし、機械式駐車場へのEV充電設備の設置には多くの制約があり、設置可能な駐車スペースが大幅に制限されたり、そもそも設置ができないとされるケースが多く存在するという。そのため、EVオーナーは自宅以外での充電に頼らざるを得ないのが現状で、利便性が大きく損なわれている。 そこで、機械式駐車装置の保守・改修技術を30年以上にわたり続けてきたファムと、マンションEV充電のパイオニアであるユビ電が業務提携することで、課題の多い機械式駐車場での充電環境整備に、両者の技術力と経験を活かして取り組むこととなった。 以下は、この業務提携により実現することとして、両社から発表された概要だ。 ・機械式駐車場でも「じぶん専用の充電環境」を実現 ・全駐車スペースへの充電設備検討が可能に ・平置き駐車場と機械式駐車場を「WeCharge」のサービスで共通管理 ・設置工事から保守まで、ワンストップでの対応 ・設置対象となる機械式駐車装置のメーカーや装置の制約なし ※二段式・多段式装置が対象。パレットが直接駆動力に接続されていない一部メーカーの装置・パレットは非対象。なお、実際の設置可否や設置可能パレット数などの回答は現地調査が必要となる。 ユビ電の山口代表取締役社長は、業務提携の発表にあたり「快適なEV充電をすべての人に届けたい。この提携で、集合住宅におけるEV充電の利便性を向上させ、電気の乗り物をもっと便利に、もっと自由にできる未来を創造していきます」と意欲を示す。 ファムの野村代表取締役社長も「ファムが長年の実績で積み上げた機械式駐車装置の技術やノウハウ、保守ネットワークを活かし、EVシフトの課題解決に貢献していきます」と力強いコメントを発表。 両社はこの提携を通じて、アパート・マンションにおけるEV充電環境の整備を加速し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。