ジャガーの存在意義を再定義 英国JAGUAR(以下、ジャガー)は2024年11月、次世代に向けた新しいロゴを公開した。ジャガーの新しいロゴには大きく4つの表現方法がある。 ひとつ目は、デバイスマーク。幾何学的なフォルム、大文字と小文字をシームレスに表現した。 ふたつ目は、ストライクスルー。直線的グラフィックでの表現。 3つ目は、活気あふれる豊かな色彩(Exuberant Colors)は、イエロー、レッド、ブルーを基調として表現。 そして4つ目が、メーカーズマーク。ジャガーの起源を表現する。 なぜいま、変革が必要だったのか。 ジャガーランドローバーの事業戦略を振り返れば、EVシフトに向けた準備と見るのは当然のことだろう。同社は2021年2月、オンラインでグローバル戦略「REIMAGINE」を発表。そのなかで、2030年までにジャガーとランドローバーの全モデルをEV化するとした。 この時期は、ボルボも2030年までに完全EVシフトを宣言し、またホンダも三部新体制になったタイミングで2040年にEV(FCEV)シフトを目指すと発表するなど、世のなかが本格的にEV普及に入るといったイメージを多くの人がもった時期だ。 その上で、ジャガーランドローバーは「REIMAGINE」に従い、2023年4月にはEVシフトに向けた大規模な投資計画も公開した。その時点から5年間で、総額150億ポンド(1ポンド=193円換算で2兆8950億円)を投じるとした。 こうした部品調達から製造拠点まで、ハードウェアやソフトウェアの開発が進むなかで、 重要性が増したのはブランドの再構築だ。ICE(内燃機関)からハイブリッド、そしてEVへシフトするというパワートレインの変革だけではなく、「社会におけるジャガーの存在意義」を再定義する必要があったといえる。 その後、欧州グリーンディール政策の軌道修正や、中国EV市場での変化、さらには第2次トランプ政権によるEV政策の変化など、EVシフトに対する不安定要素によって、ジャガーランドローバーとしては事業戦略の一部見直しがあるものの、大筋としてはEVシフトを推進する方向性に変わりはない。 そうしたなかで、ブランドを象徴するロゴの表現が極めて大事なのだ。自動車に限らず、ブランドに対するイメージは、国や地域それぞれで違い、また消費者それぞれでも違う。 たとえば、日本人がジャガーと聞いて、何を想像するのか? 一般的には、王家、紳士淑女、ブリティッシュグリーンだろうか。 クルマ好きとしては、EタイプやXJといったモデル記号、または近年ではフォーミュラEでの活躍を連想するかもしれない。 「Copy Nothing」(なにもののコピーではない)。 これこそ、ジャガー創業者ウィリアム・ライオンズ卿のジャガーブランドに対する信念だ。新たなるロゴ表現によりいま、新生ジャガーが走り出したといえる。