バッテリーが大きければOKとは限らない
新車を買うとき、多くの人がエンジンの排気量やグレードを気にしてきた。ガソリン車であれば「大きなエンジンのほうがゆとりがある」といった判断基準は、ある程度わかりやすいものだった。ところがEV(電気自動車)とくにBEV(バッテリー式電気自動車)では、選択の軸のひとつに「バッテリー容量」が加わってきた。同じ車種でも、標準容量と大容量、あるいはロングレンジ仕様など、複数のバッテリー容量から選べるBEVが増えている。そうなると、どれを選べばよいのかという迷いが生じてくる。
たとえば日産アリアは、B6(66kWh)とB9(91kWh)という2つの容量を用意している。航続距離を伸ばしたいなら大容量のほうが安心だ、と考える人も多いだろう。だが、バッテリーは大は小を兼ねるという単純な話では済まない。ここではバッテリー容量の選び方を、電費・充電・電池の種類という3つの角度から整理してみたい。

<容量が2倍でも、走行距離は2倍にならない>
まず知っておきたいのは、バッテリー容量と航続距離が単純な比例関係にはないという事実である。日産サクラは20kWhのバッテリーが搭載され、走行距離測定法の国際基準であるWLTCモードによる航続距離が180km、リーフは40kWhモデルで約322kmだ。容量はちょうど2倍だが、走行距離は約1.79倍にとどまる。車両重量や空気抵抗、モーターの効率など、容量以外の要素が絡んでくるためである。もちろんサクラとリーフは車格そのものが異なるため単純比較はできないが、容量が2倍になっても航続距離が単純に2倍にはならない例としてはわかりやすい。

アリアのB6とB9を見ても同じ傾向が出ている。B6(66kWh、2WD)の航続距離は470km、B9(91kWh、2WD)は610kmだ。容量は1.38倍増えたが、航続距離の伸びは1.3倍程度にとどまる。つまり、一般的にはバッテリー容量を増やしても、その増加分がそのまま航続距離に反映されるわけではない。カタログのkWh表記だけを見て、単純に容量比で航続距離を予想するのは早計だといえる。























