スズキ初のBEVはSUVで登場 そもそもはスズキ・エスクードの海外名だったビターラ。その車名が、スズキ初の電気自動車SUVとして日本に登場することになった。正式名称はeVITARA。英語のvitality(活力)が由来。製造はインド・グジャラート工場で行われ、欧州、インド、日本などに展開される世界戦略車だ。このほか、トヨタへのOEM供給も行われることが決定している。 プラットフォームはEV専用に開発を行なったHEARTECT-eを採用しており、これまでのエスクードとの共通点はなにもない。ショートオーバーハング、広い室内を得ているところがポイントで、フロア下のバッテリー容量を最大化することを目的とし、メインフロア下メンバーを廃止。おかげで室内には凹凸がほとんどなくフラットに保たれている。 対して、車両の両サイドはかなり強固な造り込みが行われることで高電圧を保護。1180Mpa級の高ハイテン材の使用率を従来の2倍とすることで軽量に仕立てている。 全長×全幅×全高は4275×1800×1640mmで、ホイールベースは2700mm。日本でも使いやすいサイズ感だが、それを後押しするのが最小回転半径5.2mを達成していることだ。モーターとインバーターを一体化したフロントに搭載されるeアクスルが高効率かつコンパクトに設計されたことや、専用プラットフォームの採用により、タイヤハウスのスペースをしっかりと取り、切れ角をしっかりと確保したことがEVらしいポイントだ。 eビターラの最大の特徴といえるのが、ALLGRIP-eと名付けられた4WDグレードを準備していることだ。都市部だけを考えればFFの2WDでも十分というのが最近のSUVの定番だが、エスクードの生まれ変わりであるのなら4WDは必須アイテムだったのだろう。 これからライバルとなりそうな日産リーフは、先の説明会において4WDを準備する予定はないと公言していた。ならばeビターラにとっての4WDはかなりのアドバンテージとなりそうだ。 悪路走破性に拘るスズキらしく、前後駆動力配分を自動で行うオートモードのほかに、空転したタイヤにブレーキをかけ、グリップが高いタイヤに駆動力を配分するトレイルモードも搭載。登坂性能は2WDの1.4倍となる26.8°(一旦停止して発進できる傾斜)を達成。これを48kWのモーターで補っている。