#ガソリン車
TEXT:渡辺陽一郎
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた

同じメーカーの似た車種でコストに違いは出るか 電気自動車は果たしてトクなのか? 走行に要するコストを含めて、維持費をノーマルエンジン車と比べてみたい。 電気自動車は日産サクラを取り上げる。サクラは2025年上半期(1〜6月)に、国内で販売された電気自動車の30%以上を占めた人気車だ。 ノーマルエンジンの比較相手は、本稿執筆時点でルークスのフルモデルチェンジが予定されているとのことで、同じ日産のデイズとする。プラットフォームはサクラと共通だ。サクラ(X)の価格は259万9300円と高いが、国から交付される補助金額の57万4000円を差し引くと、実質価格は202万5300円に下がる。これに近い価格のデイズには、ハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)があり192万9400円だ。 購入時に納める環境性能割や自動車重量税は、サクラでは課税されない。軽自動車では、軽自動車税も購入の翌年度に支払うから、購入時には納めないことになる。 デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は、環境性能割と自動車重量税を合計すると4万1400円になる。サクラと違ってこの金額を購入時に納める。自賠責保険料は、両車とも3年分で2万4010円だから等しい。 電気代/燃料代はどうか。サクラは駆動用電池の総電力量が20kWhで、WLTCモードにより180kmを走行できる。たとえば東京電力のスタンダードプランの場合、1kWh当たり電力料金は35円前後だから、満充電の20kWhに要する電気料金は約700円だ。この金額で180kmを走れるから、1km当たりの電気代は約3.9円になる。 デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は、WLTCモード燃費が21.5km/Lだ。レギュラーガソリン価格が1リットル当たり170円とすれば、1km当たりの走行コストは7.9円になる。 1年間に1万kmを走ると、サクラの電気代は約3万9000円、デイズのガソリン代は約7万9000円だ。サクラの走行コストは、デイズの約半額に収まる。サクラの充電に夜間電力を使ったりすれば、走行コストをさらに抑えられる。 数年間使ったあとに、売却する時の金額はどうか。これは残価設定ローンの5年後の残価(残存価値)をベースに考えたい。サクラ(X)で5年間の残価設定ローンを組んだ場合、5年後の残価は85万7000円だ。デイズハイウェイスター(Gターボプロパイロットエディション)は75万2000円だから、サクラXが少し高い。 残価設定ローンの残価は、車種によっては、販売促進を目的に高く設定する。従って残価設定ローンの残価がそのまま数年後の売却額に相当するとは限らないが、少なくともサクラは、デイズに比べて大幅に不利にはならないだろう。 ただし先に述べたとおり、サクラは電気自動車だから補助金が交付される。今後、補助金額の57万4000円が交付されない状態になると、損得勘定も大きく変わる。電気自動車は徐々に価格を下げる必要があるわけだ。

TAG: #EV #ガソリン車 #コスト
TEXT:御堀直嗣
EV時代の到来はむしろ原点回帰! T型フォードが登場するまでクルマといえば電気自動車だった

かつては電気自動車が主流だった 20世紀初頭、1908年に米国のフォードからT型が発売されるまで、クルマは庶民が容易に手に入れられるものではなかった。一台一台ほぼ手作りで組み立てられるような製造方法だったから原価が高く、高価だった。それを変革したのがフォードの流れ作業による生産方法である。それでも、T型が販売台数を伸ばすのは数年後からで、価格が大幅に下がり、身近になるのは1920年前後になる。 ガソリンエンジン自動車を多くの人が手に入れられるようになるのは、1886年のカール・ベンツによる発明から20~30年経ってからといえる。 それまでの間は、電気自動車がそれなりに人気を得ていた。 1912年に米国キャデラック車に電動スタータモーターが装備されるまで、ガソリンエンジンは人が手動でクランクをまわさなければ始動できなかった。それは誰にでもできることではない。ことに、女性には難しかった。したがって、キャデラックのスタータモーターも、当初は女性向けの装備と位置付けられていたほどだ。 それに比べ電気自動車は、スイッチを入れれば、あとはアクセル操作で容易に走らせられる。そこで、フォードT型を世に送り出したヘンリー・フォードの妻クララは、1915年製のデトロイト・エレクトリック社の電気自動車を愛用していたと伝えられる。時速40kmで、128kmの走行距離を実現していた。 のちにフォード博物館に保存されていたその電気自動車は、60年後に再び走らせようとした際、新しい電池への積み替えだけで動かすことができた。それほど保守点検に手間がいらない乗り物でもあったのだ。 20世紀初頭に電気自動車が人気を集めた様子は、白熱電球を発明したトーマス・エジソンも、自ら発明したニッケルアルカリ蓄電池を活用し、電気自動車を製作したことからも想像できる。鉛電池の約2倍となる約160kmの走行距離を実現できたという。そして、米国ニューヨークのタクシーで実用化された。 エジソンとフォードは、1914年に共同で電気自動車に関する実験を行ったともいわれる。 1895~1930年にかけて、米国には主要な電気自動車メーカーが33社にのぼった。その間、1912年には生産台数が年間3万4000台にもなった。

TAG: #ガソリン車 #電気自動車

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