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TEXT:高橋 優
テスラ追撃へポルシェが本気! EVのみのモデルに生まれ変わる「マカン エレクトリック」がバカ売れ必至

最新マカンはEVのみをラインアップ ポルシェがタイカンに続く新型EVとして、マカンのEVバージョンをワールドプレミアしました。800Vシステムを採用しながら、後輪操舵機能も搭載することで取りまわしをよくするなど、ポルシェのエントリーモデルとしてオールラウンダーなEVに仕上がっているようです。 まず、ポルシェに関しては2030年までに発売する車両の8割をバッテリーEVに置き換えるという電動化方針を表明しています。これは、911以外は完全にバッテリーEVに置き換えるという意味であると思います。 2019年に初のバッテリーEV、スポーツセダンのタイカンを発売し、そのタイカンについては、パナメーラを上まわり、911に匹敵するような販売台数を実現しています。さらに今後は、ケイマンのバッテリーEVバージョンを2025年中に投入しながら、カイエンのバッテリーEVバージョンも2026年ごろの登場を予定しています。 そして、タイカンの次のバッテリーEVとして長らく注目されていたのが、マカンのEVバージョンの存在です。このミッドサイズSUVであるマカンについては、ポルシェのラインアップのなかでもっとも安価なエントリーグレードということもあり、ポルシェでもっとも売れ筋なモデルでもあります。 なんといっても今回発表されたマカン エレクトリックについては、内燃機関車をラインアップせずに、純粋なバッテリーEVモデルとなりました。新型マカンを購入したいのであれば、バッテリーEVしか選択肢がなくなることを意味するわけで、その意味において、ポルシェのEVに対する本気度が伝わってくるわけです。 それでは、今回ワールドプレミアが開催されたポルシェの新型EVであるマカンエレクトリックについて、とくに気になるEV性能についてを確認していきたいと思います。 まず初めにグレード設定については2種類、マカン4とマカンターボをラインアップしています。どちらも同じく、前後にふたつの永久磁石同期モーターを搭載したAWDシステムを採用、搭載バッテリーについても、グロスで100kWh、ネットで96kWhのバッテリーを搭載しています。 満充電あたりの航続距離については、欧州WLTCモードにおいて最大613kmという航続距離を実現しています。他方で、今回のマカンに限らずEV全般で気をつけるべきは、その装着タイヤによってEVの航続距離はかなり変わってくるという点です。 マカンエレクトリックは、20インチから22インチを装着可能であるものの、22インチの場合、リヤ側は295/35R22と極太タイヤになることによって電費性能は悪化します。なんと22インチ装着の場合の航続距離は516kmと、20インチと比較しても100kmほど変わってくることから、航続距離や電費性能を気にする方は、装着タイヤのサイズをどれにするのかに関してを、デザイン性以外でも気にしたほうがいいと思います。 また、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいてもっとも信用に値するEPAサイクルベースの航続距離はまだ公開されていないものの、おそらく最長で500km弱を実現見込みであることから、とくに日本でマカンエレクトリックを購入検討されている方は、この最大500km弱程度という数値を、高速走行の際のマックスの航続距離とイメージしておくのがベターかと思います。 次に、充電性能に関して、マカンエレクトリックはタイカンと同様に最大270kWの充電出力に対応、充電残量80%まで21分間で充電を完了できるとしています。 このマカンの充電性能について特筆すべきは、バッテリーのプレコンディショニング機能を搭載していることで、ベストコンディションと説明している、バッテリー温度20〜25度に自動的に温度を調整することが可能となり、急速充電時間の最速化を実現します。 また、今回のマカンに搭載される800Vシステムのバッテリーパックについては、バンク充電システムを採用している点も注目です。仮に400V対応の急速充電器で充電を行った場合、バッテリーパックの片側半分が充電されることで、最大135kWという充電出力を許容可能となります。 これまでのタイカンであれば、800V対応の急速充電器で充電する場合は、別途DC-DCコンバーターを搭載することで、800Vへと昇圧を行なっていましたが、バンク充電システムを採用し、片側のバッテリーを使い分けることで、より効率的な800Vシステムへの対応が可能となったわけです。 そしてなんといっても、このポルシェについてもっとも特筆するべきは、日本国内にも独自の急速充電ネットワークが存在するという点です。 ポルシェ正規ディーラーとともに、アウディとフォルクスワーゲンの販売店に設置しているPCA(Premium Charging Alliance)の最大150kW級急速充電器を、全国24時間365日利用することが可能であり、実際に私自身もアウディRS e-tron GTで、PCAの充電ネットワークを使用しながら長距離走行テストを行いましたが、やはり24時間365日使用可能という点は非常に安心感がありました。 いずれにしても、この日本国内でマカンエレクトリックを購入するという際は、非常に大きな強みになるといえるでしょう。

TAG: #MACAN #PORSCHE #SUV #モデルチェンジ
TEXT:高橋 優
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは

スマホでお馴染みファーウェイが作った新型EV 中国市場において、ファーウェイの新型EVとなるフラグシップSUVのAITO M9の正式発売がスタートしました。現状考えられる最高レベルのスペックやありとあらゆる装備内容をフル搭載しており、2024年のベンチマーク的なEVとなっています。実際、発売2時間で1万台以上の確定注文が入り、現在もファーウェイストアは人でごった返しているとのこと。この2024年のEV動向を語る上で避けては通れない新型EVについてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、中国市場における「AITO」ブランドの存在です。このAITOというのは、中国の巨大テック企業であるファーウェイと、中国の中堅自動車メーカーであるSeresがタッグを組んで立ち上げたEV専門ブランドです。実際の車両開発や販売についてはファーウェイが主体で行い、あくまでもSeresについては、その車両生産を中心に担うという分業体制をとっています。 ところが、2021年末から発売をスタートしているAITOの販売ペースを確認してみると、発売開始後1年となる2022年末以降、むしろ販売台数は減少していたという背景が存在します。 やはりいくらファーウェイといえども、EVの知名度という観点では劣るわけであり、その時点ではまだ大規模にファーウェイストアにおいて車両を展示することもできておらず、販売プロモーションも追いついていませんでした。 その一方で、ファーウェイについては、最新スマートフォンであるMate 60を発売し、現在iPhone15を大きく上まわる爆発的なヒットを記録中です。そして、それに合わせて、AITOのEVたちの展示も精力的に展開することによって、知名度が急速に高まり、実際に販売台数につながり始めたわけです。 直近の12月については、月間3万台の販売台数を実現し、すでにXpengやNIOなどという主要な中国EVメーカーを超えるような販売規模にまで急成長しています。 このような背景において今回、新たにAITOが3車種目の新型EVとして、3列目シートを搭載した大型SUVとなるM9の正式な発売をスタートしてきたのです。このM9については、これまでラインアップしていたM5と同様に、バッテリーEVとともにレンジエクステンダーEVもラインアップすることで、長距離走行に不安を抱えるユーザーのニーズにも対応しています。 レンジエクステンダー版については、42kWh、もしくは52kWhという大容量バッテリーを搭載することで、EV航続距離は最大275kmに到達しています。さらに、発電専用エンジンを併用することで、その航続距離は最大で1400kmオーバーを実現しています。バッテリーEV版については、100kWhを搭載することで630kmという航続距離となっています。 また、燃費性能についても、レンジエクステンダー版は100km走行あたり6.9リットルと、たとえばM9の競合として設定されている、BMW X7などのドイツメーカーのフラグシップSUVと比較しても、かなりの優位性を発揮しています。 さらに、バッテリーEVについては、800Vシステムを採用することによって充電時間を短縮し、最高出力は390kW、最大トルクも673Nmを発揮することで、0-100km/h加速も4.3秒、制動距離についても34.9mと、運動性能にも優れていると言われるドイツメーカーを凌駕しています。 そしてM9に関しては、これらのEV性能や動力性能だけではなく、それ以外の装備内容にこそ魅力が存在します。 まず注目するべきは、エアサスペンションの搭載によって、乗り心地や静粛性までも向上させていることです。後席から乗り降りする際は40mm車高を自動で調整し、最大渡河性能も540mmと、都市型SUVとは思えないほどのオールラウンダーな実力を発揮しています。 静粛性についても、時速120kmの巡航時における静粛性は、メルセデス・ベンツGLSやBMW X7を凌いでいるといいます。 音響システムについても、ファーウェイ独自開発の最大2080Wの25スピーカーシステムで、7.1.4システムにも対応。ヘッドライトも、X Pixelと名付けられたマトリックスヘッドライトを採用することで、対向車線の複数車両を、それぞれうまく避けて照射することが可能であり、しかもこのヘッドライトから、最大100インチもの映像を投影することさえ可能です。まさに、EVならではの大電力を使用しながら、屋外で映画を楽しんでキャンプするなんて使い方だってできてしまいます。

TAG: #HUAWEI #中国車 #電気自動車
TEXT:高橋 優
大市場の中国でレクサスの勢いに陰り! 大幅値引きで闘う主力のESも続々登場するライバルを相手に苦戦気味

レクサスの主戦場である米・中での状況は? 中国市場におけるレクサスの2023年シーズンの販売台数の詳細をみると、ここ数年、落ち込みを見せているといいます。中国市場ではいま何が起こっているのでしょうか? レクサスの異変についてを解説します。 まず、今回取り上げていきたいトヨタの高級ブランドであるレクサスについて、2022年シーズンにおけるグローバル販売台数62.5万台のうち、もっとも販売台数を捌いていたのが北米市場です。その販売台数も28万台以上と、レクサスの中核マーケットであることが見て取れます。 他方で、その北米市場の次に大きかったのが中国市場の存在です。2022年シーズンにおいては17.6万台と、欧州や日本などと比較しても圧倒的な販売規模を実現していることから、レクサスとしては、この北米と中国こそが最重要なマーケットであり、この両マーケットでいかに販売規模を伸ばしていくのかが重要なわけです。 そして、そのレクサスのグローバル全体の販売台数の変遷を、とくに競合となるドイツ御三家やテスラとを比較してみると、2022年シーズンというのは、レクサスにとってもっとも厳しい1年であったことが見て取れます。 ドイツBBAと比較しても、2021年シーズンと比較した販売台数の落ち込み幅は最大、生産という観点でも大苦戦してしまった1年だったわけです。そしてレクサスについては、ドイツ御三家であったり、さらにテスラと比較しても販売台数で大きな差が開いてしまっている状況です。 そこでレクサスについては、2023年にも本格オフロードSUVであるGX、3列目シート搭載の北米専用モデルであるTX、さらにはエントリーモデルのLBX、そのうえバッテリーEVであるRZなど、新型モデルを次々と投入することで、2030年グローバル販売台数100万台の達成を実行しようとしています。 それでは、この販売攻勢をしかけてきているレクサスが、とくにEVシフトが強烈に進む主力マーケットの中国市場において、どのような販売状況であるのかを確認していきたいと思います。 まず初めに、2023年12月度における中国レクサスの販売台数は、ズバリ2万2500台越えと、2023年シーズン最高の販売台数を更新しました。前年同月と比較しても販売台数を大きく伸ばすことに成功しています。 このとおり、ピンクで示された2023年シーズンに関しては、前半は販売で大苦戦していたものの、後半に突入すると、紫で示された2022年シーズンの販売台数を超えていることが見て取れます。 他方で、そのシーズン別の月間販売台数の累計を積み上げたグラフを比較してみると、ピンクで示された2023年シーズンに関しては、2022年シーズンの販売台数をわずかに下まわってしまっていることが見て取れます。 よって、2020年シーズン以降、3年連続で中国国内の販売台数が低下してしまったわけです。 ちなみにこの販売データについては、中国の大手自動車メディアの集計している販売データであり、レクサスが公式に発表している販売台数の数値とはわずかに乖離があります。よって、レクサスがまもなく発表する、中国国内の正式な販売台数とを比較すると、もしかしたら2023年シーズンの販売台数は、2022年シーズンを上まわっている可能性も存在するという点は注意するべき点ではあります。 いずれにしても、強烈な追い上げを見せているように見えた2023年シーズンというのは、2020年や2021年シーズンと比較しても、明らかに販売規模で低迷していることが見て取れるわけです。 それでは、この中国市場でどのような車種が人気であるのかについてを確認していきたいと思います。 まず、中国レクサスで圧倒的な販売シェアを有しているのが、ミッドサイズセダンであるESの存在です。その販売台数も1.4万台以上と、レクサス全体の65%程度の販売台数を占めているという超売れ筋モデルです。 その次に、ミッドサイズSUVであるRX、およびNXが続いているものの、基本的にはESで販売台数の大半を稼いでいる様子が見て取れます。裏を返せば、現在の中国レクサスというのは、このESの一本足打法であると捉えることも可能です。 そして、この中国レクサスの販売シェアを支えているESに関して懸念するべき動向が主に2点ほど存在します。 まず1点目というのが、そのESの値引きセールによるジリ貧な販売戦略という観点です。 現在ESについては、おおよそ30万元弱、日本円で600万円程度から発売されているものの、実際の値段設定については、販売ディーラーにおいて一律で大幅値引き対応中であり、2023年末の段階で24万6900元、日本円で510万円という、100万円近い大幅値引きを実施して、なんとか需要を喚起している状況です。 そのうえ、上級グレードに至っては、その値引き幅はさらに拡大し、最大8万元、日本円で165万円というとてつもない値引き幅にまで拡大している状況です。 そして、ふたつ目の懸念にも絡むポイントとして、このES実質の値段設定に関しては、テスラモデル3とまったく同等となっているという点です。 このグラフは、そのESを筆頭として、プレミアムセダンにおける競合車種の販売台数の変遷を示したものになります。 このとおり、現状ドイツ御三家の3シリーズやCクラス、A4という内燃機関車の販売台数は、概ね1.5万台から2万台の間を推移していることから、ESはドイツ御三家に対して、うまくやっているという見方が可能です。

TAG: #LEXUS #中国
TEXT:高橋 優
EVだったら災害時の車中泊で家電も使い放題? エアコン使いっぱなしでどれくらいバッテリーは持つの? 実用性や注意点について解説

意外に知られていないアイドリング時のガソリン消費量 2024年元旦に発生した、令和6年能登半島地震に関連して、このような災害発生時に活用される車中泊について、どれだけガソリンを消費するのか、そして、現在真冬の厳しい寒さのなかでEV車中泊を行うと、どれほど電気を消費してしまうのか、このような災害時においてEVがどれほど実用性があるのか、EVならではの強みと弱みも含めて取り上げていきたいと思います。 まず、令和6年能登半島地震で被災されている方々に対して、お見舞い申し上げます。 そして、今回の地震や水害などの災害時において、プライバシーなどの観点でも有効な避難方法である車中泊について、注意しなければならないのが、そのアイドリング時のガソリン消費量です。 一般財団法人省エネルギーセンターによれば、排気量が2000ccの車両の場合、エアコンをオフにして10分間アイドリングすると、およそ130ccというガソリン消費量になると説明されています。 例えば、トヨタの売れ筋SUVである、RAV4やハリアーについては、燃料タンクは55リッターであることから、満タン状態でアイドリングを始めると、おおよそ70時間アイドリングをし続けることが可能になります。 仮に半分しか給油されていない状態からアイドリングを始めたとしても、おおよそ35時間はアイドリングをし続けることが可能になります。 また、軽自動車について、例えばもっとも人気のホンダN-BOXに関しては、その燃料タンク容量はFFモデルでも27リットル、AWDグレードでは25リットルとなり、普通車よりもかなり小さくなります。 他方で、軽自動車のアイドリングの際の燃料消費量については、いくつかの検証を確認してみると、1時間あたり400〜500cc程度であるとされています。よって、N-BOXを満タン状態からアイドリングを始めると、概ね60時間程度、アイドリングし続けることが可能です。仮に半分しか燃料が残っていなかったとしても、30時間はアイドリングし続けることができるのです。 いずれにしても、アイドリングをし続けて、快適な空調設定をキープするためには、燃料がどれほど残っているかという制限があるという点に注意が必要です。 EVは暖房つけっぱなしでどれだけもつ? 他方で、EVの場合は、とくに冬場に電気を食うことから、現在の冬場の環境下ではすぐに電欠してしまうのではないかという懸念の声が聞かれます。 そこで筆者自身、実際に真冬の雪国、とくにもっとも寒さが厳しくなる北海道に、すでに日産リーフ、テスラ・モデル3、およびテスラ・モデルYという3車種で、2年連続3回も赴いて、その車中泊を行った際にどれほど電気を消費してしまうのかを検証しました。 その検証結果について表にまとめてみました。 この通り、右側の欄に行けば行くほど外気温が低い、つまりEVにとってより不利な条件になっていくということです。 一番厳しい環境というのが、日本でも屈指の寒さを誇る、北海道陸別の小利別地区において、最低気温マイナス29.7℃という、日本ではこれ以上考えられない状況でテストしました。 その場合、車内温度を21℃程度とポカポカにし続けると、1時間あたり2.96kWhという電力を消費しました。モデルYを満充電状態にしていたとしても、たったの25時間強程度しか電気が持たないことになります。 ただし、外気温がマイナス18℃からマイナス22℃という、小利別よりも穏やかな環境下においては、1時間あたりの消費電力量は、2kWh以下に抑えることに成功。よって、100%充電の状態だと38.5時間、充電残量半分の状態からだとおよそ19時間と、マイナス30℃の環境下と比較すると、相当に消費電力量を抑えることができています。 さらに、もう少し条件が緩いマイナス9℃からマイナス16℃という環境下だと、1時間あたり1.29kWhという電力消費量になります。その場合、満充電状態からであれば59時間、充電残量半分からでも30時間弱程度、快適に車中泊をし続けることが可能と計算できます。 そして、北陸と似たような環境である、山梨で行った外気温マイナス3℃〜5℃の条件下では、満充電状態で82時間、充電残量半分でも40時間以上と、この数値はもはや、先ほどの内燃機関車よりも、むしろ長い時間アイドリングし続け、暖房を使用し続けることが可能ということになるのです。 いずれにしても、電気自動車は冬場の環境下で、内燃機関車よりも電力がもたないという主張というのは、すでに過去のものになり始めているということが、検証結果から明らかになってきているのです。

TAG: #災害 #車中泊
TEXT:桃田 健史
ホンダが「CR-V FCEV」を富士スピードウエイで世界初公開、なぜこのタイミングで世に出たか

なんの前触れもなく、いきなり実車が公開されたホンダ「CR-V」のFCEV(燃料電池車)。米GMとの共同開発によって耐久性とコスト面で大幅な改善が見られるとされている。技術的な詳細は未公開ながら、外部との充電/給電システムの存在などが明らかになった。 サプライズでの登場 まさか、こんなところでワールドプレミアになるとは! たまたまその場を通りかかった報道関係者の多くが、その姿を見て驚いた。 場所は、富士スピードウェイ。スーパー耐久シリーズの最終戦のイベントスペースである。 ここでホンダが公開したのが、「CR-V」のFCEV(燃料電池車)だ。 昨今のスーパー耐久シリーズは、ホンダを含めて、トヨタ、スバル、マツダ、日産が2050年カーボンニュートラルを目指した、さまざまな燃料やパワートレインの研究開発の”走り実験室”として活用されているところだ。 水素についても、トヨタが水素燃料で走る内燃機関レーシングカーで参戦し、しかも豊田章男会長が”モリゾウ”の名で自らステアリングを握っていることで、一般ユーザーの間で水素燃料車の認知度が高まっているところだ。 そうした中、ホンダは今回、サプライズとしてCR-VのFCEVを展示した。 車両には、幾何学をイメージするようなブルー基調のラッピングが施されており、 また車体前方の左側には、充電/給電ポートがある。 充電/給電ポートには、米SAEのJ1772規格に準じたコネクターを展示のために差し込んである。 ホンダによれば、このモデルはFCEVでありながらも、搭載する蓄電池に対して外部から充電および給電が可能だという。 ホンダ水素関連発表の振り返り それにしても、なぜこのタイミングでCR-VのFCEVが初公開されたのか? ホンダによると、ホンダが燃料電池車に関するニュースリリースを出したのは、直近で2023年2月2日の「水素事業の取り組みについて」となる。 この中で、燃料電池システムついては、GMとの共同開発を進め「耐久性2倍、コスト3分の1」を目指すとし、これに加えてホンダ独自に「耐久性2倍、コスト半減」を実現すべく研究開発を継続すると説明していた。

TAG: #CR-V #FCEV #ホンダ
TEXT:西川 淳
電気自動車が「クルマとしての魅力」でガソリン車を上回る時代に突入してきた!

前回は電動化という混沌とした時代において、自動車メーカーのクルマ作りが、プラットフォームを電気自動車(BEV)とガソリン車(ICE)で共有するべきか、それぞれに専用のものを用いるべきかという話をした。今回は西川 淳氏に「プラットフォーム共有派」のBMWに乗って感じたことを語ってもらった。 もはやBEV寄りの設計がメインか 前置きが長くなってしまった。今回はBEVとICEでプラットフォームを共有するパターンの雄、BMWの最新モデルである「X1」シリーズ(iX1を含む)を試乗して、いよいよBEVがICEの魅力を、「エンジンのBMW」車でさえ、上回ってきたのではないか、と思った話をしてみたい。 初期の共有モデル、「4シリーズ」や「X3」では実際にBEVとICEを乗り比べてみたところ、個人的に商品としての魅力ではICEグレードの方がまだ優っていると感じた。「7シリーズ」では「i7」の仕上がりに衝撃を受けたものの、それでも悩んだすえに選ぶならICEグレードだと結論づけた。BMWってやっぱりエンジンあってナンボのもんやね、そう思った反面、BEVの仕上がりが劇的に良くなりつつあることもまた感じていた。 そして新型X1だ。このモデル、BMWにとっては不慣れなFFをベースに改良を重ねて今日に至ったわけだが、新型のICEグレードはブランドのエントリーモデルとして十二分に通用する乗り味にまで仕上げてきた。 その上でBEVグレードに乗れば、これがもう完全にICEを上回るクルマになっている。共有設計に臨む姿勢がまるでBEVよりになったかのようだ。最近のICEは効率化重視でBMWといえども容易には官能性を表現できない。燃費のために走るようなエンジンであればいっそ電気モーターでも、と思うのがクルマ運転好きの思考というものだろう。 出だしのしなやかな動き、街中でのアクセルペダルの扱いやすさ、応答に優れたハンドリングの確かさ、高速走行時の安定感、そして全体を通じての爽快感など、どれをとってもBEVグレードはICEグレードを超えている。 繰り返しになるけれど、BMWグループは電動化に最も熱心なブランドだ。意外にも聞こえるが、エンジンに熱心である以上に他の動力源にも熱心だ。例えばFCEVへの取り組みでいうと、日本のトヨタと並ぶ本気度を見せている。“駆け抜ける歓び”は彼らのクルマ造りの信条で、その実現と発展に寄与するのであればICEに拘らない。シルキー6によって歓びが生まれたのではない。歓びのクルマにシルキー6が積まれていただけなのだ。

TAG: #BMW #EV #電気自動車
TEXT:西川 淳
電動化時代にクルマはどうやって作ればいい?まずはプラットフォームを軸に考えてみる

100年に一度の大変革期が自動車業界に訪れている。そして各メーカーは将来BEV(バッテリー電気自動車)専売ブランドになる年を明言し、BEVのラインナップを大幅に増やしている。しかしその作り方にはメーカーによって差がある。今回はプラットフォームに注目してその「差」を西川 淳が考察する。 プラットフォーム共有派のBMW 欧州ブランドの電動化、なかでもBEVへの取り組みに関しては、車体側のコンセプトとして大別すると2つのパターンがある。ICE(内燃機関)モデルとBEVモデルのプラットフォームを共有させるパターンと、全くわけてしまうパターンだ。 なかにはモデルの大小=コストに応じて混在させるブランドもあるが、それでも明確な方向性で考えたならいずれかのグループに区分けすることは可能だ。 前者の代表格としてBMWを挙げたい。ドイツプレミアムブランドの中では最も早くに電動ブランド“ i ”を立ち上げたこともあって、その名を冠するモデルの人気は上々で、独プレミアムブランドのなかでBEVを最もよく売っているメーカーだ。 「i」そのものはもはや独立したブランドとして機能していない。けれども、早い時期にそのイメージを定着させたことが現在に生きているようにも思う。加えて「iX」というインパクトあるデザインの専用設計モデルでハイトなBEVも得意だというアピールもできた。 だからこそ、ICEと同じカタチ(≒プラットフォームを共有する)をしたBEVでアピールできる。コンサバな顧客に安心感を与えることができたこともさることながら。

TAG: #BMW #EV #電気自動車
TEXT:烏山 大輔
“水素クラウン”が初登場!ハイブリッドとの違い、先代やEVのライバルとも比較してみる

トヨタは11月13日から「クラウンセダン」を発売すると発表した。パワートレインは、燃料電池車(FCEV)とハイブリッド(HEV)が用意される。さっそく詳細をみていこう。 新生「クラウン」の3タイプ目の登場 今回発表されたクラウンセダンは「クロスオーバー」「スポーツ」に次ぐ3タイプ目だ。最後に4タイプ目の「エステート」を残すのみになった。 セダンのFCEVとHEVは、ともにZのみのモノグレードで、税込価格はFCEVが830万円、HEVが730万円と発表された。 全長5,030mmの大柄ボディにもかかわらず、車重はFCEVが2,000kgにとどまっている。HEVは2,020kgでその差はわずか20kgだ。 室内空間(室内長1,970mm、幅1,595mm、高1,135mm)は、FCEVとHEVで変わりはない。トランク容量は、FCEVが400L、HEVが450Lと50Lの差が出た。両車のシステムを写真で見比べると、FCEVは3本目の水素タンクがリヤアクスルより後にあるので、この差ではないかと思われる。 FCEVの2トンを軽いと感じるのは、最近のBEV(バッテリー電気自動車)の重さに慣れていたことが原因だろう。全長が4,970mmとほぼ同じメルセデス・ベンツEQE 350+(セダン)は、2,390kgと、その差は390kgにも及ぶ。 クラウンセダンの室内をBEVと比較した場合に、明確に不利な点は、後席のセンタートンネルの出っ張りだ。“伝統的な”この出っ張りのせいで後席間の移動はしにくく、真ん中の乗員は足の置き場に困る。しかしほとんどの場合、乗員は4人までだろうから問題になる場面は少ないだろう。 クラウンは、先代の15代目から6ライトウインドーを採用し、ルーフラインのなだらかさが際立っていたが、この16代目のセダンはさらにルーフが伸ばされた。 先代はかろうじてルーフがトランク手前に着地し、そこからトランク上面は若干後端に向けて上方にはねあげられている形状だった。新型では完全にトランク後端にルーフが交わる。空気抵抗の低減に効きそうな形状だ(Cd値は不明)。 その影響か、トランクの開口部上端がリヤガラスに食い込んでいることに、このデザインを成立させるための工夫が見える。 FCEVの一充填走行距離は820km(参考値)と発表された。充填にかかる時間は3分だ。HEVは、燃費(18.0km/L、WLTCモード)とタンク容量(82L、レギュラー)をかけると、推定航続可能距離は1,476kmになるので、ハイブリッドの凄さを改めて感じる。 FCEVのモーター出力は134kW(182ps)、トルクは300Nm(30.6kgm)だ。HEVはシステム出力は180kW(245ps)。システムトルクは不明だが、エンジンは225Nm(22.9kgm)、モーターは300Nm(30.6kgm)と発表されている。 両車でどれほどドライブフィールが違うのか気になるところだ。 MIRAIはこのままフェードアウトか? これまで2世代にわたりトヨタのFCEVとして存在していたMIRAIはこの先どうなるのだろうか? クラウンセダンとは、ボディ形状も乗車定員も一緒。クラウンの方がよりフォーマルな雰囲気もあるので、もしかするとMIRAIはこのままフェードアウトとなるのかもしれない。 ただ、燃料電池技術は、バス、トラック、建機、船舶へと、クルマ以外にも大きく広がったように、十分に水素が実現できる「未来」を見せてくれたように思う。 今回のクラウンセダンに続くFCEVモデルのデビューに期待したい。 クラウンセダン FCEV 全長:5,030mm 全幅:1,890mm 全高:1,475mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,000kg 乗車定員:5名 燃料消費率:148km/kg(WLTCモード) 一充填走行距離:820km(参考値) モーター最高出力:134kW(182ps)/6,940rpm モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)/0-3,267rpm モーター数:後1基 トランスミッション:1速固定(11.691) 駆動方式:RWD(後輪駆動) サスペンション:前後マルチリンク ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前後235/55R19 最小回転半径:5.9m 荷室容量:400L 車両本体価格:830万円

TAG: #FCEV #クラウン #トヨタ
TEXT:加藤ヒロト
中国車が世界を席巻する理由:老舗メーカーによる新ブランド戦略 中国車の優位性②

加藤ヒロト氏による「中国車の優位性」を考える2回シリーズ。前回は装備品の先進性を軸に考察した。今回はメーカー内の別ブランド戦略について考える。 なぜ、中国の老舗メーカーはやたらとEV向けの新ブランドを立ち上げるのか? クルマの装備だけではない。自動車ブランドという存在にも「先進性」が求められており、昔からある中国メーカーは古臭いイメージを払拭させるべく幾多もの新しいブランドを立ち上げている。 例えばジーリー(吉利汽車)なんかは傘下に収めたボルボやロータス以外にも、自主ブランドをここ数年の間に8つほどローンチさせている。 2010年代後半以降に誕生したNIO(蔚来)やシャオペン(小鵬)、理想といった“新興メーカー”は、元から新鮮なイメージが持たれているため、新たなブランドを設立する必要がない。 一方でグレートウォール(長城汽車)やジーリー、広州汽車、上海汽車、北京汽車など、20世紀から存在する旧来の老舗メーカーでは新ブランドの立ち上げが顕著だ。 これらのメーカーは今までの「粗末な中国車」イメージを作り上げてきた張本人でもあり、今日ではそのクオリティが日本車や欧州車と遜色ないものに成長していたとしても、消費者からは昔のイメージのまま評価されてしまう面がある。こういった事情もあり、老舗メーカーたちは新ブランド立ち上げに躍起になっているのだ。 では、中国メーカーのように簡単に新たなブランドを立ち上げるわけにはいかない諸外国のメーカーはどうするべきなのか。 その鍵となるのが中国メーカーとの提携の強化だ。最近ではフォルクスワーゲンがシャオペンやリープモーター(領跑)といった新興メーカーとの提携を発表して大きな話題を呼んだ。 シャオペンに対して700万ドル以上の資金で株式の6.85%を取得しただけでなく、シャオペンの大型SUV「G9」のプラットフォームや搭載技術も買収したとしている。これを用い、2026年までに2車種のBEVを中国で投入する計画だ。 先進国のメーカーも頼る中国車の最新技術 一方でリープモーターとの提携では、フォルクスワーゲンの中国向けブランド「ジェッタ」に対してリープモーターのプラットフォームや電動化技術がライセンス提供される見込みだ。 ジェッタは2019年より展開されている若者向け廉価ブランドで、元はフォルクスワーゲンのいち車種「ジェッタ」から派生した経緯を持つ。 だが、ジェッタのモデルはどれもフォルクスワーゲングループですでに展開されている車種を安っぽく仕立て上げたものであり、商品力の面で言えば他のブランドより大幅に劣っている。 新モデルの投入スピードも遅く、起死回生の策としてリープモーターと提携することを選んだと考えられる。リープモーターは車体の設計・製造だけでなく、搭載ソフトウェアや自動運転技術、根幹のエレクトロニクスも一貫して自社内で研究開発をおこなっており、そこにフォルクスワーゲンは目をつけたのだろう。 また、アウディも上海汽車との連携をより密にすると発表している。フォルクスワーゲングループでは以前より上海汽車との合弁会社「上汽フォルクスワーゲン」を設立していたが、両者の関係はフォルクスワーゲンやアウディ、シュコダ車の現地生産と販売にとどまっていた。 それが、今回の新たな提携では開発設計段階より上海汽車が関与し、上海汽車の電動ブランド「IM」が開発した新世代の電動プラットフォームを採用したアウディのBEVが投入される見込みだ。 今までの外国メーカーと中国メーカーの提携では単なる現地生産と販売を担うパターンが一般的だった。 だが、これからはフォルクスワーゲンのように技術開発や設計の部分でも中国メーカーに助けを求める外国メーカーが増えていくかもしれない。そう考えると、2019年にBYDと共同で中国向けBEV開発をおこなうと発表したトヨタはやはり、なかなか先見の明があると言える。 「クルマの高速消費」がものすごいスピードで進行する中国市場において、外国メーカーが生き残るためには中国メーカーとの提携がカギとなってくるだろう。

TAG: #ジーリー #中国車 #新興メーカー
TEXT:烏山 大輔
BYDの驚愕の開発スピードの早さ!日本メーカーはまず仕事のやり方を変える必要がある!?

日本で電気自動車の「アット3」と「ドルフィン」を発売し、セダンの「シール」も来春の発売を予定するなど、着実にラインナップを増やしているBYD。ジャパンモビリティショーの現場でBYD Auto Japanの担当者に、この開発スピードの秘密を聞いた。 Build Your Dreams TVCMの放映も始まり、「BYD」というブランドを認知している人も増えているのではないだろうか。 BYDは中国版「シリコンバレー」と言われる深圳(シンセン)で1995年に電池製造からスタートした。自動車事業に参入したのは2003年だったため、自動車メーカーとしては新興勢と言える。 そんなBYDは、2022年3月に純ガソリンエンジン車製造に別れを告げ、BEV(バッテリー電気自動車)とPHEVのメーカーになった。 そしてBYDは、王朝シリーズと海洋シリーズからなる“BYD”、メルセデスとの協業で話題のモデル「D9」を擁する“電座(デンザ、DENZA)”、ハイエンドブランドの“仰望(ヤンワン、Yangwang)”と、既に3ブランドを展開する自動車企業に成長している。 ジャパンモビリティショーでも「アット3」「ドルフィン」「シール」「デンザD9」「ヤンワンU8」と5台を展示した。 日本メーカーのブースと決定的に異なる点は、5車種ともにコンセプトカーではなく“市販”されているクルマということだ。 いかにして、これほどのモデル展開を実現できる開発を行っているのだろうか。ジャパンモビリティショーのBYDブースにおいて、深圳のBYD本社と日頃からやりとりしているBYD Auto Japanの担当者に話を聞いてみた。

TAG: #BYD #デンザ #ヤンワン
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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