TET 編集部 記事一覧

TEXT:ABT werke
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

TAG: #EVライフ #スポーツEV #連載
「テクノフロンティア2023」より(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
軽でも特定原付でもない「パーソナルEV」を……電動がゆえに可能な進化を止めるな

夏真っ只中の7月26日〜28日、東京ビッグサイト<東京都江東区>において、ものづくり関連の展示会「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023」「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」が開催された。前回までは展示されたEVを中心に紹介したが、それ以外にもユニークなコンテンツや併催イベントが行われていたので、最後編としてまとめて紹介する。 高性能軽自動車はシニア層の救いになっているか 筆者が訪問した26日には、主催者特別企画「パーソナルEVの可能性」というトークセッションが行われた。 登壇者は、モデレーターとして「EVsmartブログ」の寄本編集長、車両バラシ・ティアダウンの第一人者である名古屋大学の山本教授、アパテックモーターズの孫社長、そしてKGモーターズの楠社長。それぞれがパーソナルEVについて熱く語られていた。特に「シトロエン・アミ」を題材に、それぞれの登壇者が小型EVのコスト面について語ってたのが印象的だった。 筆者が感じたのは、やはり日本でもパーソナルEV(小型EV)が必要であるということ。楠社長の話では、パーソナルEVの一日の走行距離は多くても2km程度とのことで、少し遠出をしても数十km走れる性能があれば事足りる。 さらに言えば、地方では整備が行き届いていない軽自動車をシニア層が運転している姿を目にする。タイヤの空気圧が足りていなかったり、エンジンから異音を響かせていたり、エンジンオイルが足りないのか白煙を上げて走っていたりするのだ。 なので再三述べるが、ボディが規格いっぱいのサイズで高性能で安全運転支援機能をてんこ盛りにした軽自動車ではなく、メンテナンスフリーで維持費も安く、家で手軽に充電できる「シトロエン・アミ」ような小型EVの認可が日本で必要だろう。 今年の「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023展」は、非常に情報量の多い展示会であった。自動車に限った展示会ではないが、主催者による自動車関連の展示を見るだけでも大変参考になる展示会である。是非とも次回、読者の方にも参加してほしいものである。行って損はありませんよ!

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「apolloONE江東東陽町KeePerPROSHOP」のイメージ(photo=出光興産)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
EV充電ステーションへの布石か……出光が新業態の第一弾でコーティング・洗車専門店を開始[2023.10.13]

カーコーティングと洗車はEVでも需要変わらず 充電インフラを展開すれば複合サービスが可能 【THE 視点】出光興産は、モビリティサービスに特化した新業態の店舗「apolloONE(アポロワン)」を展開する。第1号店として、カーコーティング・洗車専門店「アポロワン江東東陽町キーパープロショップ」<東京都江東区>を10月7日にオープンした。 出光は、中期経営計画において「スマートよろずや構想」を掲げている。全国展開のサービスステーション(SS)「アポロステーション」を重要なインフラ網として維持・活用するため、従来の給油所のみならず地域の生活支援基地としての役割も担うべく変革を進めている。 「アポロワン」はそのうちの一つの類型で、洗車/カーコーティング/カーシェアリング/レンタカー/車検/板金/整備/車両販売/買取といったニーズに高い専門性をもって対応する新業態のSSだという。 その先陣として、「アポロワン江東東陽町」ではカーコーティングと洗車を専門的に行なう。今後、2030年までに約250店舗の「アポロワン」の展開を目指し、多様に変化するモビリティのニーズに柔軟に対応していくとのこと。 EVやFCEVが普及すれば、従来の給油所としてのSSの需要は減る。SSの倒産は実際に増えており、今後もガソリン価格の高騰などでユーザーの給油回数が少ない傾向が続けば、SSの軒数が増える可能性はないと思われる。 出光はそこに目をつけた。出光と昭和シェルが経営統合し、エリアによっては店舗同士が隣接することも背景の一つであろうが、SSを廃業するのではなく、より社会に役立つ形に業態転換して商機を作るのだ。 「アポロワン」は特に良い目の付け所だ。第一弾の展開となるカーコーティングと洗車はEVでも欠かせないメンテナンスだ。そのほかにも出光は、一般家庭のソーラーの余剰電力を使用したEV用充電設備を導入したり[詳細はこちら<click>]ドローンのベースとなるような構想を立てていたりと[詳細はこちら<click>]、時代に合わせたSSの活用を試みている。 筆者はFCEVに乗るが、現在の水素ステーションでは洗車もタイヤの空気圧点検も行なえない。トイレを借りたり飲料を買うことさえできないところもある。EVにおいても同様で、街に広がる充電インフラはそれだけの機能を持つ設備が多く、トイレや買い物をしたいのならお店を自分で探して徒歩移動する必要があるのだ。店舗に隣接していても、充電時間が20分と決められていれば、クルマから離れるか迷ってしまう。 次世代車両が増えるに従い、休憩所を伴うような設備は必要になるだろう。「アポロワン」は、将来的にはEVの充電に対応すると予想する。充電待ちのついでに洗車やコーティングの施工も頼めるのであれば非常に便利だ。スタッフの作業を見ているだけでも楽しい時間となるだろう。 EVの充電待ち時間は商機である。SSの楽しい変革をこの勢いで進めてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★カワサキ、EVの「ニンジャ」を発表 ……完全電動のEVスポーツバイク「ニンジャ・e-1」と、ハイブリッドの「ニンジャ7・ハイブリッド」を発表した。両車は「ジャパン モビリティ ショー」で世界初公開する。 ★★トヨタと出光が全固体電池で協業 ……全固体電池の量産化に向けて、固体電解質の量産技術開発・生産性向上・サプライチェーンの構築を両社で取り組むことに合意した。両社の連携で、2027〜2028年の全固体電池実用化を確実なものにするという。 ★★ホンダと三菱商事がEVで新事業を創出へ ……EV用バッテリーのモニタリング機能を強化し、新車・中古車のバッテリーの状態を把握することで、定置型の転用を視野に入れたライフタイムマネジメントを目指す。また、電力需給のタイミングに合わせたエネルギーマネジメントシステムも構築していくという。 ★「日産・サクラ」の給電でマンションに給水 ……日産自動車・日立ビルシステム・日立産機システムが共同で実証実験を行なった。V2Xシステムを活用し、マンション・ビル向けの自動給水ユニットの稼働に成功したという。 ★ステランティスとサムスンSDIがアメリカに2ヵ所目のバッテリー工場を建設 ……合弁会社のスタープラス・エナジーを通じて、アメリカ・インディアナ州に建設する。年間生産能力は34GWhで、2027年初頭に生産を開始する。 ★日通、FCEVトラックを初導入 ……関東甲信越ブロックFBU(航空)に6台の水素燃料電池式(FCEV)トラックを導入した。2023年末までに合計20台を導入予定。 ★JR東日本がEVトゥクトゥクをレンタル ……傘下のJR東日本スタートアップが、EVトゥクトゥクのレンタルサービスを展開するエモビと連携。JR青梅線鳩ノ巣駅で10月18日から実証実験の形でレンタルサービスを行なう。 ★ヴァレオ、「JMS」にEV関連技術を展示 ……独自開発の小型EV「マイクロ・ユーティリティ・ビークル」を初公開するほか、800Vの高電圧に対応したインバーター・モーター一体型駆動装置「e-アクスル」を出展する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.13]

TAG: #THE視点 #インフラ #国内ビジネス
TEXT:TET 編集部
等身大に楽しめる次世代カー。ダイハツの未来への期待が高まる、5台のコンセプトモデルが披露

ダイハツは、10月26日(木)から開催されるジャパン モビリティショー2023に、5台のコンセプトモデルを出展すると発表した。 いよいよ現実に!? ボディを変えられるクルマ 軽のバッテリー電気自動車(BEV)の「me:MO(ミーモ)」は、内外装部品をモジュール化し、デザインだけでなく、ボディ形状まで変更可能としたのが特徴。こうした部品の共通化は、欧州でヒット中のマイクロBEVシトロエン「アミEV」などにも採用され、コスト削減の手法として注目を集めている。 ダイハツはさらに顧客のライフステージや用途に応じてクルマのカタチそのものを変更可能とし、サステイナブルなモデルとしてアピールしている。これまでも類似したコンセプトは存在したが、パワートレインをはじめ、様々な技術革新により、ボディを変えられるクルマも現実味を帯びてきた。もし市販化されれば、大ヒットの可能性を秘めていそうだ。 近未来の“働くクルマ” 電動化まったなしの商用軽については、同分野で発表済みのスズキやトヨタと共同開発したバンとまったまったく異なるBEVコンセプト、「UNIFORM(ユニフォーム)」シリーズを出展する。このうち、トラックの「UNIFORM Truck(ユニフォーム トラック)」は荷台に見るからに使い勝手の良さそうなほぼ真四角の箱を乗せた外観が特徴だ。 一方、バンの「UNIFORM Cargo(ユニフォーム カーゴ)」は、トラックと全長は同じながら、ホイールベースを55センチ延長し積載量を最大化。移動店舗などに使える外部給電機能も備えており、未来的な外観も相まって、市販されればクルマで事業を営むユーザーから大きな反響を呼びそうだ。 移動を楽しむ、その名も“オサンポ” 遊び心がたっぷり詰まった「OSANPO(オサンポ)」は、軽規格のオープンBEVコンセプト。軽オープンの名車「コペン」に、SUVテイストを加えたようなエクステリアは、親しみやすさと楽しさが融合した仕上がりだ。 ダイハツがOSANPOで提案するのは、カリカリのオープンスポーツではなく、気持ちいい風に吹かれながら、お散歩気分で自然と触れ合うドライビング。EVゆえバッテリーの搭載によって高めになりがちな全高を、開放感向上というアピールポイントに変えて、これまでにない新感覚のオープンカーに仕立てている。BEVのウィークポイントを逆手に取ったオープンカーの商品企画は、今後他のメーカーにも影響を与えるかもしれない。 いよいよ出るか、“ビッグコペン” 最後に紹介するのは、出展されるコンセプトのうち、おそらく最も市販化が期待できそうな「VISION COPEN(ビジョン・コペン)」。コペンの気軽さはそのままに、走る喜び・楽しさを追求したというこのオープンカーは、ルックスこそ初代「コペン」の進化版だが、ボディサイズは全長3,835mm×全幅1,695mm×全高1,.265mm と完全な登録車(5ナンバー)規格。 エンジンもカーボンニュートラル燃料の活用を見据えた排気量1.3Lの内燃機関とされ、軽の枠を大きく超えている。さらに駆動方式は驚きのFR!。確かに、ボンネットの長いクラシカルなフォルムは後輪駆動のそれだが、このご時世にFFのコペンを駆動方式を変更してまで訴求していこうというダイハツの姿勢はクルマ好きの心を打つ。 おそらく、ボディの大型化は海外販売強化を狙ったものとも考えられるが、現状マツダ「ロードスター」しか存在しない国産FRオープンスポーツの選択肢が増えることは大歓迎。ぜひ市販化してほしいところだ。  

TAG: #BEV #ジャパンモビリティショー #未来のクルマ
コベルコのFCEVパワーショベル(photo=コベルコ建機)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
建機用水素充填インフラの構築を急げ……コベルコ、FCEVパワーショベルの稼働評価を開始[2023.10.12]

コマツも試作機を開発した中型クラスの電動パワーショベル 官民一体でFCEV建設機械の開発とインフラの構築を早急に 【THE 視点】コベルコ建機は、燃料電池式(FC)の電動ショベルの試作機(以下、FCEVパワーショベル)の稼働評価を開始した。 FCEVパワーショベルの実用化に向けた取り組みを2021年に開始し、2023年3月に試作機が完成した。中型の油圧ショベルにトヨタのFCユニットと水素タンクを搭載。パワーショベルに求められる基本動作に支障がないことを確認したという。 評価結果をまとめると以下となる。 ・エンジン搭載機と遜色がない動作速度 ・圧倒的な低騒音 ・エンジンによる振動がないため、車体への振動伝達が低減し搭乗時の快適性が向上 ・水素と空気中の酸素が結合した純水のみの排出なので、CO2がゼロ ・高温排気がないため、車体やその周辺への熱害がない 今後も、エンジン搭載機と同等の作業性能を実現するために試作機の検証と改善を進め、商品化を目指すという。ちなみにコベルコは、世界初の「ハイブリッドショベル」や「有線式電動ショベル」といった環境負荷低減に貢献する建設機械の開発と提供に努めている。2025年に、まずはEV建機のニーズが高い欧州に向けに「バッテリー式EVのミニショベル」と「小型重機ショベル」。さらに日本国内向けに「クローラークレーン」の有線電動仕様の導入を計画し、EV建機の普及を着々と進めている。 特注ではなく、トヨタの量産品のFCシステムを使用しているとすれば、信頼性が高い上にコストの低減が期待できる。同じ建機メーカーの小松製作所(コマツ)も、今年5月にトヨタのFCを使用したFCEVパワーショベルの開発と実証実験の開始を発表している[詳細はこちら<click>]。コベルコと同じ中型の油圧ショベルがベースなので、FCシステムも大きくは違わないだろう。逆に各メーカーは、どういった点でそれぞれの特徴を出していくのか、興味津々である。 一方、使われる環境が自動車のFCEVとは違うので、環境に合わせた信頼性や耐久性などの検証は今後も継続していく必要がある。 また、水素充填のインフラを建機に対応させるといった国が絡む法整備の問題もある。現状では自動車用の水素ステーションは法の縛りで建機では使えないと筆者は認識している。 政府は、FCEVの普及を目標に水素供給インフラの整備・強化も目標に掲げているが、建機に対するそれらの構築も具体的に検討を始めてほしい。騒音・排熱といった環境問題の対策に非常に有用なEV建機は、バッテリー式であれFC式であれ普及を加速させるべきだ。官民一体となって取り組んでほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テスラ、新型「モデル3」の展示会を開催 ……10月13日(金)より、「テスラ新宿」「テスラセンター板橋」「テスラセンター千葉稲毛」「テスラおおたかの森」「テスラ幕張新都心」「テスラ・ラゾーナ川崎プラザ」で、「ハイランド」と言われる改良新型「モデル3」の展示を行なうと発表した[関連記事はこちら<click>]。 ★★レクサス、EVスーパースポーツをJMSで発表か ……「ジャパン・モビリティ・ショー」(JMS)の出展概要を発表した。「バッテリーEVコンセプトカー」の出展予告とともにシルエットを公開した。スポーツ車を彷彿とさせる低いスタイルをとっている。 ★★スバル、EVスポーツをJMSで発表 ……「JMS」の出展概要を公表した。「スバル・スポーツ・モビリティ・コンセプト」を出展する。公開されたティーザー画像では、低く構えたクーペらしきスタイルが見て取れる。 ★★ボールねじのTHK、EVを開発 ……実走行が可能なコンセプトモデル「LSR-05」を開発した。「JMS」に出展するという。車両にはTHKの独自技術を満載。SUVクーペスタイルの4人乗りで観音開きドアを採用している。 ★★三菱、クロスオーバーMPVのEVコンセプトを開発 ……「JMS」に出展する。ティーザー画像では、「デリカ」のようなシルエットを確認することができる。また、バギースタイルの小型EV「Last 1 mile Mobility」も出展する。 ★ヤマハ、3ホイーラーのオープンEVを開発 ……前輪二輪のリバーストライク型のオープントップEVコンセプト「トライセラ」を開発した。「JMS」に出展するという。そのほか、コンセプトEVスクーター「イーラブ」や、スーパースポーツスタイルのEVバイクも出展する。 ★BMW、「iX2」の車両概要を公開 ……「ジャパン・モビリティ・ショー」でのワールドプレミアを前に車両概要を公表した。プレミアムコンパクトクラス初のスポーツ・アクティビティ・クーペ(SAC:いわゆるSUVクーペ)スタイルのモデルとなる。最高出力230kW(313ps)/最大トルク494Nm(50.4kgm)のデュアルモーター式AWDで、最大航続距離は449km(WLTP値)。 ★米新興アルファモーター、ピックアップEV「ナイトウォルフ」を発表 ……シングルキャビンのピックアップトラックとなる。駆動方式はRWDもしくはデュアルモーターのAWDを選択可能。最大航続距離は275マイル(435km)。 ★「フィアット 500e」「アバルト 500e」向けのオンデマンド充電サービスが開始 ……欧州の4ヵ国・13都市でサービスを開始した。スマホからの予約で充電機材を搭載した車両が駆けつけ充電を行なう。サービスはE-GAPが担当する[関連記事はこちら<click>]。 ★ステランティス、ドイツ国内のEVでトップシェア ……2023年9月のドイツ国内におけるEVの販売台数を公表した。「オペル・コルサ・エレクトリック」(2位:2,200台)、「フィアット・500e」(3位:1,800台)、「オペル・モッカ・エレクトリック」(4位:1,300台)となり、ドイツでのトップシェアを獲得したという。 ★ジェネシス、アメリカ33州でEVモデルを取り扱い ……ヒョンデの高級ブランドのジェネシスは、10月10日付で33州に販売網が拡大したと発表した。10の州へ販売を広げ、カリフォルニアとルイジアナには2つの独立ディーラーをオープンしたという。 ★東京都の公共駐車場で計52基の充電器が新規稼働 ……テラモーターズが展開する。木場/和田堀/石神井/中川/東綾瀬/宇喜田/武蔵野の森/小金井の各公園の駐車場に導入。 ★世田谷区の公共施設に充電器を設置 ……テラモーターズは、東京都世田谷区と充電インフラ整備に関して協定を締結した。区立教育総合センターと多摩川総合支所に、急速充電器を1基ずつ設置予定。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.12]

TAG: #EV建機 #THE視点 #燃料電池(FC)
TEXT:福田 雅敏
イベントの目玉は「THE EV解体ショー」……日本未導入「BYD・シール」がバラバラで展示

夏真っ只中の7月26日〜28日、東京ビッグサイト<東京都江東区>において、ものづくり関連の展示会「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023」「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」が開催された。前回は、「シトロエン・アミ」についてレポートした[詳細はこちら<click>]。会場にはそれ以外にも、主催者企画コーナー「パーソナルEV」でユニークなEVの展示がされていたので、第2編としてまとめて紹介する。 早急に市販化希望の和製超小型EV「KGモーターズ・ミニマムモビリティ」 「デイリーEVヘッドライン」でも何度かお伝えしているKGモーターズの「ミニマムモビリティ」が展示されていた。筆者は、今年初めの東京オートサロン以来の再会であるが、その時のボディカラーとは違うので別な個体かと思ったら、黄色にオールペンを施した同じ車体とのことだった。今後、100万円以下で売れるようコストダウンと信頼性を確保し、モニター販売を経て量産していくという。 この「ミニマムモビリティ」には、運転席の後ろにスペースがあり、タンデム式で2人乗りが可能ではと思われる。「アミ」と同じように「L6e」カテゴリーが有ればどれだけ社会に有用なモビリティになろうか。 「アミ」と同様に左右対称のドアやフェンダーなどのパネルを持ちコストダウンも徹底しているので、100万円と言う販売価格は、実現不可能ではないだろうと感じた。「ミニマムモビリティ」については今後も引き続き動向をお伝えしたいと思う。 福島県大熊町出身の格安リースEV「OHKUMA」 その隣には、「月額1万円程度のリース料で乗れる小型EV」として話題を呼んだ、アパテックモーターズが3台の小型EVを展示していた。 その月額1万円EVの「大熊(OHKUMA)」は、現在中国から輸入されており、全幅の関係から小型車登録されているが、その名前の由来である「大熊」は、福島県大熊町から取った名前で、将来的には軽自動車の幅に合わせ大熊町で生産を予定しているという。 他に小型EVの「エアEV」と「キーウィEV」が展示されていたが、いずれも参考出品とのこと。反響次第で販売を考えているようだ。他にも1トン程度の積載量を持つ「エレクトロニック・バン」の資料があった。こちらも導入を計画中という。 こちらは小型EVではないが、日本未導入の中国製プレミアムSUV「ニオ・ES8」が展示されていた。日本のSUVよりも一回り大きく豪華な仕様であった。筆者も初めて見たのだが、中国、ヨーロッパを含め売れているようである。

TAG: #THE視点 #イベントレポート #新興EV
コマツ・PC05E-1(Photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
交換式バッテリーのEV建機……コマツ・ホンダ共同開発の電動パワーショベルが発売[2023.10.11]

2023年は“静かな”建設現場実現に向けての元年と定義 EV建機は運転中でも人の声が届き安全を確保できる 【THE 視点】小松製作所(コマツ)は、本田技研工業(ホンダ)と共同開発した電動マイクロショベル「PC05E-1」を10月より国内発売する。 2022年3月より国内に導入している超小型電動パワーショベル「PC01E-1」の系列拡大機種となる。コマツの建設機械の中でも、小規模な土木・建築工事・ガス・電気・配管工事などの現場で利用されることの多いタイプで、「PC01E-1」と同様に、動力源にホンダの電動パワーユニット「eGX」と交換式のリチウムイオンバッテリー「ホンダ・モバイルパワーパックe:」(MPP)を採用していることが特徴だ。 主な仕様は、バケット容量0.011m3/機械質量520kg/モーター出力3.3kW(4.5ps)。公表価格は310万円(工場裸渡し消費税抜き)となる。 さらにコマツは、リチウムイオンバッテリーを搭載した3トン・クラスの新型電動ミニショベル「PC30E-6」を、欧州市場に続き10月より国内発売するとも発表した。 2020年に国内市場にレンタル機として導入した3トンクラス「PC30E-5」のフルモデルチェンジ機となる。鉛のバッテリーに替わりリチウムイオンバッテリーを搭載することで急速充電に対応し、稼働時間の延長および車両のコンパクト化と軽量化を実現したという。 主な仕様は、バケット容量0.08m3/機械質量3,580kg/モーター出力17.4kW(23.7ps)。公表価格は1,200万円(工場裸渡し消費税抜き)となる。 コマツは2023年度を電動化建機の市場導入元年と位置付け、電動化市場がまだ形成されていない国内に多様な機種を投入することで、2050年のカーボンニュートラル実現へ向けた早期の市場形成を目指すという。 「PC05E-1」は、「スマートエネルギーWeek 春」のレポート[詳細はこちら<click>]などでお伝えした機種だ。発売されることを楽しみにしていた。電動なので、騒音や振動も少なく排気ガスも出ない点にメリットがあるのはもちろんだが、最も大きな特徴はホンダの「MPP」(モバイル・パワー・パック)を採用していることだろう。「MPP」を多めに用意し充電を済ませておけば、電池交換のみで連続稼働が可能になり待機時間が少なくて済む。 「建機展」のレポート[詳細はこちら<click>]でもお伝えしているが、「MPP」は、酒井重工業の「ハンドガイドローラー」などにも採用されている。「MPP」ファミリーには、数十個の「MPP」を一気に充電できるバッテリー交換ステーション「パワーパック・エクスチェンジャーe:」がある。都内などでは、「MPP」を使用したEVバイク「ベンリィe:」などに向けたバッテリー交換のシェアリングサービスが始まっている(法人向け)。この充電機器は、工事現場にも使用することができるはずだ。「MPP」を採用した建機は、充電待機なしで稼動することができるようになる。 さらに、大型の3トン・クラスの新型電動ミニショベルも「建機展」のレポートで紹介したものだ。建機が大型になっても、騒音などが大きく低減され環境が改善される。 加えて言えば、建機が電動化されることで出てくる隠れた効果は「人の声が聞こえる」ことだろう。万が一の場合は叫べば操縦手に直接警告できるのだ。整備コストが削減でき騒音も少なく安全性も高いのであれば、EV建機を導入するメリットは高い。 コマツはこれを機に、EV建機の普及に一層力を入れてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、コンセプトモデル「ハイパーアドベンチャー」を発表 ……本格的なアウトドアに対応できるSUV型のEV。駆動方式はAWD。V2Xや給電機能を標準装備している。「ジャパン・モビリティ・ショー」でワールドプレミアする。 ★★メルセデス・ベンツ・トラック、「eアクトロス600」を正式発表 ……EVのトラクター・ヘッドとなる。搭載バッテリーの容量は600kWh。1充電あたり500kmを走行可能で、法規で規定されている1回の休憩時に充電を組み合わせれば、1日1,000km以上を走行できるという。ディーゼル車と比較して80%以上のCO2を削減できるとのこと。 ★★ホンダ、自動運転対応のEV芝刈り機を開発 ……自社製品初となるEVの芝刈り機のプロトタイプ「ホンダ・オートノマス・ワーク・モーア(AWM)」を発表した。手動と自動の運転モードが選択でき、手動の場合は操縦手の作業パターンを学習し自動モードに反映するという。 ★BMW、2023年6月〜9月期のEV販売台数が79.6%増 ……第3四半期のBMWとMINIのEVモデルの販売台数は9万3,931台で前年同期比79.6%増となった。BMWブランド単体としては8万3,200台で前年同期比100.3%となった。 ★メルセデス・ベンツ、2023年6月〜9月期のEV販売台数が66%増 ……第3四半期のEVモデルの販売台数が6万1,600台となった。そのうち「EQS SUV」の販売は66%増となり、EVモデルの販売台数の増加を支えた形となった。また、EVバンの販売も6,300台となり、前年同期比105%の数値となった。 ★ボードリ、自動運転EVバスがレベル4相当での運行に成功 ……神戸市からの委託事業で運行している須磨海岸周辺ルートにおいて、レベル4(機械主導)の自動運転に成功したという。使用車両はエストニアのオーブ・テック製の「ミカ」。9月23日〜29日に一般市民向け試乗会が行われた。障害物も自動で回避したという。 ★KGモーターズ、1.5億円を資金調達 ……ベンチャーキャピタルや事業会社を引受先とするJ-KISS型新株予約権を発行した。調達資金は試作車の開発や人材の獲得にあてるという。 ★日立アステモ、ミラノショーに二輪向けのEV技術を出展 ……11月7日〜12日にイタリア・ミラノで開催されるモーターサイクルショー「エイクマ2023(ミラノショー)」に出展する。ブース内では、二輪向けに開発したインバーターとモーター一体型の駆動装置「e-アクスル」を展示する。 ★DS、「フォーミュラE」次シーズン向けのマシンを公開 ……フォーミュラEのチーム「DSペンスキー」は、次のシーズンに使用するマシンを公開した。カラーリングが変更となっており、従来のゴールドとブラックの塗装を反転させ、よりゴールドが強調された車体となった。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.11]

TAG: #EV建機 #THE視点 #バッテリー
シトロエン・アミ(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
「シトロエン・アミ」は日本デビューを待っている。軽規格に固執する意味は?[テクノフロンティアその1]

EVが関係する展示会のラッシュだった2023年夏 「ジャパン・モビリティ・ショー2023」を10月末に控えており、乗用車を中心とした自動車業界が慌ただしくなってきた。メーカー各社からEVの出展がアナウンスされており、いよいよ日本のメーカーも電動化へ歩み出したことを期待したい。 しかしこの夏、ビッグサイトを中心に様々なモビリティ関連の展示が行われ、どの分野でも電動化が目立っていた。たとえば消防車にもEVの波が押し寄せているのだ。 さて、そんな夏真っ只中の7月26日〜28日、東京ビッグサイト<東京都江東区>において、ものづくり関連の展示会「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023」「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」が開催された。ここでレポートをするということは、EV関連の展示があったということ。しかもユニークな内容であった。 特に「テクノフロンティア」は、日本未導入のEVが展示されるイベントだ。因みに2021年には低価格で話題となった中国上汽通用五菱汽車の小型EV「宏光ミニ」が、2022年には中国ニオ製のプレミアムSUV「ES8」が展示され話題となった。今年もユニークな展示がないかと期待して足を運ぶことにした。すると期待どおり、今年後半に発売が予定されている「BYD・シール」がバラバラにされ展示されていたのである。本件に関しては中編で詳細を紹介する。 原付四輪と軽自動車の中間に位置する「シトロエン・アミ」 今回の最大の話題は、シトロエンの日本未輸入のマイクロEV「アミ」の展示であろう。主催者自らが会場への展示を企画した。筆者も「アミ」の実車をどれだけ見たかったことか。会場で念願のご対面となった。 「アミ」の大きな特徴は、属するカテゴリと価格である。そのカテゴリは、日本の軽自動車と原動機付き4輪の中間と言うよりも原付4輪寄りで、ヨーロッパでは「L6e」と呼ばれるもの。フランスでは14歳から運転可能な2人乗り小型EVなのである。 主な諸元値を紹介すると、ボディサイズは全長2,410×全幅1,390×全高1,520mm。重量は485kg。モーターは最高出力6kW(8.1ps)。バッテリー容量は5.5kWhで、70kmの航続距離を持つ。 しかし最高速度は45km/hに制限され高速道路は走れない。発売当初の価格は6,000ユーロ(約65万円、2020年当時)と大きな話題を呼んだ。 この価格の実現は徹底したコストダウンによるもの。樹脂を多用した内外装に加えて、左右のドアに折り畳み式のガラスを使うなど工夫を凝らしている。

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バスワールド2023より(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
世界のバスはEVがトレンド……ベルギーで開催中の「バスワールド」では出展車の半数が電動車[2023.10.10]

全出展台数の半数がEV&FCEVバスという大増殖ぶり 日本が思う以上に世界の公共交通の電動化は進んでいる 【THE 視点】世界的なバスのモーターショー「バスワールド2023」が、10月7日(土)〜12日(木)まで、ベルギー・ブリュッセルで開催されている。出展社数は過去最大となる525社。出展品目は1290品と同じく過去最大となる。通常は隔年の開催だが、コロナの影響で2021年が中止となった。今年の開催は2019年以来4年ぶりということで、6日(金)のプレスデーに足を運んだ。 2019年の来場者数は約4万人。世界143の国と地域から参加のあったほど大規模なイベントである。今年のバスの出展台数は発表されいていないが、2019年の309台を大きく上回るものと思われる。当時も足を運んだのだが、EVバスはおよそ40台程度だったと記憶している。しかし今年は、出展台数の約6割がEVバスもしくはFCEVバスのような体感。世界各国からEVバスが大集合した形だ。 日本の規格で言えば、マイクロバス程度の大きさのタイプから、長さ24mある3連接のタイプ、ダブルデッカーでオープントップのタイプなど、様々なEVバスが展示されていた。さらに10台以上のFCEVバスも展示されており、連接タイプや観光バスタイプまで展示されていた。特にヨーロッパ各社のEVバスへの意気込みを大きく実感した。 車両の展示だけでなくバスの部品も展示されている。近年は、モーターやバッテリーパックなどのEVバス向け部品の展示も目立つようになっている。先日のデイリーでもお伝えしたが、ZFの駆動システム「CeTrax2 dual」も、このバスワールドで発表した[詳細はこちら<click>]。 ちなみにEV以外では、CNG車両やバイオフューエル車両などの展示もあった。ヨーロッパのバス会社が中心だが、遠くはブラジルや中国からの出展も見られた。 日本でもEVバスの導入は着々と進んでいるが、「バスワールド」を見るとまだまだと言わざるを得ない。FCEVバスも日本ではトヨタ一強のように思うが、ヨーロッパではすでに様々なメーカーが開発をしている。 このバスワールドのEVバスの詳細は、別途レポートする予定であるが、まずは、開催のなかった4年間でEVバスが想像以上に増えていたことをお伝えしておく。普及の加速中だ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、セダンの「EQS 450+」に限定車 ……特別仕様車「EQS 450+ Edition1」を発売した。日本国内では30台の限定販売となる。予約は正規ディーラーで受け付けている。専用のペイントやナッパレザーの内装などを採用。 ★★ダイハツ、軽商用EVのコンセプトモデルを発表へ ……ダイハツは、「ジャパン・モビリティ・ショー」への出展概要を発表した。すでに発表しているEVの「ハイゼット」とは違った商用EVをのコンセプト「ユニフォーム・トラック」「ユニフォーム・カーゴ」を出展する。また軽乗用EVとして内外装部品をモジュール化した「ミーモ」も出展する。 ★★BMW、「iX2」をジャパン・モビリティ・ショーで世界初公開へ ……「ジャパン・モビリティ・ショー」の出展概要を発表した。「ビジョン・ノイエ・クラッセ」の出展は発表済みだが、今回の追加発表ではSUVの「iX2」をワールドプレミアするほか、FCEVの「iX5・ハイドロジェン」などを出展する。 ★★ボルボとルノーがEVの合弁会社を設立 ……商用EVバンを開発するための合弁会社を設立した。低コストでさまざまなボディタイプをもつ新型のEVバンを共同開発するという。 ★ニデック、「e-アクスル」冷却用のオイルポンプを開発 ……ニデック(旧日本電産)は、インバーターやモーターを一体にした駆動装置「e-アクスル」冷却用のオイルポンプを開発した。モーターを直接冷却する油冷システムを構成する要となる部品で、現行の量産品に対して質量を50%削減したという。 ★蓄電池型超急速充電器が初設置 ……アウディの正規ディーラー「Audi 八王子」<東京都八王子市>に設置した。自動車メーカー向けとしては第1号だという。充電の最高出力は150kW/台、2台同時充電の場合は、120kW/台で合計出力は240kW[詳細はこちら<click>]。 ★ジェネシス、急速充電規格に「NACS」を採用 ……ヒョンデの高級ブランドのジェネシスは、アメリカとカナダ向けのモデルに、テスラ方式の急速充電企画「NACS」を採用すると発表した。2024年9月〜12月期に発表するモデルから導入するという。 ★ユアスタンド、EVトラックの導入支援を強化 ……ユアスタンドの急速充電器を購入・設置する法人に対し、普通充電器を最大5台まで無償設置する施策を行なう。対象充電器は最高出力3〜5kWとなる。 ★北海道岩見沢市で自動運転EVバスが運行 ……マクニカと岩見沢市が共同で、持続可能な交通体系の構築などを目的に実証実験を行なう。運行場所は、10月6日(金)〜13日(金)がJR岩見沢市〜北海道教育大学岩見沢校間、同15日(日)〜20日(金)が北村地域内循環となる。 ★日野、「ジャパン・モビリティ・ショー」にEVトラックを出展 ……同イベントへの出展概要を公表した。小型EVトラック「デュトロ Z EV」の「ウォークスルーバン」と「アルミバン」、そして燃料電池車の大型トラック「プロフィア Z FCV・プロトタイプ」を出展する。 ★スウェーデンでEVトラック向けの充電インフラが普及へ ……2023年〜2024年にかけて、スウェーデン国内に130ヵ所の充電ステーションが開設予定。ボルボ・トラックは運営企業のひとつで、EVトラックのドライバーがステーションを発見・利用しやすくするサービスを展開するという。 ★ポールスター、2023年6月〜9月期の納入が増加 ……この期間中に約1万3,900台を納入。前年同期比50%の増加だという。クーペスタイルのSUV「ポールスター2」の改良型の販売が好調だった。 ★「メルセデス EQ 青山」が10月7日(土)にオープン ……輸入車販売のヤナセは、メルセデス・ベンツのEV専門店「ヤナセ東京支店 青山ショールーム」<東京都港区青山2-3-1>をオープンした。東京都内、そしてヤナセ初のEV専門店である。 ★「BYD AUTO […]

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ホンダ・N-VAN e:(photo=本田技研工業)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
日本での商用EV争いは軽自動車が熾烈に……ホンダ、「N-VAN e:」をWEBで先行公開[2023.10.06]

軽商用バンの大ヒットモデルがいよいよ参戦でシェア争いは熾烈に 「ジャパン・モビリティ・ショー」は軽商用EVの初公開ラッシュ 【THE 視点】本田技研工業(ホンダ)は、軽商用EV「N-VAN e:」を公式WEBで先行公開した。 エンジン車の「N-VAN」が持つ積載製などの機能性をEVでも継承している。荷室のフロア下に搭載するバッテリーを薄型化し、床は低くフラットとし天井は高くすることで大容量な荷室空間を実現しているという。エクステリアは、従来のデザインを踏襲しつつ、使用済み自動車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」を採用。 「N-VAN e:」の最大の特徴と言えるのは走行性能だろう。EVならではのスムーズな走り出しに加えて、荷物の重量を感じさせないパワフルさ、低重心化による走行安定性を実現しているという。 ブレーキ操作に対してリニアに反応する「電動サーボブレーキ」(回生ブレーキと油圧ブレーキを協調するもの)を軽商用バンとして初採用した。スムーズにブレーキが掛かることで車内の荷崩れの防止につながる。さらにブレーキローターのサイズを大きくし、Dレンジと比べて減速度を大きくするBレンジも設定した。低重心な車体なので、より安心・安全な減速ができるだろう。 パワーユニットの詳細は明らかにされていないが、電動アクスルの小型化に加えて大容量かつ薄型化したバッテリーの採用や高電圧部品の集中配置により、商用車に必要な荷室空間と実用的な航続距離を確保することを目標としている。航続距離は確定していないが、配送業務に十分対応できるよう航続距離210km(WLTC値)を目標に開発しているとのこと。エアコンの消費電力を抑え、航続距離の延長が期待できる「ECONモード」も設定しているようだ。 充電は急速充電に加え、倍速の普通充電となる最高出力6kWタイプに対応している。充電時間は最長5時間とのことで、電気料金の安い夜間帯の中で満充電が可能だ。充電リッドはフロントフェイスに配置し、ケーブルを接続したままの乗降がしやすいよう配慮もしている。 「AC車外給電用コネクター」を使用すれば、1500Wの範囲内で電気製品を駆動することが可能。さらに可搬型外部給電器「パワーエクスポーター e:」を使用することで最大9kVAの高出力給電が可能となり、出力の高い冷蔵庫や冷暖房器具などの駆動が可能となる。緊急時に役立つ機能である。なお、スマートフォンアプリ「ホンダ・コネクト」を使用して、指定時間充電/最大電流量/充電待機時間などの設定を遠隔で行うことが可能だ。 ようやく車両の詳細が公表された「N-VAN e:」は、今年6月からヤマト運輸での実証試験も行なわれるなど、すでに実稼働面での開発が進められている。かねてより「2024年春に発売」と公表していただけに、開発は順調のようだ。 今回驚いたのは、6kWの普通充電に対応していること。電池容量は公表されていないが5時間でフル充電と考えると、最大容量25kWh程度のバッテリーと推測できる。バッテリーの性能にも自信があるようだ。ただ、最大積載量はエンジン車よりも50kg少ない300kgとなっているので注意が必要だ。 気になるのは価格だが、補助金を使えば100万円台に抑えられるとの噂があるので、最も高いグレードでも200万円台後半になるのではないか。 ちなみにホンダは「ジャパン・モビリティ・ショー」で、「新型軽商用EVプロトタイプ」を出展すると発表している。「N-VAN e:」と見て間違いないだろう。先日、スズキは同じ軽商用EVバンに属する「eエブリィ ・コンセプト」の出展を発表している。「eエブリィ」はダイハツからのOEM供給モデルなので、本家もEVの「ハイゼット」を出展するのではないだろうか。 先日のデイリーで「欧州で商用EVバン戦争勃発」と報じたが、日本では「軽商用EVバン戦争勃発」と言えるだろう。日本が得意とする分野で存分にシェア争いを繰り広げて開発を加速してほしい。 商用車としての機能はすべて満たしていると言える作りと装備を持つ「N-VAN e:」への期待は、筆者のみならず配送業者や個人でも高まるだろう。2024年春の発売が待ち遠しい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★北米トヨタ、LGとバッテリー供給を契約 ……韓国のバッテリーメーカーのLGエナジーソリューションと長期供給契約をした。アメリカで生産するバッテリー式EVにLGのリチウムイオン・バッテリーを搭載する。LGはアメリカ・ミシガン工場に約30億ドル(約4,466億円)を投資しラインを新設・稼働するという。 ★★ジェネシス、SUVの「GV60」を改良 ……ヒョンデの高級ブランドであるジェネシスは「GV60」の改良型をアメリカで発表した。主要な改良点は走行距離。後輪駆動モデルで最大294マイル(約473km)の航続が可能となった。価格は5万2,000ドル(約774万円)から。 ★★HWエレクトロ、リースプランを開始 ……事業者向けに商用EVを定額で提供する「HWEカーリース」を10月1日より開始した。軽規格のEV「エレモ-K」の場合、自社リースの代金と補助金を合わせて9,800円/月で利用が可能になる。なお、本サービスは環境省の補助金がなくなり次第終了するという。 ★お台場のEVカート用サーキットが10月28日(土)にオープン ……トムスが運営する「シティサーキット東京ベイ」のプレオープンが決定した。11月22日(水)まで「プレオープンフェスティバル」を開催。10時から22時までの6部制で、EVレーシングカートおよびシミュレーターが乗り放題となる。 ★いすゞ、横浜市と連携協定 ……「横浜市内の商用車部門におけるカーボンニュートラルの実現に向けた連携協定」を締結した。商用EV・FCVといった車両の普及や、それらを利用した輸送の効率化などに協働で取り組むという。 ★ベルセデス・ベンツ、トラック「eアクトロス600・プロトタイプ」が無充電で530kmを走行 ……40トンのウエイトを積んだプロトタイプのトレーラーで、530kmの無充電走行に成功した。充電1回で1000km以上を走行できることが実証されたという。 ★日本発超小型EVの新星が「ジャパン・モビリティ・ショー」に登場 ……特装車架装のトノックスと超小型EV技術研究組合(METAx)は、「マイクロ・ユーティリティ・ビークル」を共同開発する。開発車両は「ジャパン・モビリティ・ショー2023」の会場で公開する予定だ。 ★プラゴの充電インフラがYahoo!のマップサービスで検索可能に ……LINEヤフーと連携し、「Yahoo!カーナビ」「Yahoo!マップ」「Yahoo!ロコ」などで検索が可能になる。充電ステーションの場所はもちろん、充電器の出力や台数も表示されるという。 ★ジゴワッツ、最高出力6kWの充電器が補助金対象に ……倍速の普通充電が可能になる最高出力6kWタイプの「JW-EVSE-6KI」がJARIの認証を受けた。これにより従来の3kWタイプと同様に補助金の対象となる見込み。 ★国内自動車関連業のEV事業参入意向が5割以下 ……帝国データバンクが「EV普及の影響/参入企業の実態調査(2023年)」の結果を公表した。EV普及によりマイナスの影響を受けている企業は49.2%。「参入済みもしくは参入予定」と回答した企業は44.1%だった。 ★ボルボ、2023年9月のEV販売台数は9,205台 ……前年同月(6,072台)比52%の増加。1月〜9月の販売台数は8万629台で、前年同時期(3万2,369台)比149%増となった。 ★「BYD AUTO 名古屋北」が10月6日(金)にオープン ……BYDオート・ジャパンの正規ディーラーとして開業。ショールームを備えた店舗としては、国内12ヵ所目になるという。運営は双日が担当する。10月7日(土)〜10月31日(火)までオープニングフェアを開催する。 ★日立アステモ、二輪向けEVシステムをJMSに出展 […]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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