TET 編集部 記事一覧

カワサキ・ニンジャe-1(photo=磐城 蟻光)
TEXT:磐城 蟻光
THE“ローコスト”ナナハンキラー……「カワサキ・ニンジャe-1」はサーキットでこそ輝く

カワサキはエコよりも趣味性 カワサキモータースジャパンは、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で2台のEVバイク「ニンジャe-1」「ニンジャ7ハイブリッド」を国内初公開した。 現在日本で普及しているEVバイクはスクーターが中心だと言ってよい。カワサキにも実は「J300」というスクーターモデルもあるのだが、そこには手を出さずにスポーツモデル「ニンジャ」のブランドで登場させた。 カワサキは、バイクは趣味のものとして割り切っている傾向が強い。カーボンニュートラルももちろん意識しているのだろうが、それよりも“面白いものをより面白く作る”というスタイルを優先しているように感じる。スーパーチャージドエンジンを積んだ「ニンジャH2」は最たる例だろう。 今回発表した2台のEVバイクも電動の面白さを優先したものだ。会場で2台のバイクを見ていると楽しい気持ちが生まれ、購入後のバイクライフが頭に浮かんできた。今回は「ニンジャe-1」が創り出すバイクライフを考察してみたい。 コンパクトな着脱式バッテリーの採用はスポーツへのこだわりからか 「ニンジャe-1」は、強力な加速性能と軽さからくる異次元の運動性を味わえるはずだ。航続距離はフル充電で72kmと一般的なガソリンモデルよりも短いが、軽量の市販EVスポーツバイクとしてみれば立派な数値と言える。もちろんパワーを抑えればこれ以上の航続距離も出せただろう。しかしそれではカワサキらしさが損なわれると設計陣は考えたのではないだろうか。 その代わり……と言えるかは微妙なところながら、バッテリーは着脱交換式を採用している。残念ながら「JMS」の会場では、バッテリーまわりはマル秘であったが、フランス・フォーシーパワー製のものを採用したことが明らかにされた。 着脱交換式といえばホンダが「モバイルパワーパックe:」を開発し、メーカーを超えて採用が進んでいるが、カワサキは独自にフォーシーパワー製を採用した。同社のバッテリーは薄型なので、ニンジャのスタイルを崩さずに搭載することが可能。この特徴が採用の決め手のひとつとなったのではないだろうか。詳細の正式発表が待たれる。

TAG: #EVバイク #EVライフ #ジャパンモビリティショー
新型となったステランティスの商用EVバン(photo=ステランティス)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
7家族13兄弟が一斉に刷新……ステランティス、傘下に展開する商用EVバンが第2世代に[2023.11.01]

大型・中型・小型の商用EVバンが各ブランドにフルラインアップ 日本の大手メーカーはなぜ電動化に手を出さない 【THE 視点】ステランティスは10月23日、傘下のブランドに展開する第2世代の商用EVバンを公開した。小型から大型までの各サイズを用意し、大型の最高クラスには最大容量110kWhのバッテリーを搭載。最大420kmの航続距離となる。充電は最高出力150kWの急速に対応する。 今回の発表は、合計7ブランド・13車種を一気に新型とする大規模なものだ。各ブランドに小型・中型・大型の商用EV版が揃うことになる(ラムは大型のみ)。各ブランドと車種は以下となる。 シトロエン:「ベルランゴ」「ジャンピー」「ジャンパー」 フィアット:「ドブロ」「スクード」「デュカト」 オペル/ボグゾール:「コンボ」「ヴィヴァーロ」「モヴァーノ」 プジョー:「パートナー」「エキスパート」「ボクサー」 ラム:「プロマスターEV」 これほどのブランドと車種を一気に刷新するのは、ステランティスとして初ということだ。 性能面を詳しく紹介すると、小型では最大330km、中型EVバンは最大350km、冒頭でも紹介した大型バンは最大420kmの航続距離となる。最高出力150kWの急速充電を使用すると、大型バンでは1時間以内に0〜80%まで回復する事ができる。e-PTO (電動パワーテイクオフ:架装用に動力を取り出せる装置) の装備もあるようで、様々な用途に応用ができるだろう。さらに2024年にはFCEVバン(燃料電池車)もラインアップに加わるという。 トヨタで言えば、「ライトエース」「ハイエース」「グランエース」が一気にEV化されるというイメージである。バッテリー式に加えてFCEVも用意されるとのことで、欧州の商用車のカーボンニュートラル化が一気に進むことになる。 こういった展開ができるのは、世界規模のグループ故の芸当であろう。プラットフォーム/バッテリー・E-アクスルなどが共用できるので、コストも抑えることができるはずだ。 欧州では大メーカーが商用EVに大きく舵を切ったわけだが、日本の大手が鈍いのは残念である。「トヨタ・ハイエース」は、「ジャパン・モビリティ・ショー」でEVコンセプトが出たものの、それどまり。「日産・e-NV200」は生産終了してしまい、欧州ではその後継「タウンスター」が発表されているが、国内市場では音沙汰がない。 大手の代わりに新興系の商用EVが存在感を高め物流企業への導入が進んでいるが、大手が動き出さないのはどこかいびつである。「カーボンニュートラル」を声高々に叫ぶのであれば、“毎日走ってナンボ”の商用車を無視してはならない。 ステランティスグループ傘下のブランドには日本法人もあるため、今回発表のあったEVバンが日本に導入される可能性もないとは言えない。そうなると、ますます日本勢は苦しくなるのではないか。 航続距離や耐久性などいろいろな問題もあろう。しかし、三菱ふそうやいすゞはEVトラックを登場させた。「ハイエース」と「キャラバン」のEV化も、具体的に進めるべきであろう。特に「ハイエース」については、トヨタが長年育て上げているFCEV技術で先行を許してよいものだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テスラ、新型「モデル3」の試乗を開始 ……11月3日(金)よりストア試乗を開始する。試乗受付は公式WEBから。また、新型の航続距離も公表した。国土交通省審査値で706km(ロングレンジAWD)となる。 ★★東電系のJERA、EVのリユースバッテリーを活用 ……東京電力フュエル&パワーと中部電力の合弁企業JERAは、EVのリユースバッテリーを活用した大規模蓄電システムの実証実験を始めた。トヨタの技術協力のもの、特別高圧の送電系統に連携可能なシステムの構築を目指す。 ★★EVフォークリフトのバッテリーで蓄電設備 ……豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは、フォークリフト用のリチウムイオンバッテリーをリユースした定置型蓄電システム「メガロア」を開発した。豊田市と共同で電力使用量の平準化などの実証実験を行なう。 ★ダイムラートラック、北米でEVトラックの量産を開始 ……傘下のフレイトライナー名義でEVトラック「eM2」の量産を開始した。「eM2」はボンネット形状を持ったアメリカンスタイルを持つEV。最大容量291kWのバッテリーを搭載し、航続距離は最大400kmとなる。 ★アウディ、EVの販売が増進 ……2023年1月〜9月期の業績を発表した。EVの販売は12万3,000台以上で、前年同時期比60%増となった。9月単月では17万5,000台超えで、こちらも前年同月比24%増となっている。 ★ステランティス、EVの販売が好調 ……2023年6月〜9月期の業績を発表した。前年同時期比37%増という結果となった模様。「ジープ・アヴェンジャー」「シトロエン・アミ」「プジョー・E-208」「フィアット500e」などが増進に貢献したという。 ★岐阜県高山市のリゾートホテルがEVバスを導入 ……完全会員制のリゾートホテル「サンクチュアリコート高山」がホテルと最寄駅を結ぶ送迎バスに導入した。車両はEVモーターズ・ジャパンのコミュニティバス型となる。 ★テラモーターズ、北海道の賃貸に充電器を整備 ……北海道札幌市を拠点とする賃貸業のビッグと業務提携した。2030年までにビッグの管理物件に、充電器5,000基の設置を目指すという。 ★岩手県にEV充電器の設置が加速するか ……エネチェンジと岩手銀行が協力を発表した。2024年1月までに岩手/青森/宮城の複数の施設に充電を導入する。まずは岩手県矢巾町役場と宮城県仙台市の飲食店「かに政宗」への設置が発表された。 ★鳥取県日吉津村にEV充電器が導入 ……テラモーターズが連携協定を結んだ。同村役場庁舎と公共施設「ヴィレスひえづ」に、6kWタイプの普通充電器を3基ずつ設置する。 ★元テスラの技術者が東北大発のベンチャーに ……テスラ/アップル/ノースボルトなどを渡り歩いたバッテリーの技術者ケンゾー・ナガイ氏が、東北大学発のベンチャー企業3DCのアドバイザーに就任した。3DCはバッテリー向けの次世代カーボン素材の開発を行なっている。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.01]

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カワサキ・ニンジャe-1(photo=磐城 蟻光)
TEXT:磐城 蟻光
漢の「ニンジャ」“エコで売らない”次世代の電動スポーツ登場……カワサキ、2台のEVバイクを日本公開

電動化でも漢の「ニンジャ」スタイル 硬派なバイクメーカーが電動化にシフトした。カワサキモータースジャパンは、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」の会場において、2台のEVバイクを公開した。完全電動の「ニンジャe-1」とエンジン・モーターの両方を積んだ「ニンジャ7ハイブリッド」である。 両車はただ時代に合わせて電動化したモデルではない。硬派なスポーツモデルを作り続けるカワサキらしいスタイルが込められた新世代のスポーツバイクである。 250ccより軽く普通二輪No.1のトルク……「ニンジャe-1」 両車とも諸元が公開されていた。まず「ニンジャe-1」の値を確認してみよう。 ・パワートレイン:交流同期モーター ・最高出力9.0kW(12ps)/2,600〜4,000rpm ・最大トルク40.5Nm(4.1kgm)/0〜1,600rpm ・全長1,980×全幅690×全高1,105mm ・シート高785mm ・車重140kg 「e-1」はニンジャ250/400の車体をベースに電動化したものと考えて良い。最高出力こそエンジン車には及ばないが(ニンジャ250は35ps)、最大トルクは「ニンジャ400」の3.8kgm/8,000rpm以上どころか、カワサキの他のどの普通二輪(400cc以下)モデルよりも強力な数値である。そのうえ車重は「ニンジャ250」の166kgに対してかなり軽く作られている。 ただ、航続距離は72kmとエンジンモデルに比べると短い。しかし、バッテリーは着脱交換式を採用し、家庭のコンセントを使用して充電が可能とのこと。追加のバッテリーを手に入れれば充電を待たずに走ることも可能だろうが、車体価格が未発表なので、追加バッテリーもどれほどの値段がつくか気になるところだ。

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ヤンマーの水素燃料電池システムを搭載したハイブリッド旅客船「ハナリア」(photo=モテナシー)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
静かで快適なFC船が来年に運航……ヤンマー、船舶向けの水素燃料電池(FC)を初出荷[2023.10.31]

商船三井グループの電動旅客船「ハナリア」に搭載し来年4月から運航予定 バイオディーゼル発電機とFCを組み合わせた日本初のハイブリッド船 【THE 視点】ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーパワーテクノロジー(以下、ヤンマーPT)は、船舶用水素燃料電池(FC)システムを初出荷したと発表した。このFCは2023年8月に商品化したもの[詳細はこちら<click>]。商船三井グループなどが出資するMOTENA-Sea(モテナシー)の旅客船「HANARIA(ハナリア)」が搭載する。 「ハナリア」は、FCとバイオディーゼルを使用する日本初のハイブリッド型旅客船で、両機関で発電した電気でスクリューを回す電動推進システムを採用している船となる。2基のFC/蓄電池/発電機関/電力制御/推進機器/遠隔監視など、ヤンマーPTが統合設計したパワートレインが搭載されている。 特にFCシステムを主とした運航では、ゼロエミッション化を実現するとともに、動力源からの振動や騒音を大幅に低減し、排気ガスの臭いも無い快適な船内環境の実現に貢献する。 推進はモーターの動力となるので、自動車でいうFCEVとシリーズハイブリッド両方の側面を持ったシステムと言える。どのような状態でFCとディーゼルが切り替わるのかは気になるところだが、ディーゼルは発電専用なので、それが動いていたとしても通常の船舶に比べて圧倒的に静粛性が高いのではないだろうか。 FCシステムは、定格出力240kWのものを2基搭載している。重量は2,400kg。自動車用のおよそ10倍はある大型のシステムだ。バイオディーゼルと推進用モーターの諸元は公表されていないが、船舶に使用する電気を発電し船を進めることを考えれば、相当な大きさのものだろう。 自動車と異なり、船の場合の水素の充填などには許認可の問題など課題は多いと認識しているが、実際に船が出来上がり稼働に漕ぎつけたことは大きな進歩である。今後も、自動車のみならず船や建機など様々なモビリティでFCの活用が進むことを期待する。 なお「ハナリア」は2024年3月に竣工し、同年4月より福岡県を中心に営業開始予定だ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、コンパクトSUV「コナ」を日本発売 ……11月1日(水)から販売開始する。ヒョンデとしては「アイオニック5」に続いて日本導入2機種目。4グレードが導入され、航続距離は541〜625km。価格は399万3,000円〜となる[詳細はこちら<click>]。 ★東京都住宅供給公社がEVイベント ……JKK東京(東京都住宅供給公社)は、「コーシャハイム向原ガーデンコート」<板橋区>でEV普及啓発イベントを開催する<11月18日(土)〜19日(日)>。イベントでは、EV展示・試乗会/ソーラーカー工作ワークショップ/EVを電源としたキッチンカーの出展などが行なわれる。 ★ヤマハ、ゴルフカーベースの自動運転EVを開発 ……屋内外対応自動搬送用EV「FG-01」を開発した。ゴルフカーをベースにしたことで、高い走破性と耐久性を有するとのこと。「2023国際ロボット展(iREX2023)」<東京ビッグサイト/11月29日(水)〜12月2日(土)>に出展する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.31]

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FOMM ONE(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
出光、EV新興のFOMMとともにバッテリー交換式EVの事業化を検討[2023.10.30]

多角的に事業を展開することで次世代への対応を早める出光 バッテリー交換式はインフラのひとつとして普及する可能性 【THE 視点】出光興産と新興EVのFOMMは、EV事業の協業に関する覚書を締結した。出光のサービスステーション(SS)ネットワークを活用し、EVのメンテナンスや軽自動車向けEVコンバージョンサービス体制の構築などを検討する。 FOMMは、小型EVの企画・開発メーカー。同社が開発した軽自動車規格の4人乗り小型EV「FOMM ONE」の販売を2019年からタイで開始し、2021年からは日本において販売を開始している。今後、出光と協業するということは、FOMMの販売体制の強化も意味することになる。 協業検討項目をまとめると以下となる。 1  「FOMM ONE」のメンテナンス等のアフターサービス 2  FOMMのバッテリー交換式コンバージョンEV事業における販売/改造業務/アフターサービス 3  SSネットワークを活用したFOMMのバッテリー交換ステーション事業の展開に関する検討 4  FOMMが将来的に量産を計画する新型車両の展開における連携可能性の検討 出光は系列SSを通じて給油に留まらない車検や整備等のカーケアサービスを手掛けてきた。新車販売台数の半数以上が電動車(ハイブリッド車含む)となっている現在の環境を踏まえ、電動車のメンテナンスを含むアフターサービス需要が今後加速すると予測している。このような環境の変化に対して、出光はバッテリー交換式EVに関する技術と知見を有するFOMMと協力して、EVに関連する多様なサービスとネットワークの拡充を目指す。 出光は新事業の開拓を加速している。カーコーティングの専門店を開いたり[詳細はこちら<click>]、トヨタと全固体電池の開発で協業したり[詳細はこちら<click>]、双葉電子とともに国産ドローンの開発を行なったり[詳細はこちら<click>]と、EVを含めた新時代のモビリティに対応できるよう多角的に事業を計画・実行している。 今回の発表で気になった点は「バッテリー交換EV」の事業化である。現在開催中の「ジャパン・モビリティ・ショー2023」にFOMMが出展しており、「FOMM ONE」のバッテリー交換型が展示してあったのだ。リアバンパー中央の黒い部分にバッテリーを搭載しそこから交換するという仕組み。「FOMM ONE」は水に浮いて走る(推進する)EVとしても知られている。バッテリーの防水性にも自信があるのだろう。 また、三菱ふそうやいすゞが小型トラックでのバッテリー交換のデモを行なったほか、ホンダも自社の交換式バッテリーを搭載した車両を展示。カワサキやEVスクーターのベクトリクスなども電池交換式を展示していた。 筆者も十数年前にバッテリー交換式のEVタクシーの実証試験をした経験を持つ。当時と比較して、バッテリーの性能向上や充電設備の拡充といったEVを取り巻く環境変化があったにも関わらず、ここに来て大手各社がバッテリー交換式に手を出すということは、今後トレンドの一つになるということを示唆しているのではないか。 各メーカーが計画する交換システムも自社のみで開発を行なわず、専門業者などとの協業で事業化を目指しているところも興味深い点だ。バッテリー交換というビジネスモデルが出来つつあると言える。数年後には、充電インフラのひとつのカタチとして認識されているかもしれない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パワーエックス、超急速充電サービスが稼働 ……最高出力150kWの公共急速充電サービスを開始した。10月26日より「シェアグリーン南青山」<港区青山1−12−32>と、「目黒セントラルスクエア」<品川区大崎3-1-1>が稼働している。2023年末までに、「新丸の内ビルディング」<千代田区丸の内1-5-1>と、「成田空港第1ターミナル」<P1駐車場1階>も稼働予定。10分の接続で約130km分の電力を充電できる充電サービスとなる。 ★★ルノー、次世代のモーターを採用へ ……仏自動車部品メーカーのヴァレオと共同開発した次世代モーター「E7A」を発表した。2027年より導入する。「E7A」は巻線ローターを使用したレアアースフリーのモーターで、現在のものよりも30%コンパクトだという。 ★ヤマダ電機の住宅ローンでEVの購入が可能に ……ヤマダデジタル会員向けのネット銀行「ヤマダ NEOBANK」の「ヤマダ NEOBANK住宅ローン」にEVやV2H機器の組み込みが可能となった。住宅からEVまでワンパッケージで購入できることとなる。 ★超急速充電サービスにグリーン電力 ……最高出力150kWの急速充電サービスを開始したパワーエックスは、クリーンエナジーコネクトと「バーチャルPPAサービス」の契約を結んだ。クリーンエナジーコネクトがパワーエックス専用に太陽光発電システムを構築し、充電サービスにグリーン電力を供給する。 ★会津若松市の循環バスがEVに ……福島県会津地方でバス事業を展開する会津乗合自動車(会津バス)は、会津若松市内を走るまちなか周遊バス「あかべぇ」に2台のEVバスを導入した。車両は「BYD・J6」。JR会津若松駅〜鶴ヶ城〜七日町といった主要観光スポットを通る。 ★パナソニック、千葉県市川市で充電インフラの整備を促進 ……「日常生活圏のどこでもEV充電ができる」をコンセプトに展開しているEV充電器のシェアリングサービス「エブリワ・チャージャー・シェア」のモデル地域を市川市に選定した。まずは、市の公共施設にEV用充電器を設置する。 ★アクスル、フォロフライのEVを導入 ……社用車として「フォロフライF1バン」を10月から1台導入した。国内初の1トンクラスのEVバンとなる。アクスルは配送車のEV化を進めているが、フォロフライの導入は初。今後積極的な導入に向けて検討するとのこと。 ★チューリング、自動運転EVのコンセプトカーを発表 ……完全自動運転EVへのマイルストーンとして、コンセプトカー「チューリング・マシン・アルファ」を「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で公開した。オープントップでバギースタイルをとっている。 ★太陽光発電システムが車両化 ……ポータブルのリチウムイオンバッテリー製品を展開するジャックリーは、太陽光発電のコンセプトマシン「ジャックリー・ソーラーマーズボット」を公開した。小型の自動運転EVの上部にソーラーを備えた車両で、自動で太陽光を追跡し発電する。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.30]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #国内ビジネス
TEXT:TET 編集部
EVの常識を打ち破れ。レクサスが新たな電気自動車のコンセプトカー「LF-ZC」と「LF-ZL」を初披露

レクサスはジャパンモビリティショー2023でバッテリー電気自動車のスポーツクーペ「LF-ZC」、ならびに次世代フラグシップ「LF-ZL」を発表した。 航続距離1,000kmを追求したスポーツクーペ「LF-ZC」 10月25日に行われたレクサスのプレスカンファレンスでは、サイモン・ハンフリーズCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)が登壇し、「レクサスはラグジュアリーカーの常識を打破する存在として誕生した」と言及。さらに「あらゆる場面や時代において、常識や限界を超える挑戦をしてきた」と述べ、2035年までにBEV100%のブランドになるというコミットメントを改めて明言した。 その上で、2026年の市販予定モデルとして発表されたのがスポーツクーペの「LF-ZC」だ。全長4,750mm×全幅1,880mm×全高1,390mmという非常に低いスタイリングを可能にしているのは、開発中の「次世代電池パフォーマンス版(角形)」で、目標Cd値0.20以下という高い空力性能を実現。航続距離は1,000kmの実現を目指しているという。 また、ハイパフォーマンスクーペ「RC F」と同じ全高にもかかわらず、LF-ZCはフルフラットなフロアやパノラマルーフにより、外観からは想像できない開放的なインテリアを実現。低いフードとカウルによって、これまでになかった視界の広がりも確保され、コクピットは運転に没入できる空間となっている。 生産技術の面で画期的なのは、LF-ZCが車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造「ギガキャスト」を採用していること。ボディの大部分を一体成形にすることで締結部が減少してボディ剛性が高まり、操作に対してリニアで自然なフィーリングを実現しているという。 また、電池をボディ中央部分に集中して搭載し、フロントおよびリアは構造上の影響を受けない仕組みとすることで、電池等の進化を素早く取り入れられるメリットもある。 ハンフリーズCBOはLF-ZCを「より小さく、より広く、もっとエモーショナルなデザイン、もっと広いスペースとフレキシビリティ、もっとドライバーに寄り添うクルマ」と説明しており、市販化された暁にはBEVに革新を起こす存在になりそうだ。 >>>次ページ EV時代のフラグシップ「LF-ZL」

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TEXT:TET 編集部
EV時代の「GT-R」「ジューク」「エルグランド」を予告!? 日産がEVコンセプトカー3台を一挙披露

10月25日のプレスデイをもって開幕したジャパンモビリティショー。各メーカーがバッテリー電気自動車(BEV)を中心に、様々な未来のモビリティを提案するこのショーに、日産自動車は画期的なコンセプト「ハイパー」シリーズを持ち込んだ。ステージ上でスポットライトを浴びた3台のBEVコンセプトを紹介しよう。 EV時代のGT-R。全固体電池搭載のスポーツクーペ「ハイパーフォース」 ハイパーシリーズ全般の特徴として挙げられるのは、サイバーパンク的な超未来的デザインにもかかわらず、現行ラインナップとの繋がりを感じさせるディテールを採用していること。内田社長が「他がやらないことをやる、というのが創業時からの日産スピリット」と述べるように、電動化時代の日産車は“攻めたデザイン”となるのかもしれない。 3台のうち究極のハイパフォーマンスカーとして真っ先に紹介されたのは、スポーツクーペの「ハイパーフォース」。パワートレーンは、全固体電池と最大出力1,000kWを発生する高出力モーターとされ、「エクストレイル」に実装される電動AWD技術「e-4ORCE」の進化版も採用する。 ただ、ハイパーフォースで最も注目されるのは何と言ってもそのエクステリア。フロントマスクやリアの丸形テールライトは、「GT-R」を連想させるもの。しかもフロントのエアインテーク内部にはピクセル調で「GT-R」に似せたロゴまで配されており、日産も電動化時代のGT-Rをイメージしてデザインしたと思われる。 NISMOレーシングチームと共同開発したという空力設計や、ゲームシミュレーターにもなるコクピットなど、内田社長が「ゲームチェンジャー」と呼ぶハイパーフォース。市販されればスポーツBEVの概念をひっくり返す存在になるかもしれない。 「ジューク」をイメージさせるコンパクトSUV「ハイパーパンク」 ハイパーフォースの次に紹介されたのは、若年層をターゲットにしたコンパクトSUVの「ハイパーパンク」。多角形を強調したボディラインやトライアングルを配したホイールなど、車名どおり前衛的なデザインをまとったスタイリッシュな存在感は「ジューク」に共通する。 このコンセプトの真骨頂は車内にあり、AIとバイオセンシングセンサーによってドライバーの気分や健康状態を解析し、車両が照明や音楽を自動的に調整。さらに、コクピットを包み込むように配された3面ディスプレイには車載カメラが撮影した周囲の風景を様々なテイストに変換して表示でき、オーナーが自己表現と創造性を高められるという。 内田社長はハイパーパンクによって「移動の自由を手に入れ、仲間とともに新しい価値を生み出してほしい」としており、若者向けということも踏まえると、リーズナブルなBEVの開発を示唆していると期待したい。 >>>次ページ 豪華装備でおもてなし。プレミアムミニバン「ハイパーツアラー」

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HWエレクトロ・パズル(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
超シンプルな四角いハコのEV……HWエレクトロ、新型の軽商用EV「パズル」を発表[2023.10.27]

思わず目を引くシンプルなデザインはスタイルと機能を両立 価格は200万円を目標に2024末〜2025年春の販売を目指す 【THE 視点】HWエレクトロは、新型の商用EVコンセプト「パズル」を「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で発表した。「サステナビリティ」「コネクティビティ」「社会貢献」の3つのコアバリューを、軽自動車規格の商用EVのあるべき姿として具現化した。 2025年初春の発売を目指しているという。HWエレクトロのアプリ「MyHWE」や同社が展開するプラットフォームサービスとも連携することで、自然災害や環境問題などの社会のあらゆる課題を解決することを目指す。 HWエレクトロは、街の隅々を走る「ワンマイル配送」事業に携わる軽商用車をEV化することで、環境負荷の低減及び自然災害に強い街づくりに貢献できると考え、2020年より商用EV「エレモシリーズ」の販売を開始している。シリーズの展開を通して得られたユーザー・社会からの要望を汲み取りながら社会の“1ピース”となることを目指し、日本発のHWEオリジナルの新車種として「パズル」を開発した。 コンセプトカーを元にした量産モデルの計画がすでに進んでおり、2024年末〜2025年春の販売開始を目指している。価格は航続距離1kmに対して1万円の200万円(税別)を予定しているという。 「パズル」の特長をまとめると以下となる。 ・デザインからも見てとれる徹底した合理化 ・給電機能など搭載した街に安心をもたらすEV ・運ぶクルマとしての無駄のない角型の空間設計 ・好みに合わせてアレンジ自在にできる内装の配置 ・ワンマイル配送にもゼロ・エミッション車 ・ビジネスにもプライベートにも使用可能 ・USBポートとAC100V電源コンセントを装備した移動する社会インフラとしてのポテンシャル 実車を「JMS」の会場で見たが、徹底的に角型のボディに作り込んでおり、見た目もさることながら広く四角い荷物室の使い勝手はかなり高いものと思われる。「パズル」以外にも軽のEVバンが会場に多く展示されていたが、その中でも特に個性と機能を両立していると感じた。 積載量は350kg、価格も200万円台、航続距離も200kmを目指しているというから、日本製の軽EVバンとガチンコで競合する形になる。 少しでも多く、そして大きい荷物を運びたいというだけではなく、個性的な愛機が欲しいという事業者や個人に良いかもしれない。クルマ自体が名刺代わりになりそうだ。軽商用EVバンに魅力的な選択肢がひとつ増えることになるのは間違いない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヤンマー、船舶向け燃料電池を初出荷 ……水素・バイオ燃料ディーゼル機関を持つ旅客船「ハナリア」(商船三井グループのモテナシーが所有)向けに出荷したという。この燃料電池ユニットは2023年8月に商品化したもの。ハナリアは発電を燃料電池もしくはディーゼルで行ない、モーターでスクリューを駆動する仕組み。 ★★出光も交換式バッテリー事業を検討 ……出光興産と小型EV開発のFOMMは、出光のサービスステーションを活用したEV事業について覚書を締結した。小型EV「FOMM ONE」のメンテナンスや交換式バッテリーへの改造サービス、交換ステーション化などを検討していく。 ★★「ルーシッド・エア」のRWDが登場 ……アメリカ振興のルーシッドは、セダンの「エア」に後輪駆動モデル「エア・ピュアRWD」を追加した。価格は7万7,400ドル(約1,166万円)。 ★★ステランティス、中国新興EVを販売 ……中国の新興EVメーカー「リープモーター」の株式を約20%取得した。取得額は15億ユーロ(約2,400億円)。リープモーター製のEVを世界に向けて販売するという。 ★★「東京ビッグサイト」周辺がフォーミュラEのコースに ……来年開催の「フォーミュラE」東京大会のコースが発表された。全18ヵ所のコーナーがある全長2.582kmのコースで、「東京ビッグサイト」<江東区>の東展示棟を囲むようなレイアウトとなっている。 ★ボルボ、「EX30」の生産をベルギーでも ……日本にも導入されたばかりの小型SUV「EX30」を、中国・張家口に加えてベルギー・ゲント工場でも生産するという。生産価格を抑えて販売拡大を狙う。 ★「EQE SUV」が「ユーロNCAP」で運転支援システムが最高評価 ……メルセデス・ベンツは、「EQE SUV」が、ヨーロッパの自動車安全テスト「ユーロNCAP」において、運転支援システムが最高評価を得たと発表した。 ★47.1%がEVに対して関心や購入意向 ……Tポイント/カードを運用するCCCMKホールディングスは、22〜64歳の男女1万4,441人にEVに対するアンケート調査を行なった。EVの所有率は1%だが、購入意向や関心を示した回答者が47.1%となった。 ★EVプラットフォームのライセンス販売を商業化 ……台湾ホンハイ精密工業(フォックスコン)が主導し、ZFジャパン/ハコブネ/伊藤忠商事などが参画するMIHコンソーシアムは、グローバル市場向けにEVプラットフォームを商業化した。Mモビリティに初の技術ライセンスを供与する。 ★熊本の病院で自動運転パーソナルEVが実稼働 ……パーソナルEVを展開するWHILLは、熊本中央病院<熊本市>で「WHILL自動運転サービス」を11月6日(月)から開始する。病院内での車椅子代わりの移動手段として稼働させる。 ★プロパティエージェントのマンションにEV充電器が導入 ……EV充電インフラのテラモーターズは、ミガロホールディングス傘下のプロパティエージェントが開発する都内9つのマンションに充電器を設置した。いずれも最高出力3kWタイプのもの。 ★「S-LINKS渋谷」に充電器が導入 ……テラモーターズが導入した。「S-LINKS」<東京都目黒区>は、サンケイビルが手がけた複合施設。 ★ヒョンデに試乗するとTポイント獲得 ……ヒョンデ・モビリティ・ジャパンとCCCMKホールディングスは、ポイントプログラムを締結した。ヒョンデの公式WEBで会員登録/試乗/オンライン購入相談/車両購入をするとTポイントを獲得できる。 ★高級ホテル「デュシタニ京都」に「アウディ・e-tronスポーツバック」が常駐 ……「デュシタニ京都」<京都市下京区>に常駐させ、宿泊者向けのサービスやアクティビティに活用する。ホテルが保有する野菜畑での収穫体験の送迎などに充てる。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.27]

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いすゞ・エルガEV(photo=ABT werke)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
電気で走るいすゞの路線バスが誕生……「エルガEV」をサプライズでワールドプレミア[2023.10.26]

ZFの電動アクスルを採用し後部までフルフラットの室内を実現 海外のEVバスと遜色のない高い完成度の予感 【THE 視点】いすゞ自動車は10月25日、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」(JMS)において、新型のEVバス「エルガEV」を発表した。予告がなかっただけに、サプライズのワールドプレミアとなった。 長さ11,545×幅2,485×高さ3,330mmの大型路線バスで、乗車定員は最大80人。モーターの性能は125kW(170ps)×2/最大トルクは480Nm(49.0kgm)。バッテリーは全てフロントルーフに搭載され総容量は220kWhとなっている。普通充電・急速充電(CHAdeMO)を採用するが、充電時間や航続距離等は非公表。 車内は通路が後ろまで段差なしの低床のローフロア(LF)なのも特徴だ。LFの実現には、モーターが大きく関係していると考えられる。モーターメーカーは非公表だったが、リアアクスルにはZFと刻印されたことから、先に発売されている「エルフEV」と同様モーターもZFを採用したと思われる。しかも「AVE130」という型と出力が一致する2モーター仕様。メルセデス・ベンツのEVバスなどにも採用実績があるユニットだ。 このモーターの特徴は、左右のブレーキ・アクスルにモーターが組み込まれており、中央部分が出っ張りのない構造。このおかげで低床の段差がないローフロアが実現したわけだ。 バッテリーをルーフに搭載したこともローフロアと広々とした車内の実現に一役買っている。しかもこのバッテリーは水冷式を採用しているという。メーカーは非公表だが、「エルフEV」が韓国LG製を採用しているため踏襲したのだと推測する。 筆者は、先日ベルギーで行われたバスワールドに視察に行っているが、日本に戻り今回発表となった「エルガEV」をみて、海外製のEVバスと遜色ない作りだと感じた。いすゞがようやく国産EVバスを発表したことに嬉しさを感じた。 なお生産はいすゞと日野の合弁のバスメーカー「ジェイ・バス」が行なうという。もしかしたら、現行の路線バス同様に「日野・ブルーリボンEV」としてOEMデビューもあるかもしれない。 発売は2024年度中と発表されているが、価格は未定とのこと。早く試乗したいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、「Gクラス」のEVを発表 ……「コンセプトEQG」を「JMS」で発表した。オフローダーの「Gクラス」のテイストをそのままEVに落とし込み、4モーター式のAWDや2段変速ギアといった強力なパワートレインを備えている[詳細はこちら<click>]。 ★★カワサキ、ハイブリッドの「ニンジャ」を国内導入へ ……「JMS」の会場でEVバイクの「ニンジャe-1」とハイブリッドの「ニンジャ7ハイブリッド」を初公開した。ハイブリッドモデルは国内導入の準備を行なっているという。 ★★マツダ、ロータリー搭載のスポーツEVを発表 ……コンセプトモデル「マツダ・アイコニックSP」を「JMS」で発表した。2ローター式のロータリーエンジン(レンジエクステンダー)を搭載したEVとなる。次世代の「RX-7」と捉えて良いだろう。 ★★トヨタ、2台のEVコンセプトカーを発表 ……スポーツモデル「FT-Se」とSUV「FT-3e」を「JMS」で発表した。「FT-3e」は、コンパクトなボディを持つスポーツEVで、次世代の「86」を想起させるものとなっている。 ★★レクサス、2026年導入予定の次世代EVを発表 ……「JMS」で次世代EVのコンセプト「LF-ZC」と「LF-ZL」を発表した。「ZC」は2026年導入予定の次世代のバッテリー式EV、「ZL」は新型のソフトウェア「アリーンOS」を搭載したフラッグシップコンセプトモデルとなる。 ★★インフィニティ、2台のEVコンセプトカーを発表 ……日産自動車の高級ブランド・インフィニティは、「ヴィジョンQe」「ヴィジョンQXe」を「JMS」で発表した。「Qe」はセダンタイプで「QXe」はクロスオーバーとなる。 ★★BMW、「iX2」を日本発表 ……「JMS」で「iX2 xDrive30」を発表・発売した。最高出力200kW(272ps)/最大トルク494Nm(50.4kgm)のAWDで、航続距離は最大449kmとなる。価格は742万円。 ★★日産、コンセプトEV第5弾はスーパースポーツ ……「JMS」の会場で第5弾となるコンセプトEV「ハイパーフォース」を発表した。最高出力1,000kW(1360ps)のAWDで、サーキット走行ももちろん視野に入れている。丸目4灯のテールランプを採用していることから、「GT-R EV」と考えられる。 ★★三菱、クロスオーバーのEVコンセプトを発表 ……「JMS」の会場でクロスオーバーMPV「MITSUBISHI D:X Concept」を発表した。ミニバンタイプの車体で、「デリカ」のEV版とイメージできる。 ★ボルボ、新型EV「EM90」を11月12日に発表 ……「EM90」がMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)になると発表した。高級リビングルームをイメージした車内になるという。 ★スバル、「ソルテラ」を改良 ……運転支援機能「スバル・セーフティ・センス」の機能を拡充。渋滞時支援/レーンチェンジアシストなどを追加した。また、オーバルステアリングホイールも新採用した。 ★トヨタ、「bZ4X」を一般販売開始 ……一般販売を11月13日から開始する。購入は現金一括や残価型割賦に対応する。合わせて一部改良も発表された。低外気温下における充電時間を最大30%削減する。 ★エネチェンジ、「おでかけEV」と連携 ……ナビゲートが運営する充電スポット検索アプリ「おでかけEV」に、「エネチェンジクラウドEV」のEV充電スポット情報をAPI連携した。「おでかけEV」は、ドライブ計画時の利用や「チェックイン」でポイントが貯まるアプリ。 ★ステランティス、EVのバッテリーリサイクル事業を強化 ……原子力関連事業のオラノと協業する。EVの使用済みバッテリーからレアメタル類を回収し再利用するバリューチェーンの構築を目指す。 ★新興のMIHコンソーシアム、小型EV「プロジェクトX」を発表 ……台湾・フォックスコンが主導するMIHコンソーシアムは、「JMS」でEVの小型モビリティを発表した。「プロジェクトX」は2〜3人乗りのEVでバッテリーは交換式となる。 ★テラモーターズ、「CAVE OKINAWA」にEV用充電器を導入 ……沖縄県の洞窟・鍾乳洞の探検ツアーを運営する「CAVE OKINAWA」の利用者向け駐車場に充電器を導入する。充電器は最高出力6kWタイプで、2024年度中に3基が設置予定。 ★グローバル電子、カナダの充電器メーカーと代理店契約 […]

TAG: #EVバス #THE視点 #商用EV
リマック・ネヴェーラ(photo=リマック・オートモビリ)
TEXT:福田 雅敏
3億円でも庶民派……スーパーカーの新たな価値を提示するEV「リマック・ネヴェーラ」

日本初上陸した個体は「アドリア海の真珠」そのもの スーパーカーや高級中古車の販売を手がけるビンゴは、クロアチアのハイパーEVメーカー「リマック・オートモビリ」の日本代理店を務めることとなった。それに伴い、同社の市販モデル「ネヴェーラ」が日本に上陸した。その発表会に赴いたのだが、実車を前にした感想をレポートしたい。 既に「デイリーEVヘッドライン」で何度も伝えている「ネヴェーラ」だが、日本に上陸した個体は、東欧クロアチアの美しさそのものをEVで表現していた。「アドリアブルー」と言える瑠璃色のボディカラーに、レンガ色をしたインテリアカラーは、リマックの故郷であるクロアチアの“アドリア海の真珠”と称される都市「ドゥブロヴニク」のイメージである。 上陸した個体はアドリアブルーだが、ボディカラー/インテリアカラー/ホイール/ブレーキ等のカラーは、オーナーの好みに合わせ自由に選ぶことができる。海外では2022年夏より既に納車も始まっているが、150台の限定販売となる。価格は2ミリオン・ユーロ(税別約3億2000万円)と破格である。 ニュル7分05秒298の理由はパワーだけではない 性能も破格で、およそ2,000psというとてつもない高性能パワートレインが搭載され、120kWhのバッテリーで490km(WLTP)の航続距離を持つ。その高性能ぶりの一部を紹介すると、0-100km/hは1.81秒、最高速度は410km/hに到達する。外観で目を引く専用の20インチホイールには、ミシュランの「パイロットスポーツ4S」を履いている。フロントは275/30R20、リアは315/35R20のサイズとなる。 0-100km/hもそうだが、ドイツ・ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでは、量産EVの最速の7分05秒298というタイムを樹立。その秘訣はもちろん2,000psのパワーであることは間違い無いのだが、4つのホイールをそれぞれ独立制御できる「リーマック・オールホイールトルクベクタリング」と「アクティブエアロダイナミクス」と言われる空力性能に優れたボディデザインもあってこそだろう。フロントボンネットとリアウイングは可変式となって走行状態に合わせて可動するようだ。 ちなみにボディはフルカーボンのモノコック構造。高い剛性と軽量化に寄与している。5年という開発期間の中には、45回のクラッシュテストも含まれており、安全性が徹底的に検証されている。

TAG: #EVスーパースポーツ #THE視点 #充電インフラ
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
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試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
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イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
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