全固体電池の優位性を記録で証明
2025年9月に、ドイツのメルセデス・ベンツが全固体電池を搭載したEVで、一充電走行距離1205kmを実現したとのことだ。しかも、挑戦した道筋の目的地に到着した時点で、なお137km走行可能な余裕を残してのことであったという。
全固体電池を搭載したのは、すでに市販されているEQSで、これはメルセデス・ベンツのEVのフラッグシップであり、4ドアセダンである。

バッテリーを全固体電池に積み替えた以外は、ほぼ市販車と同じ仕様であるようだ。したがって、全固体電池の量産体制が整えば、比較的容易に販売へ結びつけることができる可能性がある。
使った全固体電池は、米国のファクトリアル・エナジー社製で、同社の電解質システム技術(FEST)を基にしているとのことである。これを用いた電気系のシステムは、メルセデス・ベンツのF1活動を支える英国のブリックスワースにある、メルセデスAMGハイパフォーマンスパワートレインズと協力して進められたという。

FESTの技術的特徴は、充放電によってリチウムイオンが電極間を移動することによる体積変化に対し、空気圧アクチュエーターによって電極と固体電解質をつねに密着させる機構にある。
一般に、全固体電池の固体電解質は、電極との密着が常に保たれるため充電も放電も、電気を上手に使いきれ、既存の液系電解質のリチウムイオンバッテリーに比べ性能がよく、また小型化できるといわれている。
しかし、ミクロな視点では、固体同士の接触は細部で非接触の部分が生じる可能性を否定できない。この点、液系の電解質のほうが電極に隙間なく密着できる。ただし、液系は流動性があることにより、車両の挙動やバッテリーの傾きなどによって、電極全体に必ずしも電解質が接触できない場合があり、性能の限界を見極める必要が出る。そこを見越して余裕をもたせなければならず、結果、大きさや重量がかさむ要因とされている。

そこで全固体電池への期待が高まっているわけだが、先にも述べたように固体同士の接触には、ミクロな視点での課題がある。
その課題を、空気圧を掛けることで解決しようとしているのが、FESTの着想だ。
これにより、バッテリーの実用エネルギー量が25%増えるとのことである。それが、一充電走行距離の延長につながっている。それでいながら、バッテリー寸法と重さは既存のリチウムイオンバッテリーと同等であるとの説明だ。
冷却は受動的エアフローであるというので、走行風を活用するのだろう。



















































